小学校教育現場の危機シンポジウム

チラシ画像 小学校教育現場が、教員不足と教員資質の劣化などを理由に疲弊していると言われています。ゆとり教育後の弊害がやり玉に挙がってもいますが、それだけではないようです。

 国家の危機と言う方もいます。将来の科学技術国家は遠のくばかりという指摘もあります。

 初等教育の問題点をあげ、これからの教育の在り方を討論するシンポジウムをご案内します。

 是非さなかして討論の場に加わってご意見を出してください。

 参加の要項は、添付資料にあります。

 参加申し込みは、https://kosoken.org/ こちらからどうぞ。


立憲民主党(立憲)執行部は国葬欠席へ NHKの報道で流れを作るか

立憲
2022年9月15日、朝7時のNHKニュースより
 
安倍元総理の国葬をめぐって世論の大勢が反対に傾いていることを受け、国会議員も国葬への出欠をどうするか揺れ動いています。政党で国葬に欠席を表明したのは日本共産党(共産)、れいわ新選組(れいわ)、出席表明は日本維新(維新)の会、日本国民党(国民)などでした。
野党第一党の立憲の出欠が注目されていましたが、15日朝7時のNHKニュースで、執行部が欠席で詰めの調整に入ったと報道しました。政府見解について改めて質問した回答が不十分だったことから欠席へ傾いたことを報道したもので、立憲の「決断」に流れを作るように聞こえました。
NHKは世論調査で、国葬の政府説明を72%が不十分としていること、国葬反対が57%になっていることを繰り返し報道しており、国民世論の大勢が「後ろ向き」であることを受けて報道しているものでしょう。メディアとして正しい報道姿勢を評価します
 
 
 
 

国葬の説明不十分が72%。国葬反対が57%で賛成を大幅に上回る-9月13日(火)午後7時のNHKニュース

NHKは、国葬に対する国民感情を世論調査に基づいて客観的に報道しています。ニュースでは、国葬に対する政府の説明は不十分とした人がなんと72%。説明十分の15%をはるかに上回っており、国葬実施に評価しない(反対)は57%、賛成の32%をこれまたはるかに上回っていることを報道しました。
 
 
 
 
野党各党は、国葬に出席するのかどうか。現時点での各党の出欠方針を示しながら、野党第一党の立憲民主党の態度がどうなるのか。世論調査の結果を踏まえながら、野党各党の国葬出欠判断を迫るかのようなニュース報道でした。NHKの報道を評価したいと思います。
 
 
 
 
 
 

岸田総理が説明すればするほど国葬反対に傾いていきます

9月8日の国会審議で野党代表と岸田総理のやり取りで次のようなことが明確になりました。
* 国葬を定めた法制度はない。これで佐藤栄作元総理も国葬を見送った。当時の内閣法制局長官は、法制度がないので国葬とするには、立法・行政・司法の了承が必要だとの見解だった。

羽鳥モーニングショーより          9月9日朝のテレ朝・羽鳥モーニングショーより

* 今回の国葬は、国会に相談もなく総理と内閣だけで決めた。国会に相談なく国葬を決めたのは戦後初めて。
* 国葬を決めた4つの理由(①最長の任期、②経済と外交で大きな実績、③世界が弔意、④参院選中の非業の死)を繰り返し岸田総理が言明し、これ以上の説明はなかった。しかし②についての安倍政権の評価は、否定する意見も強くまだ評価は固まっていない。
* 岸田総理は、国葬儀は行政権によるものであると「新見解」を披歴。内閣府設置法と閣議決定だけで決めたと言明した。
* 全額税金で実施することに総理は「世界各国からの弔意を受け止め、国の行事として葬儀を行うことが適切」と答弁した。
* 安倍元総理と旧統一教会との関係を問われると「お亡くなりになっているので限界がある(ので調査はできない)」と表明。

