04 全国学校給食甲子園

全国学校給食甲子園に思う

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埼玉県越生小学校の男性ペアが優勝

 第12回全国学校給食甲子園は、埼玉県越生町立越生小学校の栄養教諭、小林洋介先生と三好景一調理員が優勝した。男性ペアが優勝したのは史上初めてである。

 学校給食の現場は、学校栄養士と調理員のほとんどは女性であり、女性の職場である。この数年、この女性の職場に男性が入り込んできた。全国学校給食甲子園の決勝大会でも、男性選手が増えてきている。男女のスタッフが入り混じって切磋琢磨する職場に向かおうとしているように見える。

 日本の学校給食は、世界に例がない制度であり、世界に誇る制度である。人口1億人以上の国で、日本のように児童・生徒に学校給食を支給している国はない。育ち盛りで健康に一番配慮する年代に、栄養を管理された食事を提供することは、将来の健康を考えると非常に重要なものになっている。

 筆者が、全国学校給食甲子園を思い立ったのは、2006年である。その前年に食育基本法が制定され、栄養教諭制度が発足した。それを受ける形で、学校給食現場で働く学校栄養士、調理員が脚光を浴びるイベントとして創設した。

 文科省の学校給食の衛生管理の審議会の委員を1997年から委嘱されており、数多くの学校給食調理場に足を運び、学校給食の運営についてや実務を検分する機会があった。そこで学んだことが、学校給食の重要性だった。

 学校給食は栄養素の中でも不足しがちのビタミン、ミネラルを補充し、過剰に摂取しがちのカロリー、脂肪分、塩分、たんぱく質などの上限を定める栄養管理を徹底し、成長期にある児童・生徒の健康管理をしているのが学校給食であることを知った。

 成人病予防は、幼少期の栄養管理から始まるという報告がある。幼少期に埋め込まれた食べ物の嗜好は、生涯、付きまとってくる。学校給食には、郷土料理の伝承の場という面もある。母から子へと受け継がれていった郷土料理は、核家族化とともに影が薄くなり、スーパーで販売されているレトルト、インスタント料理へと急速に傾いていった。

 そういう時代に、学校給食は伝統的な郷土料理を受け継ぎ、子どもたちに提供してきた。そのような役割も学校給食にはあることも強調しておきたい。

 

 

 

 

 


京都の「菊乃井」主人・村田吉弘氏の学校給食論評は天下の暴論だ

悪意に満ちた「週刊現代」での村田氏の告発

 ことの発端は、「週刊現代」2016年9月24日の4ページ特集記事から始まる。

 「全国の親、祖父母必読 ミシュラン三つ星料亭「菊乃井」店主・村田吉弘氏が問う」として「不味すぎる学校給食 こんなものを子供に食べさせていいのか」という大見出しの報道である。

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          放映された「初耳学」という番組より

 おかしな献立という学校給食をいくつか挙げ、日本全国でこのような献立が日常的に提供されているかのような書きぶりである。一読して「悪意に満ちた告発もの」と筆者は思った。

 親から徴収した給食費の260円の使途で110円は不明であると書いてある。しかも管理栄養士の語ったらしい食材費の明細も書いていない。いかにも上納金のような見えないお金があり、それが使途不明のように書いてある。

 魚もすべて冷凍であり、ろくなものを使っていないような書きぶりだ。

 この記事は、村田氏が週刊誌の記者に書かせたものであり、執筆者もろくに取材をしないで、告発した村田氏の言い分をそのまま書いたものだろう。歴史に残る「間違いだらけの学校給食」報道である。

   これでは現場で日夜苦労している栄養教諭、学校栄養職員、調理員が怒るはずだ。案の定、全国の栄養教諭らから怒りのコメントが筆者あてに殺到してきた。

 輪をかけたTBSの「初耳学」という放映

 2016年10月23日夜10時15分からTBSで放映された「初耳学」という番組で、またも村田店主が登場し、まったく見当違いの学校給食批判を主張していた。

 「食の危機 今の給食を食べさせていいのか」というタイトルを掲げている。

 放映された大写しの画面は以下のようになる。

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 「週刊現代」と同じように、日本中の学校給食がまずいと言わんばかりにテレビ番組でも展開したもので、筆者は断固としてこの「インチキ主張」を許さないと思った。

 番組の中で高カロリー、高脂質、肥満傾向児出現が学校給食に原因があるように誘導しているが明らかに間違いだ。学校給食では各栄養素とカロリーの摂取基準を法令で定めており、学校栄養士は日夜、その規定の中でおいしい給食を作るために 1食270円前後の予算で献立作成に取り組んでいる。

 たとえば、家庭料理では不足しがちなミネラル、ビタミン類は、学校給食で補っているし、太り過ぎないようにカロリー制限もしているし、適宜な食物繊維の摂取も決めている。子どもは野菜や魚嫌いが多い。それを乗り越えようと栄養士は必至に献立作りに取り組んでいる。

