遅すぎた競争力喪失の科学技術政策
2021/01/19
1月19日に開かれた政府の統合イノベーション戦略推進会議(議長・加藤勝信官房長官)で、2021年から5年間の研究開発の政府目標を30兆円で過去最大と発表しました。基本計画では官民合わせて120兆円の研究開発投資を目指すとしていますが、にわかには信じられません。120兆円とでかい数字をあげ、「官民合わせ」とか「目指す」という文言が曲者です。
3年前の2018年7月に政府に対し「危機に立つ日本の科学技術と未来への提言」を行いました。有馬朗人先生はじめ、野依良治、安西祐一郎、濱口道成、梶田隆章氏らの個別提言、さらに荒井寿光氏らと自民党の大野敬太郎、渡海紀三朗代議士らも座談会に出席し、危機に立つ日本の科学技術を訴えていました。筆者も研究成果を囲い込む知的財産活動の停滞は科学立国の危機に結びついていると訴えました。しかし安倍政権は、山の如く動きませんでした。
いま世界の技術革新は、先端技術開発よりも頭脳と人材の育成と囲い込みが機先を制する時代になっています。中国の「千人計画」はまさに人材育成と囲い込み戦略であり、20年以上前から展開している国家戦略の拡大政策です。これにいちゃもん付ける暇があったら自らの国家戦略の実行力を誇示してほしいと思います。
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