PEACE BOATで世界一周の旅-その15
PEACE BOATで世界一周の旅ーその17

PEACE BOATで世界一周の旅ーその16

荒れる合流海域に巨船も翻弄

PEACE BOATは、インド洋と大西洋が合流するアフリカ大陸南端の大都市ケープタウンに近づいていきますが、日増しにうねりが激しくなり、船内の移動中に何度もよろめいて壁にぶつかっています。ポルトガルのバルトロメウ・ディアスが、1488年にインド洋への航路を初めて発見したときにも、この海域での難航ぶりが史実として残っています。故国の国王が荒海を乗り切って大陸の突端の岬にたどり着いた偉業を称えて「希望の岬」と呼び、それが地名になったとも伝わっています。

英語では「Cape of Good Hope(希望の岬)」と記載されています。江戸時代に屋久島に上陸した宣教師を調べた役人が、宣教師の持っていた地図に記載されていた外国語から、この岬を「喜望峰」と翻訳し、福沢諭吉がそのまま著書に記載したことから定着したようです。そんなことを調べているうち、船は4時間も遅れてようやく接岸しました。

喜望峰に立つ

船から降りると慌ただしくツアーバスに乗り換え、ただひたすら喜望峰を目指して走り出しました。出発が正午近くに遅れたので、日没前に喜望峰に到着しないと到着してすぐ帰るということになりかねません。途中で遅めのランチを食べてからもひたすらバスは走ります。

アパルトヘイト(人種隔離政策)と闘ったネルソン・マンデラの銅像が立つ市庁舎を車窓から見ながら、ともかくも喜望峰に向かってひた走りました。

市庁舎ネルソン・マンデラの銅像がある市庁舎のわきを通って喜望峰へ

海岸に押し寄せる波頭が幾重にも白い線を引いて独特の景観を見せるようになります。インド洋と大西洋がぶつかり、複雑な海流を巻き起こしているのでしょうか。泡立つ波頭の模様が際だち、遠くの岩山の突端に小さな灯台が見えてきました。

案内人は、夕方にさしかかっているので、灯台へのケーブルカーの乗るのは無理だと言います。しかしともかくも、ここまで来たという満足感に、顔を車窓にこすりつけながら限りなく広がっている海を眺めました。バスを降りて誰もがまっしぐらに突端まで行き着き、写真撮影に入ります。ついに喜望峰に立ったのです。

喜望峰1
喜望峰2

この泡立つ波頭の複雑に織りなす光景を、喜望峰沖を初めて通過した海洋冒険家のヴァスコ・ダ・ガマも見たのでしょうか。ケーブルカーは時間がないので無理だとわかり、せめて記念品を買い求めようと売店に殺到しました。しかしここはすでに超満員。それでも喜望峰入りの記念品を買い物かごに入れて、さて会計となると店外にはみ出すほどの行列です。PEACE BOATからのバスだけでなく、週末なので多くの観光バスが押し寄せています。

帰船する時刻が近づいて来ます。万一、バスが帰船時刻に間に合わないと船は出て行く、乗り遅れた乗船客は一路、陸上を走って次の寄港地、ナミベアのウオルズベイへ回るはめになります。と言うわけで買い物かごに入れた記念の土産類はすべて購入を諦めてバスに戻りました。

 グリーン・フラッシュを見る

 バスに乗り込む直前、今一度、喜望峰から海水線に沈み行く太陽を眺めました。そのとき上空に向かって放射状に照らしていた赤い太陽の色が褪せていき、一瞬、緑色に変色したのです。同じ光景を見ていた人たちが、一斉に「あっ」と声を上げた次の瞬間、太陽は海水面下に没していきました。

この光景を見た人たちがひとしきり、緑の太陽の話で持ちきりです。後で調べたらこれは太陽が昇るときと沈むときに見せるグリーン・フラッシュという光学現象であることがわかりました。

夕日喜望峰沖を沈み行く太陽。この直後にグリーン・フラッシュを見ました。

ダチョウの親子バス道路の脇にいたダチョウの親子

アフリカ随一の工業国の南ア

南アフリカ共和国(南ア)は、日本人ならラグビーの強豪国であることを知っています。この国に来てびっくりしたのは、男女とも体格が並外れて大きいことです。黒人と白人とさまざまな人種で構成されている国ですが、みな優れた体格をしています。

中でも驚いたのは、女性の幅の広さです。背も高いが幅がある。それも半端ではなく、ビーナス像を思い切り横に太くしたような、豊かな胸と偉大なヒップがとてつもない存在感を出しています。一体、これはどう言えばいいのでしょうか。日本的に言えば「デブ」という言葉が浮かびますが、しかし彼女らの行動と動作を見ていると素早く、自然な仕草です。一緒に行った乗船客のご婦人たちも語っていましたが、「どの女性も大きくて優しいのよね」と言います。店員さんもウイエトレスのお嬢さんも、にこやかな笑顔で、優しいという言葉がぴったりでした。

IMG_6203 (1)レストランのウエイトレス女性とツーショット。にこやかにカメラに向かってピースポーズを作ってくれました。このような体型をした女性が普通でした。

スポーツ大国と治安の悪さ

国民的に人気のあるラグビーは、ワールドカップ(W杯)に1995年に初参加していきなり優勝。99年には3位、07年には、強豪イングランドを破り2度目の優勝。昨年のW杯で日本が南アに敗れたのは当然の結果だったのでしょう。

南アはラグビーだけでなくサッカーも強く、国民の多く、特に黒人層には大人気だそうです。野球のWBCにも出場しており、一次リーグで敗退するもMLBの主力選手を擁するカナダに8-11と善戦して世界を驚かせました。

男女とも大型体格と機敏な動作を見ているとスポーツ大国であることは理解できます。港には輸出する乗用車が大量に並び、豊かな鉱物資源とともにアフリカ随一の工業国であることも分かりました。ところがどうにも理解できなかったのは、治安の悪さです。

PEACE BOATでも、下船して歩くときの要注意を細かく書き込んでいます。強盗、ひったくり、コソ泥などが蔓延しており、殺人事件も普通に起きているということです。原因は、貧富の差にありそうだし、人種間の確執もまだありそうです。

5月12日朝、船はケープタウンを離れて大西洋に出ました。これから一路北上してヨーロッパ大陸へと向かいます。海上の波は依然として高く、船は揺れ動いています。

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