岸田総理がこのような見解を、何度も何度も繰り返せばするほど、国葬は賛成できない方へ傾いていきます。


国葬に反対する国民感情をあなどる政治センス

国を挙げて取り組む国葬という祭事に、過半数の国民が反対するのは、世界でも多分初めての珍事ではないでしょうか。各種世論調査結果は、みなそう出ています。筆者は7月15日のフェイスブックにアップした「歴史に刻まれた4つの汚点」の一つとして国葬反対を主張しました。「数々の反社会的な行動を繰り返し、問題を起こしていた団体とかかわってきた元総理を国葬として執り行うことに筆者は反対します。これこそ歴史に残る汚点と断じます」と表明しました。
8月5-7日調査の読売新聞世論調査では、国葬を評価する(賛成)49%、評価しない(反対)46%でしたが、9月2-4日の同世論調査では、賛成38%に対し反対派56%に大逆転しています。
日増しに明らかになっていく旧統一教会の反社会的活動と政治の癒着が次々と明らかになり、国民は不信感を募らせていきました。
それに拍車をかけたのが自民党の有力議員の「言い訳」でした。一見明白に虚言と見える言い訳を言ったり、世論動向を見ながら小出しに言い方を変えながら、最後の最後に「今後関りを持たない」という表現に変えました。国民をあなどる変転です。
国葬経費の説明も、岸田総理は当初の閣議決定では2億5千万円と発表していましたが、その数字は信用できないとの指摘が相次ぎ、6日には総額16億6千万と変えてきました。
極め付きは自民党・二階俊博・元幹事長の講演会での発言です。旧統一教会との関係で批判を浴びていることに対し「自民党はびくともしないよ」と発言し、国葬については「やらなかったらバカだ」と発言しました。この程度の語彙力でしか語れない人物が政界で幅を利かせているのです。国葬に反対する国民が増えていくのは当然ではないでしょうか。

「私がまるで安倍元総理を殺してしまったような錯覚に陥った」

NHKクローズアップ現代(クロ現、9月5日夜7時半から放映)は、息子からの心の叫びを受け、苦しみを語った旧統一教会信者の苦悩をこう語らせました。安倍総理銃撃事件を受けたジャーナリズムの問題意識を凝縮した、すごい番組でした。

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銃撃事件のよってきたる背景を語っており、高額献金に応じて一家が自己破産した実例など多くの悲惨な信者の話と信者同士の間に生まれた信者二世の苦悩を余すところなく報告した番組でした。

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これまでテレビ局各社のワイドショーや特番、さらに出版社の週刊誌・月刊誌なども特集記事で埋めてきました。どの報告も旧統一教会の反社会的活動、財産収奪、人権侵害などを報告してきました。

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新聞を除くジャーナリズムが、これほど一致した姿勢と視点で問題を指摘し、政治との関りで国家の危機を訴えてきた例は歴史的になかったことです。全国紙(東京新聞を除く)は、いったいどのような編集方針で旧統一教会の問題点を読者に伝えてきたのでしょうか。

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この日のクロ現では、安倍元総理の銃撃事件のあと、両親が旧統一教会信者同士の間で生まれた信者二世が孤立を深めていた現実を報告しました。韓国の教団関係者は「いまだ多額の献金をするのは日本くらいだ。日本の信徒は、日本よりも韓国の協会運営を助けるために献金している」と語っていました。

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二世信者になった人々の苦しみと、旧統一教会の理不尽で許しがたい教義と献金強要の有様を様々な証言で報告しました。

多額の献金、信仰や霊感商法の強要。そして2009年に、教団がコンプライアンス宣言したあとでも、困窮した家庭に対し高額献金を強要してきた現実を実証的に放映しました。献金による経済的な損害だけでなく、二世は人権も侵害されてきたと訴えました。苦しむ宗教二世の子を持つ一世信者のなかで、安倍銃撃事件をきっかけに脱会した一世の苦しみも語らせました。

