世界一周の船旅の記録その1をアップします。1~30回です。
2024/11/25
2024年4月から7月まで、ピースボートのパシフィック・ワールド号(7万7千トン)に乗船して、世界一周をしてきました。
その様子を60回に渡って、ブログでアップします。
その①1~30回分のPDFファイルをアップします。
2024年4月から7月まで、ピースボートのパシフィック・ワールド号(7万7千トン)に乗船して、世界一周をしてきました。
その様子を60回に渡って、ブログでアップします。
その①1~30回分のPDFファイルをアップします。
NHK番組「クロ現(クローズアップ現代)」で旧統一教会と安倍元総理の「癒着」を実証的に報道
8月29日午後7時半からのNHKクロ現は、旧統一教会と自民党・安倍派との水面下での癒着ぶりを、実証的に報道しました。旧統一教会側にも釈明を語らせていますが、番組の意図・目的は、旧統一教会と安倍元総理、安倍派との「癒着」を語るためのものであることは、ジャーナリストの感覚からよくわかりました。
このほかの報道内容で重要な点は次の通りです
・安倍元総理が旧統一教会関連団体のUPFのイベントにビデオメッセージを送ったことについて、現教団トップの梶栗正義氏に次のように語らせました。
「安倍元総理と考えが同じなので様々な勉強会を各地で行い、安倍氏の考えに賛同し、各地で選挙応援をしてきた」
・安倍氏のビデオメッセージを見た元信者は「安倍元総理が教会を肯定したことに絶望した」「終わったなという気持ちになった」と語らせた映像を放映しました。
・旧統一教会周辺に、政治的ないくつかの団体があるが、そこに(霊感商法などで集めた)旧統一教会への献金が流れ、活動の原資になっていたことを梶栗氏に婉曲的に語らせて放映しました。
・安倍氏の8年弱の政権にあって6度の国政選挙で、旧統一教会が示した「誠意」を安倍氏が評価していたことを梶栗氏は語っていまた。
・水面下でつながっていた政治との関係が公になることや安倍氏との近さを教団内で心配する声がありました。教団の広告塔のように(安倍氏・自民党を)使っているのではないかとの声があったことを紹介しました。
・旧統一教会は急速に安倍元総理に近づき、選挙運動、秘書スタッフなどを通じて安倍派に浸透しました。その代表格が萩生田議員でした。萩生田氏が旧統一教会との関連を否定的に言うことを知った信者に「むなしいですね」と語らせ、萩生田氏の弁明が不正義である印象を実証的に示しました。
このほかにも次のような重要な事実を報道しました。
・政策に影響を出すためには、会員が地方議員になったり、国会議員の秘書になり中央政界へ波及する戦略をとりました。
・旧統一教会の思想に沿う政策が実現するように旧統一教会は地方政界を後押ししてきました。地方で条例が多数重なっていけばひとつの土台になると旧統一教会幹部に語らせました。
・「地方の動きを中央でもどうでしょうか」と働きかけることができたと旧統一教会側に語らせました。
・旧統一教会に汚染されていた富山県の県議38人のうち、6人が選挙支援を受けていました。
・旧統一教会のこれまでの活動が、安倍氏銃撃事件に結びついたのではないかとの質問に、梶栗正義氏はそのような受け止めがあったならば「重く受け止めたい」と語らせました。これこそ旧統一教会の真意だったのです。それを示すために、この場面を編集したのです。
たった30分の番組でしたが、旧統一教会と安倍氏・安倍派の親密な歴史的交流を実証的に映像化したもので、見方によっては安倍氏の銃撃をした容疑者の言い分に根拠があると言わんばかりの内容でした。
再放送があると思いますので、是非、そちらを見てもらいたいと思います。この番組を制作した取材記者と編集デスクに敬意を表します。
鶴岡憲一著「新聞記者人生」(花伝社)
特定のイデオロギーに傾かず、物事は是々非々で判断する
最近、新聞を代表とするメディアの停滞ぶりが指摘されています。かつて読売新聞記者をしていた筆者も同感であり、時代の変革と共に新聞記者活動が驚くほど変わってしまったことは、日々読んでいる紙面を通じて感じてきました。
昭和時代の新聞記者は、こうではなかったという思いに応えるかのように本書が発刊されました。
著者の鶴岡憲一氏は、読売新聞社会部・解説部・編集委員・論説委員と筆者と似たようなコースで記者活動をしてきたもので、テーマは違っても原稿執筆にかける取材活動の視点は同じでした。
ここに書かれている内容は、冒頭の民訴法改正をめぐる動きと顛末から始まり、日航ジャンボ機事故の原因追及はじめ、欠陥車問題、独禁法違反事件、温暖化京都会議、情報公開法問題などの取材・執筆を通じての裏面史は、読んでいて迫力がありました。まさに当事者としてどっぷりとつかった記者でなければ出くわさない問題であり、そこをどう切り抜けたか、敗北したかを淡々と語った記者人生として秀逸でした。
