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公文書館の貧困で真実を知らない途上国日本

公文書館の貧困で真実を知らない途上国日本
朝日新聞1月4日付け朝刊一面に掲載された沖縄返還交渉時の佐藤・ニクソン核密約のシナリオが発見されたという「特ダネ」が、別面も割いて大特報されました。朝日にケチをつける積りではありませんが、このような重要な書面が一政治家の私邸に保存され、51年目にメディアを通じて公開するという異常さを感じました。
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このシナリオは、密使となった若泉敬の著書「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(1994年、文藝春秋社)に詳細に書かれていた内容であり、昨年上梓した拙著「沖縄返還と密使・密約外交」(日本評論社)にも引用して紹介しました。
本来、こうした首相の公務での書面は公文書館に保存されるべきものであり、アメリカでは沖縄返還の密使外交の多くが保存され、20年後に公開されて密使・密約外交がすべて露見しています。日本は、時の権力者が保存し、何かのときに明るみに出るという異常な国です。メディアが情報を入手して報道することもあれば、政治家が後年、自慢話の一つとして語ったり書き残すこともあります。それを有難がって知る国民にも問題があります。
公文書館の貧困さが語る
つまり日本では政治家が「公務で取得した情報を私物化」し、後年の史家が正確な総括・検証ができない途上国状況が続いています。佐藤政権の沖縄返還交渉は典型的な「外交の私物化」であり、日本がアメリカに支払った実際の賠償金額すら不明です。密約交渉を記述した膨大な文書は廃棄されたと言われていますが、その真偽すら不明ということですから、国の体裁をしていないと思っています。
このようなことを放置しないで、口うるさく言うことが大事だと思って発言しました。