PEACE BOATで世界一周の旅-その18
2024/05/15
世界最古のナミブ砂漠に感動
南アフリカ共和国(南ア)の北に隣接するナミビア共和国のウォルビス・ベイの港に接岸されたとの船内アナウンスを聞いてデッキに出て見ました。予想に反して一面、霧がかかっており、肌寒い空気があたりを支配していました。
地球上で最古の砂漠を持つ国と聞いていたのですが、第一印象は意外でした。灼熱の砂漠地帯を勝手に想像していたからです。バスで40分ほどで、この国最大のナミブ砂漠に着きました。幹の太い椰子の木に似たずんぐりした樹木が道路沿いに整然と植えてあります。バスを降りると赤茶けた地面がそのまま砂漠の稜線につながっていました。
水が流れるような微粒子の砂
砂漠と言っても広大な砂地が広がっているのではなく、砂山の丘陵が見る限り幾重にも連なった景観です。言ってみれば砂で作られた山々ですが、草一本生えていないきれいな砂地の丘と稜線が限りなくつながっています。
筆者は、鳥取砂丘の海岸線の砂地しか見ていませんし、アメリカではユタ州やネバタ州の砂漠を車で通りすがりに見た程度です。名画「アラビアのロレンス」を見ていたので、アフリカの砂漠とはあのようなものだろうと想像していましたが違いました。
広い砂漠の中にたった一か所だけ赤い花が咲いていました。同行者に聞いたらブーゲンビリアということです。なぜこの一か所だけに真っ赤な花を咲かせているのか。その自然の妙に興味を持ちました。
世界最古とうたっているナミブ砂漠は、全く違った印象でした。遙か遠い稜線の上を小さな人影がまるで虫のように移動しているのが見えます。あそこまで行くのは到底無理ですが、それでも稜線に向かって登って見ました。
人が歩いた足跡をたどって登りますが、足もとがふかふかと下に潜り込んでいきます。何の抵抗もなくやわらかい感触で足もとが砂地にとられていきます。危うく倒れそうになって砂地に手をついて、この砂漠の砂を知って感動しました。
砂と言うよりも柔らかい布地に似た感触が手に伝わってきました。両手で砂をすくってみてその謎が分かりました。両手ですくった砂が、まるで水のように指の間から下へ流れていきます。水に等しい滑らかな感触で下へ流れます。これは砂ではない。
砂粒という感じではなく、滑らかな流動物が抵抗もなく手の平を通過していくという感じです。よくよく指で触って見ると、砂粒のきめの細かさが伝わってきます。数億年、数千万年の時間の中で、この砂たちはまろやかにきめ細かく、まるで水流になるような粒子にされてしまったのでしょうか。草一本生えない秘密が分かりました。こんなに抵抗のない砂では、植物は根を張る根拠が作れないでしょう。
この太い幹には枝葉はなく、てっぺんには天に向かった枝が挿し木のように生えています。この樹木は、砂漠地帯の道路沿いに移植されたようで、きれいに並んでいます。しかし太い幹はゴツゴツした固い表皮に見えますが手で触ってみると、あっけないほど砕けしまう柔らかい表皮でした。砂漠に生息する特異な植物に触れた思いでした。
ナミブ砂漠の砂を日本に持って帰りたくなりました。バスの座席に配布したあったビニール袋は、砂漠の砂を持って帰りなさいというサインだったのでしょうか。お土産にここの砂を入れて持って帰れという配慮ではないかと思ったのですが・・・。
日本の2倍以上の国土に300万人足らずの人口
ナミビアは15世紀末にポルトガル人が上陸した土地でしたが、砂漠地帯であるため関心を示さず、1878年にイギリスがこの国の唯一の港となったウォルビス・ベイを占有するまで未開の土地だったということです。その後、ドイツの植民地となり、今でも往時の風景を残すヨーロッパ風の街並みがありました。
小さな市街地には垢抜けた商店が並んでいましたがバスで通り過ぎただけで、この国とは砂漠だけの短時間の見物で終わりました。
露天で販売する民芸品売り場では、現地人の人が熱心に客引きしていました。
元々はダイヤモンド、ウラン、銅、亜鉛など鉱物資源が豊富で産出量もかなりなものです。ダイヤモンド採掘で存在感があったそうですが2000年以降、ダイヤモンド以外の鉱物生産量が上回るようになり、ウランの年間産出高は4626トンと世界第4位を占めるまでになったそうです。こうした鉱産資源は、隣国の南アをはじめ、多国籍企業に採掘されているため貧富の差は解消できず、国の発展には多くの課題があるようでした。
ヨーロッパ風の街並みと瀟洒なホテルもあり、そこで出されたランチも
美味しくいただきました。
気候は温帯にあるので過ごしやすく、ドイツ文化が今なお息づいています。世界に誇る砂漠資源だけでなく、豊富な鉱物資源を独自に活用出来る国になれば、大きな発展が出来る国です。白人と黒人の混血の思われる人も多く見かけられ、アフリカの中でも特異な文化と未来を背負っている国ではないかと思いました。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。