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見なかった方は、是非、見逃し配信から見てください。歴史に残る番組です。

https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/plus/


統一教会は収益事業が中心のビジネス宗教だ

「統一教会は収益事業が中心のビジネス宗教だ」
2年間、信者になりすまして潜入取材した韓国人女性ジャーナリストが証言
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旧統一教会の反社会的活動とその被害者に焦点を当て、衝撃的な「反社実証番組」を制作・報道しているTBSの報道特集。さる8月27日に放映された「元信者5人の人妻たちが語る旧統一教会の実態」を見逃し配信で見て仰天しました。
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5人の元信者妻たちが、合同結婚式で韓国人と強制的に「結婚」させられた後の信じがたい「人生」を赤裸々に語りました。これは人権侵害であり、犯罪であることは明らかです。
後半で2012年から2年間、信者を装って統一教会に潜入取材した韓国人ジャーナリスト、オ・ミョンオクさん(「宗教と真理」代表)が語ったこの教団の実態は、次のようなものでした。
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「最初は他のカルト宗教を模倣した新興宗教から始まったが、次第に事業化されて家庭を破壊する集団になった。私は、ビジネス宗教とみている」
そして収益事業が中心であり、所有している企業が多岐にわたっていると証言。
「教団の収益のために家庭と人生を破壊された被害者が多数いる」ことを証言し、さらに重大な発言がありました。
「自らの利益と名声のために、反社会的な集団と裏で関係を持つ。正体を知っていながら手を組み、成功のためなら何でもする人たちのせいで旧統一教会の被害者は消えない」
元信者は選挙のとき「投票はこの人にしてくださいと連絡がきた」と語り「(教団の)正義のためには嘘をついてもいいのが旧統一教会だ」と証言しました。
TBS報道特集の一連の旧統一教会特番には、反社に立ち向かうジャーナリス魂を見ました。是非、見逃し配信から見ることをお勧めします。

自民党は旧統一教会と関係断つとは思わないが72%

自民党は旧統一教会と関係断つとは思わないが72%
読売新聞の世論調査結果は深刻な政治不信
読売新聞が9月2-4日に実施した世論調査結果は、深刻な政治不信を露呈しています。自民党が旧統一教会と「関係を断つことを自民党の基本方針とする」ことの表明に「評価する」とした人が76%ありました。ところが、自民党が旧統一教会と関係を断つことができるかどうか質問したところ、断つとは思わないが72%、思うが21%でした。
つまり関係を断つことは「評価する」が、実際には「断つことはできないでしょうね」という世論の「本音」表明です。これこそ政治(政党)不信の表れでしょう。自民党が旧統一教会と関係を断つことに反対する人はいないでしょうから、設問自体に意味がなかったということかも知れません。
安倍元総理の国葬を評価する(賛成)、評価しない(反対)では、反対が56%で賛成38%を大きく上回りました。前回8月10、11日調査では賛成がわずかに上回っていましたが、今回は若年層でも大幅に反対に傾きました。政府の説明不足のせいなどではないでしょう。説明すればするほど反対が増えると思います。これが国民感情であり、国葬反対の国民世論は、もはや動かしようがないでしょう。
写真のグラフはいずれも、8月5日付け読売新聞朝刊に掲載されたものです。
読売新聞世論調査2
 
読売新聞世論調査1-1


旧統一教会と安倍元総理の「癒着」を実証的に報道

NHK番組「クロ現(クローズアップ現代)」で旧統一教会と安倍元総理の「癒着」を実証的に報道

8月29日午後7時半からのNHKクロ現は、旧統一教会と自民党・安倍派との水面下での癒着ぶりを、実証的に報道しました。旧統一教会側にも釈明を語らせていますが、番組の意図・目的は、旧統一教会と安倍元総理、安倍派との「癒着」を語るためのものであることは、ジャーナリストの感覚からよくわかりました。

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このほかの報道内容で重要な点は次の通りです

・安倍元総理が旧統一教会関連団体のUPFのイベントにビデオメッセージを送ったことについて、現教団トップの梶栗正義氏に次のように語らせました。

「安倍元総理と考えが同じなので様々な勉強会を各地で行い、安倍氏の考えに賛同し、各地で選挙応援をしてきた」

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・安倍氏のビデオメッセージを見た元信者は「安倍元総理が教会を肯定したことに絶望した」「終わったなという気持ちになった」と語らせた映像を放映しました。

・旧統一教会周辺に、政治的ないくつかの団体があるが、そこに(霊感商法などで集めた)旧統一教会への献金が流れ、活動の原資になっていたことを梶栗氏に婉曲的に語らせて放映しました。