昭和時代の新聞記者は、第四の権力とか社会の木鐸とか言われた時代であり、社旗をはためかせて疾走する事件記者の活動は、NHK日曜日の連続ドラマでも人気番組となり、時代を映す社会現象でもありました。
著者の記者活動で貫かれていたことは、社会正義であり真実に迫ろうとする記者魂でした。淡々と書いているのですが、それが自慢話になっているかも知れないという感想をエピローグで語っています。自慢話に「聞こえる」シーンもあったかもしれませんが、それは真実を語った迫力であり、読んでいていささかも違和感がありませんでした。
リベラルだった往時の新聞記者が確信をもって活動したその中身は、自慢できるものだったのです。その流れが、この書籍の中を貫いていました。「特定のイデオロギーに傾かず、物事は是々非々で判断する」という新聞記者の取材姿勢を書いていますが、全くその通りであり、私たちはそういう時代の新聞記者でした。読みながら著者と同時代に活動できた幸運に感謝していました。
8月27日(土)午後7時のNHKニュースで、旧統一教会の被害者相談が急増しており、先月1か月だけで90件余に上っていると報道しました。相談内容に具体的に言及し、20歳代の「宗教二世で元信者」の悩みを語らせていました。
「不安とか恐怖とか憎しみ恨みを打ち明けられる存在がいままでなかった」との告白を紹介しました。さらに安倍元総理の銃撃事件が起きてから旧統一教会が間違っていることが多いと気がついたことも語らせていました。
NHKは、このところ、被害者に焦点を当てて事実を追跡報道しているように感じます。被害者家族の会の副会長が「諦めないで何とかなるので大変だが頑張ってほしい」というコメントを紹介していました。
また霊感商法で被害者に売りつけた経典などの写真を入れて、旧統一教会のインチキぶりを印象付けていました。新聞(東京新聞を除く)がやらなくてもNHKなど民放テレビ局が頑張って調査報道していると思います。
元総理が手製の散弾銃で撃たれて死亡する事件をきっかけに、旧統一教会問題がマグマのごとく噴出し、世の中が激しく揺れ動いています。嘘を何とも思わない教養のない人物たちが繰り広げている品性下劣な言動。それに振り回され、被害にあってきた善良な国民。何もかも知っていながら「傍観」してきた一群の無力なメディア。それを知って切歯扼腕する「昭和時代」の年寄りたち。
日本はいま、コロナ、ウクライナ、台湾・中国問題を抱えながら、忍び寄るスタグフレーションの足音におののいています。そして劣化する時代の「覇者」は、なんといっても賄賂をもらって逮捕された五輪組織委員会の理事でしょう。このような悪質で稚拙な犯罪が、日本社会の裏で浸潤していたとは驚きです。
酷暑と集中豪雨とコロナの2022年の夏。ここをしたたかに乗り越え、課題を着実に総括した上で、私たちの時代を作る力を持ちたいと思います。
旧統一教会で最も許しがたいことは正体隠しです。これは初期の旧統一教会の迷惑活動を取材した体験から染みついた筆者の評価であり、今も変わっていません。正体を隠して善良な市民に接近する手口は、詐欺師と暴力団が代表格です。最初から正体を出して接近すれば、みな逃げるからです。
旧統一教会が立派な教義なら、最初から堂々と正体を名乗り活動を展開すればいいことです。旧統一教会は、信者に献金ノルマを課したり、いったん上納された献金は、返金義務がないとする「合意書」を献金者から取り、返金の請求を放棄させる文書に署名捺印させています。献金後の返金要求を法的に難しくしている手口です。善意に付け込んでカネをむしり取るようなやり方を私たちは、反社会的行為と言っています。
岸田内閣政務3役(大臣・副大臣・政務官)を務める自民・公明の国会議員73人のうち、32人が旧統一教会と接点がありました(NHKニュース)。その内訳は閣僚8人、副大臣11人、政務官12人などになっており、19人は行事・イベントに本人もしくは秘書が出席していました(読売新聞8月25日付け朝刊)。
国会議員は、いまになって接点をもった団体や組織を旧統一教会とは知らなかったなどと釈明しています。そうかも知れません。しかし今後の対応については、あいまいに付け足す言い方をし、国民の非難が強まるにしたがって「党としてもう一段踏み込んだ対応が必要だ」(8月24日の岸田首相)と対応を変えてきました。萩生田政調会長は、あいまいな言い方から「今後は関係を持たない」と言い方を変えてきました(8月24日BSフジ)。これは、国民の批判を見ながら小出しに対応策を変えてきたもので、できたら時間とともにうやむやにしたいとする姑息な考えではないでしょうか。
「正体隠しと様子見対応」。表裏一体の関係に見えてきました。