 ピーマンやにんじんをどのように調理すると子供はおいしいと言って食べてくれるか。学校栄養士の涙ぐましい努力を筆者はあちこちで聞いている。

 学校給食では、残食が出ないように学校栄養士も必死である。各栄養素を満たしたうえおいしい学校給食を出せば完食になるが、なかなかそうはいかない。和食だけを出せばいいわけではなく、洋食、中華など多彩な食の文化を学校給食で学ぶことも食育である。

 村田氏がテレビで展開したように、成人病予備群や肥満児の出現を学校給食になすり付けるような主張は断固として許されない。

 学校給食の予算に比べると「菊乃井」の途方もなく値段の高い料理を毎日食べていると健康を維持できるのか。

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 「ミシュラン三つ星料理人が学校給食の改善に着手」として京都の小学校で和風給食を行っていると紹介している。

 日本列島どこでも、学校給食は米飯・和食が主体であり、何も料理人の指導など受けなくても栄養教諭、学校栄養職員は日常的に和風献立に取り組んでいる。子どもたちにおいしく食べてもらうためには、それなりの工夫が必要であり、料亭の献立・調理のやり方がすぐに学校給食に応用できるものでもないだろう。

 フランスのタイヤ会社の宣伝戦略で始まったミシュランの何とか星を日本では有りがたがり、過ぎるのではないか。それを表看板にして、学校給食の現場をよく知っているとも思えない人物がバッサリと一方的に現場の仕事を切って捨てるような論評は暴論である。

 日本の学校給食は、栄養、健康面から見ても全国ほぼ均一に実施さている実績を見ても世界トップだろう。長年現場を見て来た筆者が自信をもって言えることである。

 


食育シンポジウムの報告

食育シンポジウム 7月30日に開催されたシンポジウムを報告します。 

パネルディカッション:「学校給食から発信する日本のSHOKUIKU」

パネリスト
 
金丸弘美 (食環境ジャーナリスト、食総合プロデュサー)
齊藤るみ (文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課学校給食調査官)
宗像伸子 (管理栄養士、東京家政学院大学客員教授、全国学校給食甲子園審査委員)
吉原ひろこ (学校給食研究家・料理研究家)
モデレ-タ- 馬場錬成 (21世紀構想研究会理事長、全国学校給食甲子園実行副委員長)

司会(大森・学校給食甲子園事務局長)

 ただいまより、食育シンポジウムの第2部、パネルディカッションを開始いたします。パネリストの先生方は食環境ジャーナリストの金丸弘美様、学校給食研究家の吉原ひろこ様、文部科学省学校給食調査官の斉藤るみ様、そして先ほど基調講演を頂きました宗像伸子様です。
 モデレーターは、全国学校給食甲子園の主催団体、特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長の馬場錬成です。それではパネルディスカッションの進行をよろしくお願いいたします。

馬場錬成冒頭あいさつ

 全国学校給食甲子園大会の主催者である特定非営利活動法人21世紀構想研究会(http://www.kosoken.org/ )は、1997年9月に設立されました。

 現在、学校給食甲子園を実施している教育委員会(銭谷眞美委員長)、知的財産委員会(荒井寿光委員長)、生命科学委員会(黒木登志夫委員長)などが 活動しており、適宜、テーマによる討論を通じて政策提言集団として活動しております。過去には知的財産委員会で、小泉内閣に知財改革への提言を行い、ほぼ 丸のみされる活動もしてきました。

 学校給食甲子園は、学校給食現場で日夜活動している栄養教諭、学校栄養職員、調理員の皆さんの活動を知ってもうことと、学校給食を広く理解してもらうこと、そして食育推進に寄与したいとの目的で始めたものです。

 本日は、銭谷眞美委員長の21世紀構想研究会教育委員会の主導による学校給食甲子園10回記念の食育シンポジウムであります。パネリストの先生方と フロアの皆様のご意見をいただきながら意義あるものにしたいと思います。それではこれから、パネリストの先生方から冒頭のご発言をいただきたいと思いま す。最初に金丸先生からお願いいたします。

金丸弘美先生の冒頭発言

 2005年、佐賀県唐津市・浜玉中学校で公開学校給食を行いました。栄養士さんが、地域を巡り食材を調達し、地産地消を推進。栄養バランスも地域の食も配慮した給食を作られていました。しかし、地域でなかなか広がらない、知られていない。そこで公開でとなったわけです。

 紹介している給食は、100パーセント地元産食材を使ったものです。高価な佐賀牛も入っています。佐賀牛のような高い食材も安い切り落としを使い、里芋の親芋の安い食材と組み合わせて学校給食の1食270円で提供できるようにしています。

 

