第130回21世紀構想研究会・特別講演と忘年パーティ
技術貿易は黒字だがこれでいいのか日本

カジノ解禁法成立を急いだ政権与党の愚かな政治

 先の臨時国会でカジノ解禁法が成立した。自民党、日本維新の会、公明党などが賛成し、ろくに審議もしないで多数決の論理だけで成立させた法律である。公明党は、自主投票というこれまた政党の体裁をしていない方針で結果的に成立に手を貸した。

 今国会で新たに提出された100本以上の法案は、審議にも入れなかった。その中でカジノ解禁法がいかに優先的に成立を急いだかが分かる。たとえば、自民党べったりでカジノ法の成立に賛成した維新の会は、選挙公約として国会議員の歳費削減などの法案を提出していたが、審議もなし成立する目途もないまま放置されている。

 このような国民の注目する法案は放置して、なぜカジノ解禁法の成立を急いだのか。

 日本には、パチンコという官民が癒着しているカジノがある。そのパチンコですら賭博中毒になった愚かな人を多数生んでいる。政府公認の博打場ができれば、さらに「中毒患者」が生まれる可能性が高い。

 大体、カジノの経営は、博打に負けた人の賭け金で運営し利益を出している。生産性も倫理性も本来は皆無だ。娯楽施設やホテル、集会場などと一体化したカジノでなければ経営は成り立たないが、いくつかの地方都市では、地域活性化と称してカジノ経営に乗り出そうとしている。愚かな考えである。

 外国からの観光客もあてにしたものだが、アジアには観光と一体化したカジノがいくつもある。日本でカジノを経営しても成り立つのかどうか、そのような確かな予測も聞いたことがない。

 筆者はかつてアメリカのラスベガス、リノなどのカジノに行ったことがある。国際学会が開催されていたので取材に行ったものと、サンフランシスコから夜行バスで遊びに行ったことがあった。どのホテルにも大きな集会場が敷設されており、各種の展示会や学会が多数、開かれていた。

 学会参加証を首から下げた研究者らが、スロットマシンを楽しんでいる光景を見てびっくりしたが、息抜きの娯楽気分に見えたしカジノはこうした中で経営が成り立っているのだと思った。ラスベガスは、広大な砂漠の中にある都市で産業が育たない。そこで賭博と売春を合法的にして人々を寄せ、地域に特殊な「産業」を育てたと聞いている。

 そうした特殊事情もなく、産業振興策も行わずに安易に賭博で負けた人の金銭をあてにして地域振興を目指すなどは、政治ではなくヤクザの考えと同じではないか。

 この政権は圧倒的な多数を維持していながら、日本の将来にかけた教育、科学技術、研究などには熱心に取り組まず、カジノ解禁法などにこれだけ熱心に取り組むのは亡国の政治である。

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