PEACE BOATで世界一周の旅ーその53
2024/07/14
アラスカ湾に浮かぶおびただしい氷塊を見る
アラスカ州の最南端のケチカン接岸の翌日、さらに北行への航海が始まりました。次の寄港地はスワードで、この世界一周の航海の最後の接岸になります。船内では各種のイベント、趣味・道楽の集まり、文化・芸能活動、社交ダンス、楽器活動などの発表会が目白押しであり、船内はなんとなく慌ただしい雰囲気になっています。
船はアメリカ大陸の北側の入り組んだ沿岸の地形を見ながら北上していますが、長い歳月をかけて岩盤を鋭く削りとってつくったフィヨルド海岸と氷河から崩れ落ちてきた氷塊を見せるため、入り江に入って行きました。
船の7階デッキで氷河をバックに撮影しました。氷河と落下した氷塊は綺麗なブルーに染まっており、雄大な景観に見とれました。この日は、大村智先生のノーベル賞物語を講演する直前、突然、氷河が見られるという情報でデッキに出てきました。スーツ姿で写っているのはそのためです。
陸を見ると岩盤だけの山と樹木の繁茂する山とに分かれて見えますが、山と山の間を縫うように引いて落ちる滝のような流れがあちこちに見えます。氷河が見えてきました。船内放送で簡単な説明があり、船はしばらく氷河の見える地点で停船して見物する時間を作ってくれました。
氷河から崩れ落ちてきたおびただしい氷塊が、入り江からアラスカ湾へと出て行きます。地球温暖化が原因で氷河の崩壊が続いているということです。
長い歳月をかけて氷河から削りとられた岩石の山は、見るからにゴツゴツした鋭い岩石に見えます。まだ植物はほとんど生えていませんが、いずれ緑の山に変革していくでしょう。何年かかるのか分かりませんが、地球規模の歴史とは、想像を絶するものであることを実感しました。
会場には、おびただしい氷塊が浮いて流れていきます。中には岩盤をつけた氷塊も浮いており、陽光の具合で青く澄んだ色の氷塊も見えます。
クジラを目撃した幸運者がいた
氷塊がぷかぷか浮かぶ北洋の海にクジラが回遊しており、乗船者の何人かはその様子を目撃していました。数頭の群れも見た人がおり、写真撮影はなかなか難しかったようですが、地球上最大の哺乳動物の実物を目撃できるのは、やはり感動するようです。
船が沖合に出ると次第に波が高くなり、本航海最大の揺れを感じています。
大村智先生の講演を行う
氷河を船上から見物した後、大村智先生のノーベル賞物語を講演しました。千円札に登場した北里柴三郎の伝記の講演の続きにあたるもので、北里がノーベル賞を逸してから115年目にその無念を果たした大村先生の業績を語りました。
氷河を見物した後に講演会に参加した人も大勢いました。講演後に、大村先生の生き方と研究業績を初めて理解したという方がほとんどであり、先生の受賞から10年経ってしまうと、記憶から薄れてしまうことを感じました。研究業績だけでなく、人材育成でもすごい実績を残した生き方に、感銘を受けたようでした。
船での講演活動も残り1つとなりました。最後は「どうする日本 劣化し続ける国家と組織」のタイトルで締めくくります。チラシを作って配布していますが、多くの方から「是非、聞きたい」という期待の声をいただき、やや緊張して資料作りに取り組んでいます。
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