 公開学校給食といっても一般の方は30人くらいしか入れない。そこで地元の新聞・テレビなどのメディア、「ソトコト」など、取材を11社取り付けま した。参加者にもメディアにも、優れた給食を知ってもらうために、給食の考え、栄養バランス、食材の内容などをテキストにして配布し、給食代込み入場料 500円で公開学校給食をしたわけです。

 浜玉中学校での公開学校給食を行い、各地の学校給食を取材をしてきたことから、各地の給食の集いに呼ばれるようになりました。2014年からは、農 水省・学校給食等地場食材利用拡大委員会委員(運営:まちむら機構)になりました。そこで私たちが提案をしたのが、現地に行き合宿をして給食のノウハウを 連携する公開給食でした。これは鹿児島県肝付町、福井県鯖江市など、2年間で8か所が実現。全国から行政、栄養士など多くの方たちに参加していただきまし た。

 このなかで、行政の各部署とデータの連携を呼びかけました。学校給食は、子供の健康と栄養バランス、地産地消を掲げて、優れた取組がされています。 しかし、給食は年間180食ほど。普段の朝、夜の食事、休みのときの食事は家庭で食べます。普段の食生活と健康を配慮した食事を親も知ってもらう必要があ ります。そうでないと子供の健康な未来は創れません。

  一方、保健課の健康調査のデータをみると、どの自治体や地域でも、医療費が高騰。ガン、高血圧、肥満、糖尿病、若い女性の痩せすぎが目立ちます。ま た教育委員会のデータをみると小学生低学年でも肥満が約1割、運動不足、夜10時以降でも起きている児童が3割近くあることがわかります。

 全体のデータを把握し、医療費を削減し、児童の健康に投資をしよう。未来の子供の健康を創ろうと呼びかけています。

 2015年、長野県の朝日村での公開学校給食では、北海道から沖縄まで120人が集まって行われました。地元の農家のお母さんたちが、積極的に給食 にかかわり、生産した野菜を提供しています。こういう優れた活動も現場に行かないと学べません。その内容は専門誌・月刊「学校の食事」(学校給食研究会) で特集される予定になっています。

 私が講義をしているフェリス女学院大学、明治大学農学部では、八王子にある牧場「磯沼ミルクファーム」を開放してもらい、学生が参加し、ピザやデ ザートまで創る、フルコースの牧場の料理会を開いています。牧場では、ジャージー、ブラウンスイス、ホルスタインなどが飼われています。牛の品種によるミ ルクの違い、見た目、味わい、香り、食感などについて学習する「味覚ワークショップ」を開いています。また牛の飼育の環境やエサがどこからくるのかなども 学びます。「味覚ワークショップ」をカリキュラム化し実施しているフランス、イタリアのスローフードのワークショップも学びに行きました。

 味覚の授業は、五感を使い、食べ物を表現することで、個性を育み、語彙を豊かにしていくものです。また、料理会をするにあたっては、食材の成り立ち や文化的な背景がわからないと、きちんと学生にも、参加者にも伝えることができません。そこで食材のテキストを作成し、料理まで展開をするという食のワー クショップを各地で開くようになったというわけです。

 鹿児島奄美諸島徳之島での食育シンポジウムでは、沖縄・大宜味村と徳之島との長寿の食の調査を行い、現在の人たちと長寿と言われた世代の人たちが食 べていた食材を比較検討することも行いました。というのは、若い世代で生活習慣病が広がり、早世が増えているからです。沖縄も奄美も長寿世代と現代では食 べ物も生活スタイルも大幅に変わってきていることがわかりました。

 こうした体験から、データをきちんととって、健康の成り立ちをしっかり総合的にとらえることを提唱するようになりました。学校給食は、栄養バランスもしっかり考えられています。その取組と考えを広げようと、公開学校給食を行い、今年も4か所で合宿が予定されています。

齊藤るみ先生の冒頭発言

 学校給食は、栄養バランスのとれた豊かな食事を提供することにより、心身の健康の増進や体位の向上を図るほか、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材になります。

 給食の時間では、準備から後片付けの実践活動を通して、計画的・継続的な指導を行うことにより、児童生徒に望ましい食習慣と食に関する実践力を身に付けさせることができます。
 学校給食の歴史を見ますと、明治22年に山形県で日本初の学校給食が行われ、戦後はユニセフ等からミルクの寄贈を受けてユニセフ給食が開始されました。昭 和26年には完全給食が開始され、昭和29年に学校給食法が施行され、平成17年に栄養教諭の配置、食育基本法が施行されました。
 学校給食法の第2条にある学校給食の目標には、スライドにあるようなことが書かれています。

 これを見ても分かるように、学校給食は単に昼食を提供するのではなく、望ましい食習慣から生命及び自然を尊重する精神、勤労を重んじる態度、伝統的 な食文化や生産・流通などの目標を掲げて、教育の一貫として行っています。このような学校給食は世界でも類を見ないものではないかと思います。
 次に、栄養教諭の役割についても学校給食法に示されています。こちらの2枚のスライドを見ていただきたく思います。

