全国学校給食甲子園に思う
2017/12/13
第12回全国学校給食甲子園は、埼玉県越生町立越生小学校の栄養教諭、小林洋介先生と三好景一調理員が優勝した。男性ペアが優勝したのは史上初めてである。
学校給食の現場は、学校栄養士と調理員のほとんどは女性であり、女性の職場である。この数年、この女性の職場に男性が入り込んできた。全国学校給食甲子園の決勝大会でも、男性選手が増えてきている。男女のスタッフが入り混じって切磋琢磨する職場に向かおうとしているように見える。
日本の学校給食は、世界に例がない制度であり、世界に誇る制度である。人口1億人以上の国で、日本のように児童・生徒に学校給食を支給している国はない。育ち盛りで健康に一番配慮する年代に、栄養を管理された食事を提供することは、将来の健康を考えると非常に重要なものになっている。
筆者が、全国学校給食甲子園を思い立ったのは、2006年である。その前年に食育基本法が制定され、栄養教諭制度が発足した。それを受ける形で、学校給食現場で働く学校栄養士、調理員が脚光を浴びるイベントとして創設した。
文科省の学校給食の衛生管理の審議会の委員を1997年から委嘱されており、数多くの学校給食調理場に足を運び、学校給食の運営についてや実務を検分する機会があった。そこで学んだことが、学校給食の重要性だった。
学校給食は栄養素の中でも不足しがちのビタミン、ミネラルを補充し、過剰に摂取しがちのカロリー、脂肪分、塩分、たんぱく質などの上限を定める栄養管理を徹底し、成長期にある児童・生徒の健康管理をしているのが学校給食であることを知った。
成人病予防は、幼少期の栄養管理から始まるという報告がある。幼少期に埋め込まれた食べ物の嗜好は、生涯、付きまとってくる。学校給食には、郷土料理の伝承の場という面もある。母から子へと受け継がれていった郷土料理は、核家族化とともに影が薄くなり、スーパーで販売されているレトルト、インスタント料理へと急速に傾いていった。
そういう時代に、学校給食は伝統的な郷土料理を受け継ぎ、子どもたちに提供してきた。そのような役割も学校給食にはあることも強調しておきたい。