NHKの欺瞞に満ちたイベルメクチン報道 イベルメクチンとコロナ感染症の世界の動向-10
2021/09/18
公正性ゼロのNHKの報道番組
さる8月23日に放映されたNHKの「効くのか?効かないのか? イベルメクチン コロナ治療に効果は…」という報道番組は、一方的にイベルメクチンを否定する内容である。
「効くのか?効かないのか?」とタイトルでうたっているが、「効かない」ことをこれでもかというほどの主張を掲げて放映したものであり、著しく公正性に欠けた番組であった。
筆者のもとに、NHKを見たがどう思うか。反論はしないのか-などの反響が多数寄せられたので、この番組を総括しておく。
メジャーな国際機関やメルクに語らせた主張
まず第一に「効くのか? 効かないのか?」とタイトルに掲げておいて、「効いている」とする実例と米英を中心とする医師・研究者団体の成果は一言も触れていない。
「効いていない」ことを言わんがため、十分な証拠(エビデンス)が揃っていないとの見解をあげているWHO、NIH、FDA、アメリカの薬剤メーカーのメルクなどの言い分を羅列したものである。イベルメクチンを開発しておきながら躍起となってコロナ利用には否定しているメルクの言い分まで出している。
メルクはいま、新たなコロナ治療薬を市場へ出す寸前になっているとされ、イベルメクチンに効果があるのでは困る立場になることは客観的に見ても明らかだ。国際的にもメルクは、この理由で糾弾されている。
一方的な見解や主張をこうした国際的に著名な機関やメーカーに語らせて視聴者に「効いていない」ことを印象付けようとした番組編集であることは明らかである。
イベルメクチン効果ありとする紹介はゼロ
アメリカの救急救命の専門医らが中心になって組織したFLCCCやBIRDの活動は、すべてネットで公開されており、大きな影響力を発揮している。途上国に対してイベルメクチン使用を奨励するコメントを発信し、それを受け入れている国もある。
PLCCCによると、世界中の2万6398人を対象にした63件の臨床試験に613人の医師・研究者が参加しており、同グループな臨床試験のメタ分析を行ってきた。その結果、86%の予防効果、73%の改善効果、重症治療試験において40%の改善効果があった。61%の死亡率低下、31件のランダム化比較試験(軽症から重症者を含む)では60%の改善効果があったと報告している。
イベルメクチン否定派が最も強調するランダム化比較試験でも、31件出ている。これに対し多分、否定派は小規模な臨床試験とか世界的に確立された臨床試験方法の「欠如」をあげるだろうが、その背景には「途上国の医師団の臨床試験」を意識しているというのが大方の見方だ。
逆に言えば、先進国の医師・研究者しか信頼できないとする不条理な差別意識につながっている。
NHKにそのような意識があったかどうかは不明だが、報道姿勢からは明らかにそのような視点を感じざるを得ない。
さらに適応外使用を無視した報道
日本ではイベルメクチンを2020年5月18日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2版」(24ページから)で、「適応外」としてコロナ治療にイベルメクチンを医師が処方することを認めている。
「日本国内で入手できる薬剤の適応外使用」としてイベルメクチンを記載して全国に通達をしたものだ。むろん、処方すれば医師は保険請求もできる。臨床医がこれを根拠に治療に使っても違法でも不適切でもない。
ただ適応外とは、使用にあたっては医師・患者が同意し、万一副作用などの薬害があっても救済制度の対象外とされているだけだ。
つまり医師・患者の自己責任でコロナ治療に使用してもいいという国の判断である。この判断は、効いているという前提で出しているのであり、効いていないものや効いているかどうか全く分からない薬剤を適応外として認めたら、国は犯罪者になる。
立憲民主党の中島克仁議員が、この3月の衆議院予算委員会でイベルメクチンの使用拡大に向けて政府に質問したとき、田村厚生労働大臣は「適応外使用では今でも使用できる。医療機関で服用して自宅待機の使用法もある」と答弁している。
NHK番組では、このようにイベルメクチンに効果があるとする根拠に基づいて適応外使用を認めていることを一言も報道しなかった。使用することをあたかも「不適格者」でもあるような、一方的な悪意を感じさせるような内容だった。
全国には、この適応外の制度を利用してイベルメクチンをコロナ患者に処方している医師が多数いる。代表的なのは、兵庫県尼崎市の「長尾クリニック」院長・長尾和宏医師で、約100人の患者にイベルメクチンを処方してすべて効果があったと報告している。民放テレビ番組やネット情報で多く取り上げられ社会現象ともなっているがNHKは触れなかった。
これこそ効果があるという事例を無視したものである。
勇気ある東京都医師会の方針
東京都医師会の尾﨑治夫会長は、筆者とのインタビューで東京都医師会としてイベルメクチン適応外使用を推奨していることを語った。
この報道には大反響があった。しかし尾﨑会長は推奨してもイベルメクチンがないことへの危惧を語っていた。筆者は、医師で衆議院議員である立憲民主党の中島克仁議員、同じく医師の自民党、富岡勉議員に取材したところ、お二人とも絶対にイベルメクチンを投与すべきと主張した。
中島議員は、今も臨床医として活動しており、イベルメクチンを処方して効果を上げていると語っていた。また富岡議員は「適応外として一斉に全国で処方するとモノ(イベルメクチン)がなくなる。ジェネリックでも使用できるように緊急に制度を変えればできる。立法化などなくてもできる」と語っていた。
NHK放映の意図は何か
このような国内の動きを全く無視し、イベルメクチン全否定の編集方針で番組を作った意図は何か。想像するに厚労省の一部の官僚の思惑を受けて、NHKがイベルメクチンの火消しに回った可能性である。
筆者らはそのころ、一部の政界からの要望もあって、メジャーな新聞1ページを使い菅総理に向けて「イベルメクチンの緊急確保と副作用などの健康被害には救済せよ」とする意見広告を掲載する準備を進めていた。菅総理に届いたかどうかは不明だが、菅総理が理解できるように説明した書面もある人を介して届けるように手配していた。
そうした動きを厚労省は察知したかもしれない。ここで火消しをしないと意見広告によってイベルメクチン使用が国内に燎原の火のように広がりかねない。それはまずい。日本政府としては、自ら判断を下すのではなく、あくまでもアメリカ政府機関の判断待ちであり、それを越えて自ら判断をくだす力量も度量もなかっただけである。
医療施策の貧困さが、はからずもイベルメクチンで露呈したと言わざるを得ない。意見広告は、菅総理の自民党総裁選不出馬という政局動向を受け、効果は極めて疑問とする判断から取りやめた。大金を使って意見を吐いても無駄と思ったからである。NHKの番組を意識したからではない。
つづく