 食に関する指導は、給食の時間や教科等において学校教育活動全体を通じて行います。給食の時間における食に関する指導としては、教科等で取り上げら れた食品や学習したことを、学校給食を通して確認させることができます。また献立を通して、食品の産地や栄養的な特徴などを学習させることができ、実践を 通して学校で学び、これを家庭での実践につなげることを目指しております。

 このスライドは、学校給食を生きた教材として活用するための工夫を示したものです。栄養バランスのとれた魅力ある美味しい給食であること、安全・安心な給食、教科書と関連した献立作成、地場産物の活用などについても工夫することが必要です。
 最後に第10回全国学校給食甲子園大会で優勝したみなかみ町月夜野学校給食センターの優勝献立をお見せしたいと思います。

吉原ひろこ先生の冒頭発言

 全国学校給食食べ歩きをしている吉原ひろこです。私が学校給食現場で一番見たかったのは子供たちの顔でした。それと、学校給食現場の栄養教諭、学校 栄養職員の先生方、調理員の方々にスポットライトを当てたかったのです。 

 給食に携わられる方々は子どもたちの体を食で作る縁の下の力持ち、本当に大事なお 仕事です。私は、それらを見据えた学校給食応援団として活動しています。

 学校給食の歴史を見ますと、最初は食べ物が不足していた時代の昼食として始まりました。戦後は占領軍からの救援物資(小麦粉と脱脂粉乳)による学校 給食もありました。それからおよそ70年、長い間、パンの給食でしたが、それがこの10年間で米飯給食になってから料理も多彩になり、和食の多い献立に なっていきました。
 主食が米飯ですと、地産地消の食材を使った、慣れ親しんだ日本の料理や郷土料理がぴったり合います。そこからはっきりと、学校給食が真の「日本の学校給食」として誇れるものに生まれ変わってきたと思います。直近の10年間は、学校給食の一大変革期だったと思います。

 この写真はお米のおいしい新潟県の後山(うしろやま)小学校へ行ったときの給食です。文字通り後ろに山が控えている学校です。日本の器での給食です。

 こちらは京都の伊根町の小学校でいただいた給食です。この学校は港のすぐ近くにある学校で、その日に取れた新鮮な魚を学校給食に出しています。

 献立表には、単に魚料理としか書いてありません。その日獲れた魚の調理に合わせて学校給食に出すというぜいたくな学校給食でした。

 この学校には和室があり、時々ここで正座して食べることで居住まいを正して食に向かい合います。

 それにはこのようにお盆 と立派な食器があるといいということで、ホテルで使用していた食器類を格安で譲ってもらい、豊かな学校給食が展開されていました。他にも本当に家庭的な献 立の学校給食がたくさんありました。

 学校給食を食べ歩いて強く思ったことがあります。それは学校給食の時間の持つ3つの「リ」の意味の再認識です。①リラックス、②リフレッシュ、③リ セットです。午前中の授業が終わったあとのお昼ご飯の時間は、この3つの「リ」を生かしてこそ、午後の授業に集中でき、能率も上がります。

 しかし学校給食の時間は中学校が30分、小学校は長くて45分程度です。この時間内で着替えて、配膳して食べて後片付けですから、あまりにも忙しくてタイトなのが現実です。給食は食育ととらえて、私は給食の時間を1時間にと提案しています。

 たとえば東京都内の中学校に行った時、郷土の多彩な食事を味わおうということで、八丈島から早朝届いたアシタバ、トビウオを使ったとても手の混んだ おいしい学校給食が出されました。でも時間が足りないために十分に食べられなくて、食べ残しが多く出るというとてももったいないことが起きていました。

 短い時間では、リラックスしてゆっくり味わって食べるというのは無理があります。やはり楽しく食べるためにはもっと時間が必要だと思います。また、トレイにきれいに配膳すること、器に丁寧によそうことなどもしっかり教えていきたい大切なことです。

馬場

 パネリストの先生方から、大変、興味のある意見発表がございました。ここで食育という概念がなぜ出てきたのか。宗像先生の基調講演であったことを思い出したいと思います。
 核家族化、インスタント食品の普及とか、スーパーなどの進出、ライフスタイルの多様化などが指摘されました。大変、的確に分析した内容だったと思います。
 宗像先生に質問したいと思います。先生は食事力と言うキーワードで講演され、食事力とは食行動を自己管理することとおっしゃっています。言われてみるとそ うですが、それでは一体、何が一番大事なことでしょうか。自己管理で私たちがやってみるべきことの第一は何でしょうか?

