PEACE BOATで世界一周の旅ーその4
PEACE BOATで世界一周の旅ーその6

PEACE BOATで世界一周の旅ーその5 

船上で「学校給食世界一」を講演する

PEACE BOATでは、毎日、多数のエベントが展開されています。各種スポーツ、趣味・道楽、映画、教養、音楽、語学、料理その他諸々のテーマです。朝7時から夜10時ころまで切れ目なく、船のどこかで多数のイベントが同時進行で走っています。

その中でも異彩を放っているのが自主企画です。これは乗船者が企画立案し、PEACE BOAT担当者のOKをとり、会場を確保し、船内新聞で告知してもらって参加者を集めるもので、前日の夜に部屋に配布されて来る新聞案内を見て、翌日、それぞれ興味あることに行動を起こすというものです。

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筆者はこの機会に、日本の学校給食は世界一のソフトパワーであることを知ってもらい、食育推進の理解度を高める活動を船の上でやってみることに挑戦しました。

と言うのも、船の乗客はそれなりに社会的活動をやってきた方であり、年配者が多いので今の学校給食を知ってもらうことで社会的な認知度が広がるだろうという思惑です。学校給食甲子園を知ってもらい、主催者の認定NPO法人21世紀構想研究会の活動にも触れたいと思ったのです。

フリースペースとして一番広い場所を確保しましたが、果たしてどれくらい聴者が来るかまったく未知数でしたが、フタを開けてみれば約100人を超える方々が出席したので、びっくりしました。

日本人で学校給食を体験しなかった人はいません。年代によって献立の中身が違っているだけで、脱脂粉乳、コッペパンから始まって、今風の料理に至るまで驚くほど進化してきました。その有様と学校給食の重要性をまず理解してもらうために、2枚のスライドをお見せすると、関心は一気に高まりました。

スライド2学校給食の現状を見出しだけで紹介し、続いて学校給食摂取基準で示されている栄養管理について紹介しました。

今の子どもたちは、カロリー、タンパク質、脂肪、塩分を摂り過ぎています。家庭料理と外食が摂り過ぎの原因であり、それがやがて生活習慣病に結びついていきます。子どもが摂りすぎと言うことは大人も同じだということになります。

その一方で各種ミネラル、ビタミン、食物繊維などは不足しがちになっています。

スライド10学校給食では、摂りすぎになる栄養素を抑え、不足しがちの栄養素を補充する献立を作っています。栄養教諭がその基準を守るために必死になって献立を作成し、しかも美味しいものを出さないと子どもたちに食べてもらえない。加えて最近の物価高で、食材は軒並み値段が上がり、四苦八苦して予算内で献立を作っているのです。

食べるものに事欠いた戦後間もない時代は、コッペパンに脱脂粉乳、それに簡単なおかずだけという献立であり、船上客の大方がこの時代でした。それから時代を追って、日本の経済発展と歩調を合わせて学校給食の献立も激変していきます。

やがて飽食の時代になり、家庭環境も両親が働くようになって家族団らんの食卓は徐々に姿を消して行きます。子どもの睡眠不足と朝食抜きが問題点として浮上し、ファストフードの普及と子どもの健康が語られる時代になってきました。

そうした時代背景の中でも学校給食の栄養管理は徹底しており、ヘルシーな食事は肥満児出現で世界最低の実績を誇り、諸外国からは「日本の長寿国家は学校給食に原点あり」とまで、言われるようになってきました。

2005年に制定された食育基本法と栄養教諭制度のスタートで、食と健康を学び世界の食文化を知り、健康に生きていく基本行動と知識を身につける教育がいま、確かに根付いてきました。その実情を知ることで人それぞれが健康を考え、100歳時代に近づいていく状況を改めて認識しましょうというのがこの講演の狙いでもありました。

最後に、こんなに栄養管理ができた美味しい給食になった最大の功績者は誰か、質問しました。

スライド30

 正解は3の児童・生徒です。子どもたちはまずければ食べません。学校給食での食べ残しは献立を作り調理している栄養教諭と調理員の最大の課題になっています。美味しく食べて完食すれば、調理場だけでなく保護者も生産者も学校関係者はみな喜び、国民全体の健康保持にもつながっています。

 最後の問いかけの内容と正解は、聴者の皆さんにも意外感があったようで、ここで学校給食の理解度がさらに高まったように感じました。

コメント

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日野 健

世界一周の船旅乗船、おめでとう。早速の講義、ブログで見ると、とても充実した内容ですね。ご苦労様。小生、コロナ直前の2019年に船名「サン・プリンセス」のとき、同船に乗船して、大西洋、太平洋を横断し、大変満足しました。懐かしいです。その時、一番驚いたのは、アラスカの氷河がどんどん後退して、大きな湖となり、それを半袖で観光したことでした。
これからいろいろご体験なさるでしょう。どうぞ、ご健勝でお楽しみください。猛

Miyakawa

Excellent!
As expected of Professor Baba. Next up, a lecture on Japanese patents.

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