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安倍晋三元総理大臣は戦後初の横死だった

横死した日本の歴代総理大臣を検証する

横死(おうし)とは、殺害や不慮の災難にあって死ぬことであり、天命を全うしない非業の死を言います。明治18年12月22日に指名された伊藤博文・初代総理大臣から第101代・岸田文雄総理大臣まで実数で64人が総理の椅子に座りました。

暗い戦争の時代

江戸時代の265年間、日本は鎖国によって外国との交流を絶ち、ひたすら平和国家を維持しました。ところが1868年の明治維新以降、中国文化から脱却し、西欧文化一辺倒になって近代化へ進みました。そして明治27年の日清戦争から昭和20年8月15日の太平洋戦争終結までの46年間、日本はひたすら外地を侵略し、戦争に明け暮れた国になりました。

日清戦争1894(M27)年8月~95(M28)年3月

日露戦争1904(М37)年2月~05(М38)年9月

日中戦争1937(S12)年7月~45(S20)年8月

太平洋戦争1941(S16)年12月~45(S20)年8月

この時代に暗殺された総理大臣は5人、戦争責任を問われて絞首刑となった総理大臣は2人、戦争責任から自殺した総理大臣が1人いました。

暗殺された総理大臣

伊藤博文1909(М42)年10月26日、ハルビン駅頭で暗殺

原 敬  1921(T10)年11月4日、東京駅頭で暗殺

犬養 毅1932(S7)年5月15日、515事件で暗殺

高橋是清1936(S11)年2月26日、226事件で暗殺

斎藤 実1936(S11)年2月26日、226事件で暗殺

戦争の責任を取って自殺または処刑された総理大臣

近衛文麿1945(S20)年12月16日、自宅で服毒自殺。

東条英機1948(S23)年12月23日、巣鴨拘置所で死刑

広田弘毅1948(S23)年12月23日、巣鴨拘置所で死刑

伊藤博文から戦争の時代の最後の鈴木貫太郎まで42代(実数29人)の総理大臣を輩出しましたが、そのうち延べ13代(全体の31%)は、暗殺か戦争責任で死亡した総理大臣でした。この時代、日本の総理大臣は血塗られた歴史の中で活動したのです。

平和憲法を必死に守った戦後の総理大臣

戦後日本は、戦争を放棄した平和憲法を守って、徹底した平和国家となったはずでした。昭和20年8月17日から今日まで第43代から第101代まで実数で35人の内閣総理大臣が誕生しました。その中で安倍元総理は、戦後初めて横死した総理になりました。

安倍元総理はなぜ、銃撃を受けたのか。それは政治テロでもなく、思想テロでもなく犯人の個人的恨みを晴らす個人テロでした。

これまでのメディア報道によれば、母親が元統一教会の信者になり1億円相当を教団に寄付しました。それが原因となって破産に追い込まれ、一家が悲惨な境遇に陥ったことから教団に恨みを持ち、この教団と元総理は深い関係があると思い込んだ犯人が手製の散弾銃で狙撃したものでした。

安倍元総理は、閣議決定で憲法違反である集団的自衛権の一部行使容認を決め、戦前の危うい統治国家に回帰させるような憲法改正を先導しているリーダーでした。しかし今回の個人テロは、そうした政治的動きに対する対抗ではなかったようです。

 旧統一教会と政界との癒着

「日刊現代」紙の報道によれば、反社会的活動を50年以上にわたって続けてきた旧統一教会と関係ある国会議員は112人おり、そのうち34人は歴代政権の重要ポスト経験者だと報告しています。

 【統一教会】旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 歴代政権の重要ポスト経験者が34人も|日刊ゲンダイDIGITAL (nikkan-gendai.com)

その頂点にいたのが安倍元総理でした。今回の「横死事件」の全貌は、元統一教会と政界のつながりの総括なくして解明できないものです。大手メディアはこれまで元統一教会と政界の癒着に、だんまりを決め込んできました。

昭和の時代のメディアのように社会の木鐸、社会正義のためにメディア本来の機能を発揮できるのか。大手メディアは、今まさに正念場を迎えています。国民は政界の動きと同時にメディアの動きにも注視する必要があります。

 


安部晋三元総理の銃撃死と歴史に刻まれた4つの汚点

安部晋三元総理が、手製の散弾銃で狙撃され衝撃的な最期を遂げました。

痛ましい事件でしたが4つの汚点を歴史に刻み込みました。
第1の汚点は、この事件は政治テロでもなく、民主主義を否定する思想テロでもありません。犯人が受けた逆境の元凶が安部元総理にあったとする思い込みから出た計画的な犯行でした。

これほど個人的な動機で元総理に強い殺意を抱き狙撃したその事情には相応の理屈が存在しており、その可否を検証しなければならないという誠に低質な課題が残されたことでした。元総理大臣を狙撃する。その原因を遡ってみれば宗教団体「世界平和統一家庭連合」というまるで政治思想集団のような名前の団体に行きつきました。世に言う元統一教会です。


筆者は一時期、この宗教団体の一端を取材した経験から、社会的に受け入れることができない集団だと確信していました。そんな団体とかかわっていたというだけで元総理の経歴と歴史に汚点を残しました。


第2の汚点は、元統一教会と多くの自民党議員が、この50年以上にわたって地下水脈で結びつき、お互いに利害得失を分かち合ってきたことです。それだけなら他の宗教団体と政党・政治家も実例を重ねてきましたが、元統一教会は、反社会的活動を展開する集団として際立っていました。


印鑑、壷、多宝塔、高麗人参濃縮液などの販売を展開し、信者をマインドコントロールし、霊感商法などで金をだまし取り、合同結婚式という常軌を逸した集団行動を公開し、たびたび批判を浴びて社会問題となっていました。


そのような集団とねんごろに付き合ってきた政治家の頂点にいたのが元総理であり、集団のイベントには祝辞を寄せるほどの間柄でした。これは政党・政治家の汚点と言わずしてなんと言えましょう。
筆者の尊敬していた自民党代議士も元統一教会と親密に交流しているのを知っていましたが、その目的は選挙の票集めでした。


第3の汚点は、メディアの報道姿勢です。元総理が狙撃され死去し、犯人が逮捕されて自供しているにも関わらず、数日間も元統一協の名を伏せ、元統一協関係者が記者会見をした後で一斉に報道しました。
新聞・テレビだけでなく雑誌メディアも同じであり、その間、ネットでは元統一教会のかかわりを指摘する情報が席巻していました。その間、新聞・テレビを代表とする日本のメディアは、全く機能しなかったという大汚点を残しました。


第4の汚点は、元総理の国葬です。国葬とは国家の威信に関わる政治的な思惑に基づき、国費で執り行われる祭事と理解しています。数々の反社会的な行動を繰り返し問題を起こしていた団体とかかわってきた元総理を国葬として執り行うことに筆者は反対します。これこそ歴史に残る汚点と断じます。