宗像

 皆さん、朝昼晩と3食食べていますが、この3食全体で食管理になるわけです。この3食をきちんととらないと、必要な栄養素を採れなくなるという恐れが強くあります。自己管理とは食に関心を持ってもらうことと同意語と思っていただきたいと思います。

馬場

 食に関心を持つということは簡単なことでありながら、簡単ではない。忙しい時は、貧弱な食事で間に合わせてしまうことがあるわけです。
 さて、ここで全国1000か所くらい食の現場を調査・研究しておられる金丸先生にお聞きしたいと思います。先生は、地域食材のテキストを作る活動をしておりますが、典型的な事例をもう少し広げてご披露をお願いいたします。

金丸

 2005年に大分県竹田市で食育推進をしたいと言って呼ばれました。ご当地は、豆腐とコメがある。食育ブランド事業と言っていますが、ここで作 られているコメは新潟のコメ、山形のコメとどう違うか。品種は、栽培方法は、農薬は、香りや味はどう違いますかと質問したら「分かりません」という回答で した。それでは食育できませんということで、たとえば豆腐の原料の大豆やトマトは2千種以上あります。だから特定しないとその食べ物の本質が分かりませ ん。
 学校給食法に文化を伝えると書かれています。たとえば茨城県の常陸太田市のお蕎麦のブランド事業をやったときですが、日本の産地のトップは北海道、二番目 が茨城県、三番目が長野県です。ところが茨城県のお蕎麦はあまり知られていませんでした。ご当地にはお蕎麦が16種類ほどあります。実はタバコ栽培が主体 でお蕎麦は売るものではなかったのです。
 これを売り出したいということで北海道や長野のお蕎麦と品種は、栽培法は、香りと味わいはどう違うのかと聞いたら、ここでも「分かりません」という回答でした。それで売ろうというのはおかしいと指摘しました。
しかもお蕎麦は、昆虫が媒介して受粉をしています。どんな昆虫が受粉していますかと聞いたら、これも「分かりません」と言う。そこで筑波大学と一緒に調べたら70種類も虫が介在している。

 そこで栽培時の虫の媒介のことからお蕎麦の種類、味から流通まで学校給食法に書かれている文化・流通まですべて調べて伝えることを目指し、そこでこのようなテキストを作りました。これが生きた食育になるわけです。

 兵庫県の豊岡市ではお米を売りたいと相談にきました。コメの消費量が減っているときですからやめなさいとアドバイスしました。ここにはコウノト リが生息しています。

 コウノトリの食生態から学校給食の内容、なぜコウノトリが戻ってきたのか、それは農薬を使わなくなったからです。農産物の植生から生 息する魚や昆虫などの生態まで知らなければ食育もできません。それでテキストを作って食育に役立てるという活動です。

馬場

 食育に役立てるテキストの作る過程を聞いてびっくりしました。基本的で詳しく情報を整理していかないとテキストはできないことがわかります。さらにテキストに沿った食育、ブランド戦略も効率よく出来ないということを知りました。
 さて、吉原先生にお聞きしてみたいと思います。先生は、全国の学校給食のカレーライスを食べ歩いていましたが、なぜカレーライスなのかお聞きしたいと思います。

吉原

 子供たちにとって学校給食で一番人気があるのがカレーです。好きだから何を入れても食べてくれる。つまり嫌いなものでも食べてくれるのです。そ して全国には地元の食材に合わせ、季節に合わせた食材で作ってくれるカレーがあります。富山県では自衛隊カレーがある。聞いてみると、最後にインスタント コーヒーを入れる特製のカレーだったりします。
 カレーに限らず学校給食を食べ歩くのは、それぞれの学校で工夫しておいしい学校給食を作る現場に立ち会うことができるからです。バランス良くおいしい学校給食は児童・生徒の家庭にも広がっていき、食育へつながっていくのです。

馬場

 斉藤先生は学校での食育は、栄養教諭や学校栄養職員だけがやるのではなく、学校全体で取り組むというのが大事とご指摘されています。特に文部科学省で全国の学校に要求している学校での食育とは、どのような活動を展開していくべきなのでしょうか?

齊藤

 一言で申し上げるのは難しい質問ですが、全教職員が食育の重要性を理解し、共通認識のもと学校全体で進める必要があると思います。給食の時間を 中心にしながら、教科や学校の活動を通して教職員が組織的に一体となった取り組みが必要になってきます。年間の指導計画を作ることで食育の実効性が高まり ます。
 また栄養教諭、学校栄養職員が作る献立も、教科と連携でき、食に関する指導に活用できる献立が求められます。

馬場

 先生の言葉では正統な内容で、一般的には分かりにくかったように思います。そこで私が理解していることを申し上げますと、理科、社会、道徳、家 庭科など科目によって、食育を教えています。その教科に対応する教材を昨年度、文部科学省が作成しました。完成したものは、文部科学省のホームページから ダウンロードで誰でも入手して使えるようになっています。
 いまはインターネットで、自分で教材を入手して使うことになります。その教材を作成するときに中心的にかかわってきた全国学校栄養士協議会副会長の駒場啓 子先生が、会場にいらっしゃいます。駒場先生に、学校での食育をどのように取り組むべきかをご意見をお聴きしたいと思います。

