PEACE BOATで世界一周の旅ーその22
2024/05/22
運動会順延の日にクルーズディレクターにインタビュー
この日はPEACE BOATの大運動会の開催日でしたが、あいにく天候不順で順延となり、予定されていたイベント、企画ものがすべて先送りとなりました。
趣味・道楽から各種教養、スポーツ、ヨガ、ダンス、講演会、セミナー、映画など多くのテーマで毎日、50本もの企画ものが朝から晩まで10会場のどこかで走っています。多いときは1日、80本もの企画ものが開催されているという盛況です。PEACE BOATの「売り物」は、この豊富な企画ものにありそうです。
その責任者を務めている鈴木隆之・クルーズディレクターは、この日は運動会順延で多少、暇だろうと思ってインタビューを申し入れましたが、15分しか空きがないという多忙の身でした。
「PEACE BOATに乗船して19年になります。この船は就航から40年ですし自分の年齢も40歳なので、これまでの人生の半分はこの船とともにいる勘定です」と言います。
船に乗った動機は、もともと一か所にとどまっていることが苦手なので、船に乗って世界各地を転々と訪問していくことは「天職」に見えたそうです。専門学校を卒業後、すぐに旅客船のスタッフとして乗船し、半年後にPEACE BOATに移りました。
「船に乗っていると日々の景色、海の様子、人との巡り会いがすべて変化しています。それがたまらなく自分の生きている価値観に合っています。百聞は一見にしかずといいますが、まさに自分の眼で確かめ体験することがいかに貴重であるかが、今更ながら分かりました」
PEACE BOATに乗るきっかけとなったのは、教科書問題があったと言います。戦時中の「侵略」を「進出」と書き換えた問題で大きな議論が広がりました。実際にはどのような有様だったのか自分の目で確かめてみたいという思いもあったそうです。「歴史だけでなく、現実の問題を自分の目で見て確かめることの大事さを学んでいます」と言います。鈴木さんの行動派の一面は、学生時代に自転車で日本一周旅行を決行したことにも現れています。その体験談も企画シリーズで語って聞かせ、多くのファンを引きつけています。
イラン大統領機の墜落事故で時事解説
この日の夜、イラン大統領のヘリコプター墜落死が及ぼす中東問題について、急きょ、PEACE BOATの「水先案内人」として乗船していた国際政治学者で中東専門家の高橋和夫氏の解説講演が組み込まれました。高橋氏が乗船していたというタイミングにも恵まれましたが、このように臨機応変に乗客の希望を先取りして企画ものを打ち出すスピード感もなかなかのものです。
高橋氏は、「1960年代に〝最新鋭〟のヘリコプターが墜落した事故だった」とすでに老朽化していたヘリコプターの機能を語り、一瞬、世界に緊張感を走らせた大統領の墜落死を単なる「事故死」の可能性を示唆する内容でした。そして多数の写真や図・ネット情報を見せながら、イランの複雑な権力構造を明快に示し、イランの国内事情を簡潔に解説して聴く人たちにイランの現状を見せてくれた洒脱な時事解説は流石でした。
サルサ指導でも大活躍
鈴木ディレクターは、意外な面を持っています。業務の多忙をぬってサルサというキューバンダンスを教えています。男女がペアになって、ジルバとマンボを合わせたような軽快なステップで踊るダンスです。むかしこの船で教えていた先生のステップを習っていつの間にかプロの域になり、いまや「教え上手」と評判になっている一面もありました。
さらに驚いたことは、鈴木さんはコロナで船が休んでいた2年間に、資格試験を7つも取得していたことでした。
①行政書士、②総合旅行業務取扱管理者、③宅地建築取引士(宅建)、④海事代理士、⑤国内旅行業取扱管理者、⑥世界遺産検定2級(民間資格)、⑦ITパスコート
これは試験の難しい順序に並べたものですが、7つのうち6つが国家試験です。コロナで船が出なくなっても、時間を有効に活用する鈴木さんの無駄のない生き方に感動しました。
この事実は、今回のPEACE BOAT航海のPEACE BOAT企画の中で発表されたものですが、スタッフはいい企画をしたと思います。
105日間かけて世界一周は、確かに魅力的な旅ではあります。1300人の乗船客を毎日、飽きさせずに次の寄港地へと運ぶ企画ものがあって初めて充実した船旅になることを知り、陰で支えるスタッフたちの一面を知る機会でもありました。
中東専門家もいるなんで羨ましい!
考えてみると私は乗船したら、三ヶ月で中国語クラスを開かれる!三ヶ月で毎日一時間の授業であれば、旅の終わり頃に流暢に喋れますね。
ただで載せてくれないかな?(笑)
投稿情報: ヤンウェイ | 2024/05/27 17:01