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「日経バイオテク」編集長の支離滅裂コラム

 誤った情報とは何か

「日本発の医薬品を求める気持ちは分かるが・・・」とタイトルのついた「日経バイオテク」(2022.10.10)のコラム「編集長の目」は、コロナ感染症治療薬開発のための臨床試験をめぐる論評を書いたものですが、何を言わんとしているのか支離滅裂で真意がわかりませんでした。

イベルメクチンと塩野義製薬ゾコーバの臨床試験の結果を受けて書いたものですが、ここではイベルメクチンについての「くぐもった論評」を指摘したいと思います。

コラム執筆者の坂田亮太郎編集長の友人から、イベルメクチンを調達したからコロナに罹患しても大丈夫と「どや顔」で1年ほど前に言われ、「めまいを覚えた」という書き出しでした。友人には「誤った情報が刷り込まれ」ており、「誤解を解こうとしたがムダだった」と書いています。

編集長が書いている「誤った情報」とは何かは書いていませんが、前後の文脈から推測すると、イベルメクチンはコロナ治療や予防に使用することは間違った情報だと確信しているようです。ならばイベルメクチンに対し、コロナの適応外治療を認めている国の判断は不問にされていいのでしょうか。「めまいを覚える」ほどショックを受けているなら、適応外から除外せよと主張することが科学ジャーナルの役割ではないでしょうか。

イベルメクチンを国は調達せよという意見広告

坂田編集長が友人から聞いた1年前と言えば、東京都医師会の尾崎治夫会長がコロナ患者急増で医療施設ひっ迫を受け、その治療・予防に「今こそイベルメクチンを使え」と同医師会こぞって主張していたころでした。

私の主宰する認定NPO法人21世紀構想研究会と東京都医師会は共同で、昨年9月にある大手新聞紙面で菅総理大臣に向かって「国はイベルメクチンを確保し、医療現場で使えるようにせよ」という主旨の1ページ意見広告を掲載する予定であり、ゲラまでできていました。

「菅総理大臣の英断を望む」というどでかい見出しの意見広告の賛同者には与野党国会議員をはじめ各界の有識者、医師、研究者ら多数が名前をそろえており、日本ではかつてないような大掛かりな意見広告であり、掲載日も決まっていました。ところがこの掲載の直前、菅総理が自民党総裁を退き、事実上、首相を退陣することを表明しました。これでは意見広告で訴える相手がいなくなるので、急きょ取りやめになったものでした。

幻の意見広告

結果的にこの意見広告は日の目を見ず、幻に終わりました。このとき立憲民主党の中島克仁衆院議員(医師)と自民党の富岡勉・衆議院議員(医師)は、「日本版EUA(緊急使用許可)法案成立を実現し、イベルメクチンを使うようにするべきという正攻法は間に合わない。緊急的に政府がイベルメクチンを用意し、希望する開業医が使えるようにするべきと言う意見広告を出したらどうか」という意見でした。

 

イベルメクチンが有効だったインドのコロナ大流行

インド株として世界を席巻したコロナ変異株の感染は、インド全土をパニックに陥れました。有効な治療薬も治療方法もないまま連日バタバタと死者が増え、病院の周辺では遺体を野焼きする有様でした。

インドでイベルメクチンは寄生虫病などに効く薬として薬局で市販されている地域もありましたが、コロナにも効くという論文が世界中で出始めており、人々はワラをもつかむ気持ちでイベルメクチンの服用を始めました。

州によっては、早くからイベルメクチンをコロナ予防薬として認める州政府が出始めており、人口2億3800万人でインド最大の州であるウッタル・プラデーシュ州では早くからイベルメクチンを州政府が導入して配布したため、感染予防に成功していました。

イベルメクチン反対だったインド政府が治験した結果は

インド政府は頑なにイベルメクチン使用を拒否していました。そこでおひざ元の全インド医科大学(All India Institute of Medical Sciences / AIIMS)の研究グループは、約3900人の医療従事者(職員及び学生を含む)全員を対象として、2020年秋からイベルメクチン効果の臨床試験を実施しました。

イベルメクチンを体重1キロ当たり0.3ミリグラム3日間隔で2回投与した群は、何もしなかった群に比べてコロナ感染を83%減少させたという論文を発表しました。

2021年2月15日、世界の臨床医や研究者が参加している医学ジャーナルの「CUREUS」に論文は掲載されました。世界でも第一級の研究グループの成果ですから、非常に信頼性が高いものです。その後この論文は、査読論文として世界で認知されました。

その記事が、同年8月5日に再掲され、メディアを通じて世界中に広がりました。この情報を受けた筆者たちは、イベルメクチンの使用を日本で普及させるための方策を考え、意見広告を掲載しようと奔走したのでした。