駒場

 齋藤調査官が仰る通りに学校全体で取り組むということだと思います。教材は、学校全体で活用しようという視点から作成したものです。個々の先生 方も食育に取り組もうという視点はあると思いますが、どのようなやり方が食育として最善かは模索していると思います。

 そのような先生方の参考になる教材を 目指して作成したものです。

馬場

 駒場先生、ありがとうございました。吉原先生にお聞きしますが、毎年、フランスに行かれていますが、フランスの学校給食はどのようなものなのか、日本の学校給食と比較するとどんなものなのか、先生のご感想をお聞きしたいと思います。

吉原

 フランスは、高校までの授業料は無料、廉価で学校給食を提供しています。税金が高いからかもしれません。フランスの人たちは、「子どもに食べ物 を与えるというのは親の権利だ」と言い、その代わりに食べさせる責任も伴いますので、まかせっきりではありません。

 またフランスでは、食事は教室で食べる ものではなく、ランチルームで食事にきちんとと向かい合って食べるべきだという考え方なので、日本でやっている教室で食べることを不思議だと言っていまし た。
 日本でも、すべての学校にランチルームができることを願っています。

 これはある中学校の学校給食のメニューです。ちゃんと給食時間が1時間あります。日本と違って順番に食べます。前菜は冷たい料理が、それから メインには温かい料理が。チーズが出て、必ずデザートがつきます。学校給食の中にも、国の食文化を守り、食の基本を示すという目的が強くあるように感じま す。

金丸

 マイケル・ムーア監督の映画で「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」(2015年アメリカ)という映画の中に、フランスの学校給食が出てきま す。アメリカは戦争ばかりやって何も解決できなかった。だから世界戦略に行こうというのでまずフランスに行き学校給食に出会います。「フレンチポテト食べ ているが、そんなもの誰も食べていない」と言って冷蔵庫あけてみるといろんなチーズが入っている。カマンベールがおいしい。フランス人はこんなにおいしい チーズ食べているの、これなら侵略するに値するというシーンが出てきます。
 次にアメリカの学校給食を見せたらフランスの子供たちが「まずそう」と笑うシーンがあります。
ちなみに日本でもランチルームを持っている学校がいくつかあります。

吉原

 私が行った学校では、給食の時間は、450人の生徒数に対して13人、食事をサポートする人が入り、その人たちが子供たちに食事のマナーなどを 指導していました。このようなことができるのも、税金が高いからというだけではなく、むしろ、食事というものを大事な時間と位置付けているからだと思いま す。

馬場

 世界三大料理に日本料理が入るのか、従来から言われているトルコ料理が残るのか。そのような話題が出ていますが、世の中グルメ時代です。ミシュ ランのランキングは世界的にもてはやされています。一方で味覚を科学的に解明して、おいしいものを料理人の腕ではなく化学的な分析手法でうま味を作ってし まう。そのような時代が見えてきたようにも思います。
 このようにグルメ時代の食事力とは、どのように理解するべきでしょうか。
 あるいはグルメと食事力は、あまり関係ないということでしょうか?

宗像

 大変難しい問題ですね。確かにフラスコの中で操作して簡単においしいものを作るというような話題がありましたが、食の文化に戻って考えてほしいと思っています。
 グルメの話で思い出しますのは、若い時代に勤務していた病院は、政界、財界、芸能界の患者さんが多く、全員が栄養士で給食を出していました。グルメ好きの 患者さんの口に合うよう、早番が終わった後、和食は築地の料亭に、また、その頃は欧米人も入院していましたので、イタリアやフランスからシェフが来日すれ ば講習会に出たりして、舌を肥やしたものでした。若いときにおいしい味を覚えることは、それからの人生に大変に役に立つと思います。その頃、有吉佐和子さ んが時々入院されていて、「このカレーライスは秀逸です」というメッセージをいただいたことが思いだされます。
 グルメというと、動物性脂肪やたんぱく質の多い食事と思われがちですが、1日に適量な食品と量を把握していれば、グルメ志向の方でも健康を維持できると思 います。食事力をつけるために、1日にどんな食品をどのくらいとったらよいかを話をしましたが、もっと簡単に言えば、献立のスタイルとして主食、主菜、副 菜の皿数を整えることで栄養素バランスがとり易くなります。このようなとり方であれば、グルメの方でもそうでない方でも食事力はアップすることができま す。しかし、朝食をとらない、昼食を簡単なもので済ませてしまう、という食事パターンは、栄養素の偏りがでて、食事力の低いものになってしまいます。

