PEACE BOATで世界一周の旅ーその27
2024/05/30
延々と続く待ち行列に仰天
ポルトガルの首都・リスボンに接岸すると待ちかねたように乗船客は次々と上陸していきます。アフリカのように面倒な入国手続きはなく、ほぼフリーの状態で上陸です。船が用意したバスに乗って中心部の広場まで行き、そこで夕方まで自由行動と言われて解放されました。
レストランや土産物屋を覗いていると、船の仲間から「入りませんか」と誘われて、リヤカーに毛が生えたような屋根付き開放3輪車に乗りました。運転手兼ガイドは、10年ほど日本で働いていたという50歳がらみの体格のいい旦那です。日本語が出来るのが、何よりも「安心の素」です。
事前の交渉で、1人7000円で2時間の案内ということで4人掛けの3輪車に乗りました。乗ってみると思ったよりゆったりした座り心地で満足です。旦那にいきなり、世界遺産に登録されているジェロニモス修道院に連れて行かれました。
マヌエル様式の傑作とされるジェロニモス修道院を取り巻く入場待ちの行列
大航海時代の豪華な展示物は見られず
この建物は、大航海時代の英雄、ヴァスコ・ダ・ガマらの功績を称えて16世紀に着工して完成した豪華絢爛たる建築物です。遠くからでもそれと分かる偉容を見ながら近づいて見ると、大勢の「群衆」が取り巻いています。聞けば、入場待ちの行列で、延々と続く列の最後尾を探しても、見えない彼方をさらに奥へ曲がって続いているといいます。
ウイークディというのに観光客であふれていることに仰天しました。大航海時代の海外交易で、巨万の富をつぎ込んだマヌエル様式の傑作といわれる建造物と珊瑚や天球儀など往時を誇示する緻密な美でつくったモチーフが随所にあるという触れ込みでしたが、入るまで優に2時間はかかると言います。早々に入館は諦めて建物をバックに記念写真となりました。
週末でもないのにこの人出は一体、何でしょうか。ヨーロッパいや世界各地から集まってきた観光客でしょうか。人々の会話を聞いていると、英語はほとんど聞こえてこないので、ヨーロッパの人々のようでした。アジア人の割合も少ないように感じました。
ジェロニモス修道院のあたりは、有名な観光地域なのでとにかく人の渦があちこちに巻いています。前を流れるテージョ川に面して「ベレンの塔」があり、そちらは人があまりいないなと近づいてみたら、なんとこちらから見えなかった丘の下に「群衆」がとぐろを巻いていたのです。こちらも入場待ちの行列です。
テージョ河畔のそよ風の中でその昔を回想
早々に退散して「発見のモニュメント」という巨大な建造物を眺めながら、しばらく川面の風に当たりながら小休止となりました。
リスボンには、30年ほど前に取材で来たことがありましたが、街の様子の記憶はありません。当時、マラソンで世界最高記録を樹立した、カロレス・ロペス選手の写真を一枚、撮ってきてくれと運動部から依頼されて撮影に行ったことだけは思い出しました。ヨーロッパ各地の取材の合間に下命されたもので、彼は1984年のロサンゼルス・オリンピックで五輪記録で金メダルに輝き、翌年にはロッテルダムマラソンで2時間8分の壁を破る世界最高記録を樹立したポルトガルの英雄でした。86年には東京マラソンに出場すると言うことで、その前触れの記事を作るので写真を撮ってこいという社からの下命でした。
そんなことを思い出しているうち、約束の2時間も迫ってくるし、案内の旦那は船の近くの港の丘にとってもいい古風な街があるので、そこでチンチン電車(トラム)に乗ったり、土産物屋を物色するのがいいと薦められて、そちらに移動することになりました。
行って見たらこれが大当たり。起伏に富んだ丘の上に古い石作の家々が貫禄を出して並んでおり、これがなかなかいい感じです。洒落た土産物屋とレストランが路地を接して所狭しと並んでおり、飽きさせません。
建物を仕切っている路地の間から一望できる遠くの港には、我が家の船が存在感を出して見えます。ここで夕方まで過ごして帰宅という段取りを決めて、あとは各自バラバラ行動になりました。
Wi-Fi接続フリーのレストランを探して入ってみると、これも大当たり。早速ビールにチーズ、ソーセージ、海鮮スープをいただきながら、久しぶりに日本の方々とラインで会話が出来、大満足のリスボン寄港でした。タダのWi-Fi接続を探すのも楽しいものです。船のWi-Fi接続はコストが高いのです。
次はフランスのル・アーブル寄港になりますが、そこまで3日の航海になります。