アメリカでイベルメクチンはどうなっているか

繰り返しますが坂田編集長はコラムで、イベルメクチンを使うことに「めまいを覚える」とか友人は「誤った情報が刷り込まれている」と書いています。これは明らかにイベルメクチンを使うことを「非難」している表現です。

ではアメリカではイベルメクチンはどのように理解されているのでしょうか。アメリカでは適応外治療として認めています。米国国立衛生研究所(NIH)やアメリカ食品医薬品局(CDC)は、治験以外に使用することは推奨しないと今でも発出しています。

しかし州政府によっては、適応外でコロナ治療に使うことを認めているところも多く、共和党と民主党がイベルメクチンの是非で論争するなど科学・医学の話ではなく、政争の具にしていると批判するメディアもあります。

アメリカの臨床医師団体(FLCCC)が分析した世界の論文

  • 東京都内の自宅待機者が2万人を超えている。
  • 医師は何も対応できず、患者が重症になっても受け入れる病院もひっ迫
  • 世界の多くの国でイベルメクチンを使用して効果を上げている

日本でこのような事態だった2021年8月、FLCCCがまとめた世界中の2万6398人を対象にした63件の臨床試験について613人の医師・研究者が臨床試験結果に参加しました。

これらの結果を踏まえてFLCCCの医学・統計学者たちが分析した結果を示します。

14件の予防試験において86%の予防効果

27件の初期症状治療試験において73%の改善効果

22件の重症治療試験において40%の改善効果

25件の臨床試験において61%の死亡率低下

31件のランダム化比較試験(軽症から重症者を含む)では60%の改善効果

2021年7月中旬時点の世界の状況です。

・イベルメクチンを全国的に採用している国は15カ国

・一部地域で使用されている国は16か国

・医師の責任で処方ができる適応外使用が認められている国が2カ国

合計33か国でイベルメクチンをコロナの治療・予防に使用していました。

イベルメクチンは、数十年にわたって世界で延べ30億回以上の投与実績があり、著しく安全性が高い医薬品と評価されてきました。中国やインドなどの多数の製薬企業が製造販売している極めて廉価な医薬品であり、中南米では処方箋がなくても購入可能な一般医薬品として取り扱われています。

世界を見ればイベルメクチンの効果が見える

「日経バイオテク」の坂田編集長の友人がコロナ治療・予防にイベルメクチンを役立てようと考えたのは、世界の状況を知れば妥当な判断だったと私は思います。

もちろん製薬企業がコロナ感染症を対象に、大がかりな臨床試験を実施して薬の効果を確認することが最善の方策です。しかしイベルメクチンはオンコセルカ症(河川盲目症)、リンパ系フィラリア症などの熱帯病の特効薬として、世界保健機関(WHO)をはじめ世界中の国々が20年以上前に承認した薬剤です。今更、巨額の資金を投与してコロナ対象の臨床試験をしようとは思わなかったでしょう。

新型コロナにも効果があるなら適応外だがパンデミックの中で使用しよう、ということになったのはやむを得ないということでしょう。日本政府も2020年5月18日にイベルメクチンを「適応外」としてコロナの治療に使用する指針を出しています。

そのころまでに、世界では27か国、36件の臨床試験が行われており、イベルメクチンが予防・治療に効果が出ていると報告されていました。だから厚生労働省も適応外を認めたのです。効果がないと出ていたら承認しませんでした。

政府が使用を認めていても「めまいを覚える」

2021年2月17日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の中島克仁議員がイベルメクチンについて、「国として早期にコロナの治療薬として承認できるように治験に最大限のバックアップをすべきである」との提案を行いました。

これに対し田村厚生労働大臣は「適応外使用では今でも使用できる。医療機関で(イベルメクチンを)服用して自宅待機するという使用法もある」と答弁しています。

2021年10月15日、参議院で岸田文雄総理大臣は「イベルメクチンは、様々な研究論文が発表されており、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての評価が定まっていないが、医師は患者に適切な説明を行い、その理解を得るように努めたうえで、個々の事例に即して適切に適応外使用を行うものと考えています。コロナ感染症にイベルメクチンを医師が処方した場合、診療報酬請求書の審査については厚労省から審査支払機関に対し、個々の症例に応じて医学的に判断していただくようお願いしている」(大略)と答弁しているのです。

つまり日本では、コロナ治療にイベルメクチンは医師と患者の同意のもとに使うことが認められており、診療報酬請求ができることを認めています。ただしその審査は支払い機関にゆだねられていると政府は明言しているのです。

それなのに坂田編集長は、イベルメクチンを使うことに「めまいを覚えている」と言います。

日本ではイベルメクチンをコロナ治療に使っている医師が何人もいます。その医師や患者は、自己責任で使っているものであり、誰にも迷惑をかけていないでしょう。むろん非難されるいわれはありません。自分の健康と命は自分が守っているのです。

坂田編集長は「私は知る限りの情報で彼(筆者 注:編集長の友人)の誤解を解こうとしましたが、ムダでした」と書いていますが、日本政府が使用を承認しているイベルメクチンを使うことが「誤解」になるのでしょうか。