・安倍氏の8年弱の政権にあって6度の国政選挙で、旧統一教会が示した「誠意」を安倍氏が評価していたことを梶栗氏は語っていまた。

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・水面下でつながっていた政治との関係が公になることや安倍氏との近さを教団内で心配する声がありました。教団の広告塔のように(安倍氏・自民党を)使っているのではないかとの声があったことを紹介しました。

・旧統一教会は急速に安倍元総理に近づき、選挙運動、秘書スタッフなどを通じて安倍派に浸透しました。その代表格が萩生田議員でした。萩生田氏が旧統一教会との関連を否定的に言うことを知った信者に「むなしいですね」と語らせ、萩生田氏の弁明が不正義である印象を実証的に示しました。

このほかにも次のような重要な事実を報道しました。

・政策に影響を出すためには、会員が地方議員になったり、国会議員の秘書になり中央政界へ波及する戦略をとりました。

・旧統一教会の思想に沿う政策が実現するように旧統一教会は地方政界を後押ししてきました。地方で条例が多数重なっていけばひとつの土台になると旧統一教会幹部に語らせました。

・「地方の動きを中央でもどうでしょうか」と働きかけることができたと旧統一教会側に語らせました。

・旧統一教会に汚染されていた富山県の県議38人のうち、6人が選挙支援を受けていました。

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・旧統一教会のこれまでの活動が、安倍氏銃撃事件に結びついたのではないかとの質問に、梶栗正義氏はそのような受け止めがあったならば「重く受け止めたい」と語らせました。これこそ旧統一教会の真意だったのです。それを示すために、この場面を編集したのです。

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たった30分の番組でしたが、旧統一教会と安倍氏・安倍派の親密な歴史的交流を実証的に映像化したもので、見方によっては安倍氏の銃撃をした容疑者の言い分に根拠があると言わんばかりの内容でした。

再放送があると思いますので、是非、そちらを見てもらいたいと思います。この番組を制作した取材記者と編集デスクに敬意を表します。


新聞の黄金時代を駆け抜けた記者魂の回顧録

鶴岡憲一著「新聞記者人生」(花伝社)

新聞記者人生

特定のイデオロギーに傾かず、物事は是々非々で判断する

最近、新聞を代表とするメディアの停滞ぶりが指摘されています。かつて読売新聞記者をしていた筆者も同感であり、時代の変革と共に新聞記者活動が驚くほど変わってしまったことは、日々読んでいる紙面を通じて感じてきました。

昭和時代の新聞記者は、こうではなかったという思いに応えるかのように本書が発刊されました。

著者の鶴岡憲一氏は、読売新聞社会部・解説部・編集委員・論説委員と筆者と似たようなコースで記者活動をしてきたもので、テーマは違っても原稿執筆にかける取材活動の視点は同じでした。

ここに書かれている内容は、冒頭の民訴法改正をめぐる動きと顛末から始まり、日航ジャンボ機事故の原因追及はじめ、欠陥車問題、独禁法違反事件、温暖化京都会議、情報公開法問題などの取材・執筆を通じての裏面史は、読んでいて迫力がありました。まさに当事者としてどっぷりとつかった記者でなければ出くわさない問題であり、そこをどう切り抜けたか、敗北したかを淡々と語った記者人生として秀逸でした。

昭和時代の新聞記者は、第四の権力とか社会の木鐸とか言われた時代であり、社旗をはためかせて疾走する事件記者の活動は、NHK日曜日の連続ドラマでも人気番組となり、時代を映す社会現象でもありました。

著者の記者活動で貫かれていたことは、社会正義であり真実に迫ろうとする記者魂でした。淡々と書いているのですが、それが自慢話になっているかも知れないという感想をエピローグで語っています。自慢話に「聞こえる」シーンもあったかもしれませんが、それは真実を語った迫力であり、読んでいていささかも違和感がありませんでした。

リベラルだった往時の新聞記者が確信をもって活動したその中身は、自慢できるものだったのです。その流れが、この書籍の中を貫いていました。「特定のイデオロギーに傾かず、物事は是々非々で判断する」という新聞記者の取材姿勢を書いていますが、全くその通りであり、私たちはそういう時代の新聞記者でした。読みながら著者と同時代に活動できた幸運に感謝していました。