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イベルメクチン論文の学術解析で「有効」を確認

世界の臨床試験93件を解析した八木澤守正・北里大学客員教授

イベルメクチン効果判定はさらに続く

イベルメクチンがCOVID-19 に対し有効かどうかを巡って、2年越しの論議が続いています。筆者は多くのイベルメクチン投与結果の論文と、自ら調べたアフリカ54カ国のイベルメクチン投与とCOVID-19 発症の疫学調査から、イベルメクチンはCOVID-19 の治療と予防に効果があると確信してきました。

先ごろ製薬企業大手の興和が、2021年11月~22年8月まで、軽症患者1030人を対象に偽薬(プラセボ)と比較する二重盲検試験を実施した結果、有効性を見いだせなかったと発表しました。

簡単には重症化しないオミクロン株の症例を主体とした試験結果であり、偽薬グループでも投与開始から4日前後で症状軽減が認められたという結果でした。重症化して死亡者が相次いだ従来のCOVID-19への投与とは状況が変わってしまい、イベルメクチンの効果を証明することが困難な状況での結果でした。

それではイベルメクチンをどう評価するべきか。世界で出ているイベルメクチン投与に関する多数の論文ではどうなのか。北里大学客員教授で抗感染症薬開発、薬剤耐性対策などを専門テーマに研究している八木澤守正教授が、イベルメクチンが有効であると論述した論文がどのくらいあるか解析した結果をこのほど纏めました。

93件の試験内容を解析

八木澤教授は、WEBで配信されている「Ivermectin for COVID-19:real-time meta analysis of 93 studies; Covid Analysis, Oct 28, 2022, Version 201」に掲載されている93件の試験内容を解析しました。ここでは臨床治験もしくは臨床試験を単に「試験」と表記します。

八木澤教授が解析した結果を整理したチャートは次の通りです。

早期治療37件、後期治療40件、発症予防16件です。

イベルメクチン-COVID 試験成績データベース;2022年11月4日この93件を解析対象の論文に適しているかどうかを精査したところ、イベルメクチンの効果を解析出来ない内容4件を除外しました。残り89件を解析対象としました。

合計83件のうち46件(55%)が有効

チャートでみるように、登録済治験36件のうちの16件(44.4%)、未登録治験47件のうちの30件(63.8%)の合計で83件のうちの46件(55.4%)の試験でイベルメクチンは有効であると判断しています。

一方で35件(42.2%)の試験では、「有意差は認められなかった」としています。イベルメクチンが「無効である」と判断される結果は2件ありました。

八木澤教授は「COVID-19という感染症に対するイベルメクチンの有効性を示すのは難しいことが示されています」と述べています。

早期治療の合計32件中で有効は17件(53.1%)、後期治療の合計36件での有効は15件(41.7%)となっています。

登録試験39件・未登録試験50件を精査

八木澤教授は解析対象の89件を試験登録済と試験未登録に二分した結果を一覧表にまとめて解析しています。試験登録とは、オンライン上で行われる臨床試験の事前登録でありエビデンスの質の向上を目的にした「公表バイアス(publication bias)」とも呼ばれ、後付け解析の防止などを目的にしたものです。しかし新型コロナ感染症のように、治療・予防に緊急を要する臨床現場では、医師主導の臨床試験は十分に準備したものにはなかなかならなかったという事情がありました。

こうした状況でしたが、登録済試験の論文の内訳は査読済みが34件、査読前のpreprintは5件ありました。この39件の論文を精査した結果、3件の論文内容は試験手法に不十分な点が明確であり、論文として解析する対象にならないとして除外しました。結局、登録試験では36件を解析対象としました。

登録済試験一覧

イベルメクチン-COVID試験成績データベース;登録済治験

登録36件のうち有効が16件(44%)

解析精査した内訳をみると早期治療では19件のうち8件が有効と判定していますが、「NS=Not Significant(有意ではない)」としたものが11件ありました。

後期治療では、12件のうち4件が有効、NSは7件でした。発症予防・後遺症では4件すべてが有効でした。

未登録試験50件を登録治験と同じように試験内容を精査したところ、論文の内容が不十分である3件を解析対象から除外しました。

未登録試験では、47件を解析対象にしました。

解析は、論文に記述されている試験成績が有意差をもって優れている場合を 「有効」 と判断し、有意差の無い 「有効性/無効性」 は「NS(Not Significant、有意ではない)」と判断しました。

イベルメクチンの成績が有意差をもって劣る場合は 「無効」 と判断しました。

未登録47件のうち有効が30件(64%)

早期治療13件のうち有効が9件でした。いずれも査読済論文でした。後期治療群では24件のうち有効は11件でした。発症予防では10件のうちすべてが有効でした。

未登録試験一覧

イベルメクチン-COVID試験成績データベース;未登録治験_ページ_1

発症予防はすべて有効となった

八木澤教授の解析で注目されるのは、発症予防の試験は13件の全てで有効だったことです。さらに後遺症に対する試験は1件のみでしたが、やはり有効と判断されています。

イベルメクチンの発症予防で筆者が衝撃を受けたのは、2020年3月にパリ郊外の老人施設で疥癬治療・予防から偶然にイベルメクチンのCOVID-19への発症予防に効果があることが確認された試験でした。この論文は、八木澤教授の解析対象にも入っていました。

これは老人施設で皮膚病の疥癬が広がったため、収容者と職員に対しイベルメクチンを投与しました。その結果、この施設の居住者、職員共にCOVID-19に感染した人は同じ地域にいる居住者に比べて有為に少なくなっていたという結果でした。

また、JAMA(The Journal of the American Medical Association、米国医師会雑誌)に掲載されたコロンビアの医師グループが出した「有意差なし」の論文は、掲載直後から試験内容に「致命的欠陥がある」と指摘されました。この論文も解析対象になっていますが、論議がまだ収束していないためか、有意差なしのままになっていました。

この論文では米国の医師たちが「研究著者らは主要評価項目を途中で不適切に変更し、主要評価項目を21日目までに完全な症状解決に移行しました。電話調査を通じて得られたこの自己申告による主観的エンドポイントは信頼できません」と訴え、今現在、175人の医師がネットで署名を明らかにして抗議を続けています。 https://jamaletter.com/

査読を受けている論文が70件(84%)

イベルメクチンの試験成績に関する論文は、査読を受けていないという批判がたびたび言われてきました。しかし八木澤教授の解析では「未査読論文は13件(15.7%)だけであり、70件(84.3%)は査読済の論文として発表されています」と語っています。

このような実情が学術的な解析で示されたのは、初めてではないかと思います。

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