PEACE BOATで世界一周の旅ーその49
2024/07/06
世界一周旅行の仕組みを知る
PEACE BOATは世界一週の旅をうたい文句にしています。確かに豪華客船に乗船し100日間ほどかけて世界を一周するようにはなっています。しかし乗船してみてよく分かったことは、各地に寄港して上陸する日数はごく僅かであり、大半は船の中にいることでした。
そんなことは乗る前から分かっていたことだろうと言われると思います。しかし実感として初乗船者には分かりませんでした。乗っているうち気が付いたことは、寄港地で上陸して各種ツアーに参加できることだけではなく、「オーバーランドツアー」と呼ばれる、特別仕立てのツアーが用意されており、それに参加すると、寄港地で上陸すると1週間から10日くらい、飛行機で移動しながら各地を見物できるツアーがありました。船が先に行って寄港する港へ飛行機で追いかけていって合流し、再び乗船してくるという仕組みです。
申し込んだが満杯で諦めた
PEACE BOAT乗船申し込みをした後、様々な情報が郵送されてきましたが、乗船するのは先の話だからろくに読みもしないでいました。それが失敗の第一でした。オーバーランドツアーを知って、慌ててネットで申し込んだときには、筆者が希望するコースは人気があるらしく、5コース申し込んですべて満杯になっていました。諦めずに空席待ちにしておけば、チャンスがあったかもしれません。
参加者に伺ったオーバーランドツアーの醍醐味
最も行ってみたかったのはダーウインのガラパゴスでした。そこへ参加した千葉県出身の田中陽子さん(68)(仮名)は、船内の「ダンスの教室」の友なので、行ってきた話をうかがいました。そのお話と提供された写真を紹介します。
ガラパゴス諸島は、自然を守るために厳しい観光ルールがあり、諸島に上陸する際も人数や時間が制限されていました。小型ボートに分乗して無人島に上陸して自然にどっぷり浸かりました。
イグアスの歓迎、野鳥の楽園
印象に残ったことを次々と話してくれました。まずガラパゴス諸島の中心部にあるサンタ・クルズ島にエクアドルから飛行機で渡りましたが、早速、イグアナ君の歓迎にあいました。あちこちにイグアナがいましたが、どれもこれものんびり寝転んでいる風で、人間のことなど眼中にないようです。
それは諸島に生息する野鳥や他の動物たちにも共通の行動であり、人間は1メートル半内に近づいてはダメというルールがありましたが、その至近距離に行っても逃げも隠れもしない。その自然生息状態に感動したということでした。
色鮮やかなブルーの「下着」と思いきや、青い足を見せて抱卵中の「アオアシカツオドリ」。人間の姿に警戒する様子はなく、野鳥の楽園でした。
イグアナ君は自然溶け込んでおり、思わぬところから顔を出します。餌をやれば食べに来てくれそうですが、それはルール違反。見物する人間と彼らは共通の空間で過ごしていることを実感しました。
島の若者たちと植林活動をする
この島には、他からの移住者は住むことが出来ないそうです。島で生まれ育った人たちが、観光事業を生業にして、自然と共に生活しているということでした。ツアーに参加した23人の人たちとたちまち「親戚付き合い」となり、島のコーヒー園に付属している植物相を見学し、ダーウイン記念館を見聞し、樹木の植林をして大いに楽しみました。
島の若者たちと一緒に植林活動。植林する人は、なにがしかのお金を払って次世代への基金になるような仕組みになっていました。
ガラパゴスといえば、陸上を闊歩するゾウガメです。しかし強い日差しにたまりかねたのか、水浴びする珍しいゾウガメを撮影しました。
多くの生物群の食料になっているサボテン。熱帯地方の島の命となっていました。
いったい費用はいくらなの?
オーバーランドツアーの費用は、航海中の費用とは無関係ですべて別途の持ち出しです。ニューヨークから船と分かれ、太平洋のガラパゴス諸島で観光して空路パナマに戻ってきて本船と合流します。8泊9日で64万9千円。ホテル・食事・交通費すべてです。ガラパゴス諸島には4泊しました。
陽子さんは、大手企業に定年まで勤務してリタイア後は、好きな旅行を楽しんでいるとのことです。PEACE BOATには今回、3回目の乗船であり、うまくオーバーランドツアーにも参加できた嬉しさが伝わってきました。
さらばガラパゴス。野鳥の楽園にも別れを告げ、何度も振り返りながら帰途につきました。
「たくさんの写真を撮ってきました。孫たちに大自然に生きている動植物の命と地球の命の尊さを話し、聞かせたいと思っています」
船内では、あっちでもこっちでも、そんな話が広がっています。共に楽しむ旅のひとコマであり、これもまた船旅の風景にもなっています。
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