PEACE BOATで世界一周の旅ーその50
2024/07/11
オーバーランドツアーの興奮を再び知る
船旅も終盤に入ってきました。船内で行き交う人のお顔もほぼ知るようになり、お名前は分からないまでも、多くの方と目線で挨拶をするようになってきました。7階の中央ロビーのソファでゆったりと座っているとき声を掛けられました。西川(さいかわ)孝純さん(76)という方で、名刺をいただきびっくりしました。元共同通信社論説委員長を務めた方で、日常的に競い合うメディア関係者として健筆を振るっていた方と分かり、いわば同業者のよしみで様々な話題で話は弾みました。
リビングストンが発見したヴィクトリアの瀑布を見てきた
5月8日に南アフリカ(南ア)に寄港した際に3泊4日のオーバーランドツアーに参加して、世界三大瀑布の一つ、ヴィクトリア瀑布を見てきたというのです。しかも筆者が南アのサファリ公園で見た野生動物たちとはスケールが違う動物群の写真も見せられました。
筆者はヴィクトリア瀑布を是非とも見たかったのですが、オーバーランドツアーに申し込んだときはすでに定員満杯であり諦めていました。しかし西川さんはキャンセル待ちに登録していたので、出発数日前に船の中でアキが出たと報告を受けて勇躍参加したということでした。
筆者が少年時代「おもしろブック」という少年雑誌があり、巻頭に様々なカラーの絵巻を入れて大人気でした。その絵巻の中にイギリスのデイヴィット・リビングストンがアフリカ探検中にこの瀑布を発見し、ヴィクリトア女王の名前を瀑布につけたのです。
毎月連載されたリビングストンのアフリカ探検記事を夢中になって読み、今でもリビングストンが瀑布を目撃した光景の見開きの絵が記憶に残っています。
西川さんの撮影した数々の写真を見せられながら、アフリカ奥地で水煙と轟音を上げて爆流する瀑布を想像しては、行けなかったことに情けない思いをしました。
最大落差108メートル、轟音と共に滑り落ちる膨大な水量に、西川さんは度肝を抜かされたようです。「日光の華厳の滝を横に数十本並べたような迫力を感じました」とも語っていました。
ヴィクトリア瀑布をバックに金婚式記念写真です。こんな写真を見せられて、筆者は西川さんと同い年の奥様・治代さんご夫妻と一緒に行きたかったとの思いが募りました。キャンセル待ちをしておけば良かったと悔やみました。
雄大なサファリ公園もスケールが大きかった
瀑布に行く途中に国立公園のサファリを見学しました。ゾウ、キリン、カバなどアフリカ大陸に生息する大型動物の写真は、筆者が南アのサファリで見てきたものと大分、スケールが違っていました。
公園内を探検車でゆっくりと巡回しているとき、数メートル先のブッシュの中からゾウがぬっと出てきて驚いた瞬間もちゃんと撮影していました。
数メートル先のブッシュからぬっと現れたアフリカゾウにはたまげたそうです。車上から静かに観察していると、ゾウは何事もなかったように去って行きました。
カバの昼寝。餌は陸上の地べたに生えている草だけ食べているようです。草を食むときは、ひたすら地面を見ているだけですが、耳は発達しているので周囲の動きは音だけで判断し、しかも敏感だと言うことです。
ゾウの水浴び。カバがいた水辺には、多くの動物と野鳥が群がり、動物天国でした。
キリンは遠くからでも目立つ動物です。ライオンなど肉食獣に襲われることもあるので、高い目線で監視しているようです。
金婚式と喜寿の前倒しのお祝い
西川さんはリタイアして世界一周を思いつき、PEACE BOATに乗船しました。政治部の記者時代、癌を告知され、リンパ節腫大の摘出手術を受けましたが、これを乗り越えた時期もありました。ご夫妻の金婚式がちょうど航海中にぶつかるので、そのお祝いもかねて乗船しました。金婚式当日の5月17日には、船のレストランでお祝い会をしていただき、シャンペーンを抜いて楽しんだそうです。ご夫妻はそろってことし76歳ですから、数えは77歳の喜寿です。祝い事は前倒しでやりますから、西川さんご夫妻の金婚式と喜寿は二重のお祝いだったのです。
さて、費用のことですが、オーバーランドツアーはお一人60万円ということで、ご夫妻で120万円でした。しかしそのコストに見合う光景を目蓋に焼き付け、楽しい旅の体験を身体に染みこませてきたことが、筆者との会話からにじみ出ていました。
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