「政治は数、それはカネの力」そのような政治哲学を最初に語ったのは岸信介と思います。国会で多数を握っていれば、何でもできる。それを実践したのは岸の実弟の佐藤栄作でした。沖縄返還交渉では密使・密約外交を展開し、「外交の私物化」を押し通して嘘の答弁を繰り返し、返還を自身の手柄にして退陣しました。国会で多数を握っていれば、何でもできる。その有様をつぶさに書いたのが拙著「沖縄返還と密使・密約外交 宰相佐藤栄作、最後の一年」(日本評論社)です。
民主主義は多数決の原理で成り立っています。しかし「政治は数、数は力、力は金」。このように明言したのは田中角栄であり、それを実践した政治家でした。国会で多数を保持していれば何でもできる。その伝統は引き継がれ、国会で嘘八百を語っても数で押し切れる。日本の政治風土が完成しました。政治信条・哲学・倫理は希薄でも、数でなんでも押し通すことができる政治風土を確立したのです。
モリカケ・桜を見る会の一連の事件は、国会で多数であればなんとでもなることを示してくれました。そのためには、票が必要だ。そのためには、カネと人手が必要だ。それが政治家の最大の望みになっていきました。カネと人手-その望みを叶えてやるのが、旧統一協会の戦略でした。カネは霊感商法で掻き集めてヤミ献金する。人材はマインドコントロールして信者に取り込んだ中から、資質の高い信者を政治の現場に送り込んで役立たせる。その代償として旧統一教会は政治からの庇護を受ける。この見えない糸で結ばれたギブアンドテイクが旧統一教会と政界を結んでいる全体像ではないでしょうか。
直近5年間だけでも被害相談は500件以上、総額54億円の相談が全国霊感商法対策弁護士連絡会にきています。そういう団体と付き合っている政治家は反社会的活動にくみしていることになり、絶対に許せないと私は思っています。
奈良地検は安倍元首相を殺害した山上徹也容疑者の精神鑑定を行うため、6月25日から11月29日まで長期間の鑑定留置を行っています。「刑事責任能力の有無を調べるため」と発表していますが、本当にそうでしょうか。検察当局(国家権力)の思惑による鑑定留置ではないかと筆者は疑っていました。
かつての事件記者の体験から見ると、この判断は奈良地検→大阪高検→最高検→法務省→国家権力と縦に上っていった結果出てきたことは疑いようがありません。この刑事事件は、事件勃発直後から日を追うごとに国策捜査の範疇に入ることを感じ取っていました。
「元首相・旧統一教会・反社会的活動・選挙活動と政治献金」などの関係が、週刊誌・テレビ番組・ネット情報などに洪水のように流れ出し、加えて夜回り取材で出てきた容疑者の供述内容が次々と露出してきました。
この中で「おやっ」と思ったことは、山上容疑者の旧統一教会に対する恨みと安倍元首相銃撃とは「直接的に結びつかない」ような当局の判断もしくは思惑が流れ出してきたことです。「銃撃死事件」と「旧統一教会と安倍元首相」とは、直接的に結びつかないように、国家権力が「苦慮」しているように見えてきたからです。山上容疑者の銃撃は、安倍元首相と旧統一教会が関係あると「思い込んだ」ための隅発的事件であったことへ導こうとしているように感じたのです。
これは思想・主義・信条・党派とは関係なく、確定事実に拘泥する記者活動の基本をやや超えた、社会部記者時代のカン(勘)から出てきたものでした。そう思った根拠を上げます。
1. 国葬前の起訴を避けたのではないか
刑事訴訟法256条(起訴状、訴因、罰条)3及び4には、罪となるべき事実を特定すること、適用すべき罰条を示すこととあります。国葬前に起訴すれば山上容疑者の犯行動機に「もっともな理由がある」との印象を国民に持たせるリスクがあります。これでは国葬反対が燎原の火のように広がって収拾がつかなくなる恐れが出てきます。その責任は国策捜査のやり方に穴があったからだとの指弾を権力側から受ける可能性が出てきます。これを避けるため、国葬前に起訴しない時間稼ぎを現場の検察当局は考え出したのではないでしょうか。
2. 奈良県警・地検の調べに任せていると、容疑者の供述内容が激しい取材競争の中から外部に漏出します。すると容疑者の犯行動機に、それなりの「妥当な理由」を印象付ける可能性があります。これを断つために鑑定留置を決行して、完全にメディア取材から「隔離」する方法をとったのではないでしょうか。鑑定留置後には、山上容疑者の供述内容はもとより、調べの様子も全く外部に出てくることがなくなりました。
3. もし鑑定の結果、精神に異常があれば当局が管理する医療機関などに隔離されて、この事件の真相は永久に闇の中に沈んでいく可能性があります。そのような思惑を秘めているとは考えたくありませんが、可能性はゼロではありません。
ジャーナリストの良心に従って、あえてこのような論評を発信します。