イベルメクチンは日本でなぜ使えないか

日本ではイベルメクチンをコロナ治療に使えますが、実際には使うのが非常に難しいのです。通常は皮膚病の治療薬としてイベルメクチンが処方されています。アメリカのメルク社が製造し、日本企業が輸入して販売していますが、メルク社はコロナの治療薬を開発したためか、イベルメクチンはコロナの治療・予防に効くかどうかは確認されていないという見解を発表しています。

そして疥癬などの皮膚病以外に使わせない意向が強く働いているのか、メルクからのイベルメクチン供給がうまくいかなくなり、国内のイベルメクチン供給には結びつかないのです。

医師がイベルメクチンの処方を書いても、薬局に薬剤がないなら事実上、イベルメクチンは使えない薬剤になっています。多くの国民は自己責任のもとに外国から個人輸入し、予防・治療に役立てようとしています。

興和の治験の目的は何か

コロナ感染症の治療や予防にイベルメクチンが使えるようになれば、国民にとって非常に有難い。その希望を充たすため、興和は臨床試験でイベルメクチンの効果を証明しようと取り組みましたが、結果は効果を証明できませんでした。

しかし興和の臨床治験はしっかりした内容であり、研究現場からも受け入れられるでしょう。今の時点で医薬品メーカーが、多額の費用を使ってコロナ治療のための臨床試験を実施したことに敬意を表します。

この治験結果には2つの課題が残りました。

第1は、新型コロナウイルスの変異株の感染患者を対象としたものであり、この時点では重症化にはなりにくい状況になっていました。偽薬(プラセーボ)投与群でも4日以内に軽快してしまい、イベルメクチンの効果を証明することが困難であったからです。

第2は、興和の結果を受けて、イベルメクチンはコロナに効かない薬剤という判断が広がるかもしれません。これは一つの結果であり、最終的な結論にはまだ多くの科学的治験が必要でしょう。

坂田編集長は「今回の興和の発表は決定的だと感じています」などと書いていますが、科学的に論考したものではなく、タイトルに「・・・気持ちは分かるが・・」などと掲出しているように、科学の論評に個人的情緒観念を入れ込んだものと受け取りました。科学コラムとしてはいかがなものかと言わざるを得ません。

私的感情が露出したコラムです

コラムの最後にゾコーバが緊急承認されれば「晴れて日本発のコロナ治療薬となります」などと結んでいますが、なぜ「晴れて」なのかその意味が不明です。ご自分だけ「晴れて」いるのではないかと誤解を生むような書きぶりです。誰が「日本発」を待ち望んでいるのでしょうか。

また掲出した写真は、イベルメクチンの錠剤を撮ったものですが、写真説明には驚きました。

「イベルメクチンをめぐる誤った情報は、今もネットや書籍にあふれています」とあります。「あふれる」とあえて書いているこの表記は、明らかにイベルメクチンを「敵視」する書き方であり、客観性が要求される科学ジャーナルには馴染まない表記であると指摘しておきます。

イベルメクチンに対する国の方針は無批判でいいのか

坂田編集長が「めまいを覚え」るほどイベルメクチン使用にショックを受けたなら、これを適応外として治療に使うことを認めている国に対して、無批判であることは科学・医療ジャーナルとして社会的責任を果たしていることにならないと思います。

イベルメクチンにだけ焦点を当てて批判したところで、適応外として使用している医師・患者がいます。それに「お墨付けをした」国があります。そうした仕組みと実態に触れることなく、単にイベルメクチンに対する批判を展開したところで、社会に訴える科学ジャーナルとしての役割があるのでしょうか。

アメリカでもNIHやFDAに対するイベルメクチンの対応を批判する論評が、いくつも出ています。イギリスには、メタ分析の権威でありWHOの顧問も務めていたテス・ローリエ博士(Dr. Tess Lawrie)が、世界中のイベルメクチン使用の論文を分析し、イベルメクチンはコロナ治療に効果あると主張しています。

最近、テス・ローリエ博士が、イベルメクチンを葬ったのはビル・ゲイツだと糾弾しているインタビューが公開され、世界中で大きな反響がありました。

こちらです → https://rumble.com/vyozf8-former-w.h.o.-consultant-exposes-takedown-of-ivermectin.html

こうしたイベルメクチンを巡る世界の動きをイベルメクチン批判も入れて報道することが、科学ジャーナルの使命と思っています。

コメント

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通りすがり

「めまいを覚える」は明らかな印象操作ですね。しかしながら「たまたま目眩がしただけ」と逃げを打てるように書かれているので、所詮は個人の感想です。全体的に「晴れて」とか、文系人間の修辞を駆使して、印象操作に終止しています。このような輩には本記事のような事実を突きつけたら、目眩どころか真っ青になるでしょうね。

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