金丸

 ただ、グルメイコール健康とはならないと思います。

宗像

 グルメの方でも、食事力を身につけていただければ健康な食事をとることができると思います。

金丸

 フランスで言う美食(ガストロノミー)とはただ料理のことではなく、経済、健康などすべての科学的な背景を持ったものが美食と言っています。味 覚、視覚など5体を全部含めて考えないと脳の活性化には結びつかないと語っています。そこまで考えないと食育にならないと思います。

吉原

 先ほど馬場先生からおいしさを化学的に分析する時代も来るのではという危惧を語っていました。確かにおいしさを分析して化学的に合成することが 可能な時代に来ていますが、学校給食に限っては、そのような安易な方法ではなく、伝統的な調理法と地場産物の食材で、今まで通り安心安全な給食を提供して ほしいと思います。

馬場

 はい、その通りだと思います。斉藤先生にお伺いします。斉藤先生は、文部科学省の初等中等教育局学校健康・食育課の学校給食調査官をされており ます。中央行政官庁で食育という文字が入った部署としては初めてのものと思います。学校の各科目の先生方や専門の先生に食育について期待しているものはご ざいますか?

齊藤

 先ほどの説明と重なるところがございますが、教員一人一人が食の大切さを理解することが食育につながっていくと思います。
 以前は私も学校に勤務しておりましたが、例えば地場産物を活用することは新鮮な食材の利用につながり、食材本来の美味しさを子供たちに伝えることができます。
食育の重要性を教員も一緒になって共有するという意識を一番期待したいと思っています。

馬場

 会場からご意見をお受けしたいと思います。第10回全国学校給食甲子園大会で優勝した群馬県みなかみ町月夜野学校給食センターの栄養教諭、本間ナヲミ先生にお伺いしたいと思います。
 本間先生が日ごろからとりくんでいる学校給食と食育とはどのように結び付いているのか、その活動について現場からご意見をいただきたいと思います。

本間

 これまで先輩の学校栄養士の先生方にご指導受けて、ここまでやってくることができました。その中で、学校給食でいいものを出さないと児童・生徒 の指導はできないよと言われました。作っている学校給食がいかに授業に取り入れられるかということを意識しています。

 いつ授業に取り入れてもらっても教材 になる給食を出したいと思っています。いろいろな能力や特性を持っている子供たちがいますが、その子らだけでなく教員にも受け入れられる給食が大事だと 思って日ごろから取り組んでおります。

馬場

 有難うございました。さすがに優勝栄養教諭のコメントでした。
 それでは最後にパネリストの先生から「私と食活動」として最後の一言を語っていただいて締めたいと思います。

金丸

 子供たちに健康な未来を手渡すことです。自分の子供と同年齢の子供の3割以上にアトピーの子がいました。いま女子大で授業をしてアンケートを 取っています。体調不良の子が6割あります。きちっとしたバランスのいい食事をとっていない。ダイエットが一番になっているので朝食を食べない、運動はし ていないという比率が高くなっています。
 学校給食だけでは健康を保てない。親も地域も生産者も含めてトータルで食育に取り組み、その中で学校給食がどれだけの位置づけになるかを認識したい。今後も公開学校給食、テキスト作りを続けたいと思います。

齊藤

 一言で言えば子供の心身の健全な育成です。学校給食は食育の中心として重要な役割を担っています。学校給食関係者は学校給食に携わっていることに誇りと責任をもって、取り組んで頂きたいと思っています。

宗像

 一人ひとりが食の味に関心を持っていただきたい。味付けにこだわることでも、よりおいしい給食が出せると思います。ときにはおいしいと言われるお店などで舌を養っていただければと思っています。

吉原

 給食は子どもたちのために作ると言うことです。教育に携わる人たちが勉強する大学の教育学部に食育科ができるといいと思います。

馬場

 本日は、各界のご専門の4人の先生にお集まりいただき、楽しいシンポジウムになったと思っております。私の考えを述べますと、食育とは、学校給 食、家庭、地域社会、文化という局面から生まれてくるものだと思い、私たちは新しい概念としてとらえていかなければならないと感じました。
 それと食に関心を持つということは簡単ですが非常に難しいということが、日ごろからの行動を通じて感じております。食の関心の究極のところにグルメがあるのでしょうか。
 本日のシンポジウムを通して、日本の食文化は伝統的で歴史的な重要なものが流れていることを感じました。この重要な要因を大事しながら、世界でどこもやっていない食育を世界に発信していきたいと思いました。
 最後まで熱心にお聞きいただき、有難うございました。

司会

 それでは最後に閉会の言葉を全国学校給食甲子園大会実行委員で公益社団法人全国学校栄養士協議会会長の長島美保子からお礼とご挨拶を申し上げます。

長島

 本日は暑いさなかに学校給食10周年記念の食育シンポジウムにお運びいただき、有難うございました。基調講演のあと第一線のパネリストによる学校給食および子供たちの食をめぐる様々な課題について示唆をいただき、またご提言をたくさんいただきました。
 皆さんともに大変、有意義な時間を共有できたことを嬉しく思っております。学校給食が子供たちの心身の健康に寄与するとともに、合わせて食育の重要な現場になっております。それを担うのが私たち栄養教諭、学校栄養職員の献立力であります。
 全国学校給食甲子園が長きにわたってその資質向上に大きく寄与しているものと確信しております。また、今後に期待したいと思います。
 先般、第3次食育推進計画が策定されました。この中で中学校給食の推進が示されており画期的な国の施策と思っております。中学校の学校給食の実施率をいずれ90パーセントに高めるというものです。
世界に冠たる学校給食であります。これがさらに発展するためにも全国学校給食甲子園大会は重要なものと考えております。今後とも皆様のご協力をお願いして閉会の挨拶とします。
 本日は有難うございました。

 

 


第10回全国学校給食甲子園大会で優勝した月夜野学校給食センターを訪問

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左は、この日いただいた学校給食。右は昨年の10回大会で優勝した冨田先生と山岸調理員の名コンビ

 昨年12月6日、女子栄養大学駒込キャンパスで開催された第10回全国学校給食甲子園大会で優勝した、群馬県みなかみ町の町立月夜野学校給食センターを訪問して、半年ぶりに優勝した本間ナヲミ栄養教諭、山岸丈美調理員と再会した。トップの写真は、この日の献立の「味の旅・カナダ」のメニュ―である。豊富な野菜とサケをあしらったお料理にこめっこパンは本当においしかった。

 訪問したのは6月16日。山間の素晴らしい自然環境に囲まれたセンターに到着すると、待ち構えていた本間先生と小柴千恵子所長のお出迎えで楽しい歓談をしたあと、早速、白衣、帽子にマスクで装備して調理場に入った。

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手洗いが重要だが調理員は手際よく洗っていた(左)。 調理場の設備も広く清潔感のある素晴らしい施設だった。

 10年前に建設された調理場は電気調理方式であり、広々とした余裕ある調理場である。食材の検収、魚・肉の処理場、野菜の処理場が完全に独立しており、汚染地域が隔離されている。調理員の働きぶりもキビキビした動きで無駄がなく、さすが日本一になった学校給食センターだと思った。

 今回の取材の狙いは、科学技術振興機構(JST)の中国向けWEBサイト「客観日本」で「日本の学校給食」を掲載中で、近く衛生管理をテーマにした内容を掲載する。執筆者の大森みつえ・全国学校給食甲子園大会事務局長と一緒の取材 となった。

 筆者は、全国の学校給食調理場を数多く見ているが、その中でも月野夜センターの設備、環境、調理員らの動きは、トップクラスの施設だった。この日の献立を作成した本間先生は、世界の国々の様々な料理を学校給食として提供し、子どもたちに国際的な視野を広げ同時に国際的な食育授業へと発展させることだった。

 メニューにその狙いが出ていてびっくりした。こめっこパンと牛乳は定番だが、この日の主食はパンであり優勝献立のときと同じになった。サケのグリルレモンパスタソースかけ、カラフルサラダ・大麦入りのスープ、デザートにメープルマフィンという献立だ。

 まず野菜の多さにびっくりした。キュウリ、キャベツ、コーン、タマネギ、ニンニク、セロリ、ズッキーニ、マッシュルーム、レモン、パセリ、トマト、ブロッコリー、パプリカ、ニンジン。これだけ使われている。多くが地場産物だ。大麦の入ったスープは初めて食べたがこれが絶品。カラフルなサラダもおいしかった。

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大量調理は、手際の良さが命であることを作業を見ながらよくわかった。

  調理する手順を見ていたが、本当に無駄な動きが見えず、導線も見事に実現されていた。月夜野町農政課の村山博志、原澤真治郎さんらと出来上がった給食を食べながら牛乳の話になった。牛乳はどこの学校給食でも出している。カルシウム摂取を確保するためには欠かせないものだ。しかし、小学1年生も中学3年生も同じ量のワンパックは、考え直した方がいいという意見が出ていた。

 つまり量の問題だ。小学校低学年には小ぶりの牛乳パックを提供し、その分、乳製品を食材にした料理を提供する方が、バラエティに富んだ学校給食になるのではないか。そんな意見を題材に楽しいランチとなった。

 

 

 

 


第9回学校給食甲子園大会の優勝は秋田県代表に

 

 第9回全国学校給食甲子園大会を振り返る

 今年の大会も感動の中で幕を閉じた。

 優勝したのは、秋田県藤里町学校給食センターの津谷早苗栄養教諭、桂田尚子調理員だった。秋田こまちのみそ付けたんぽ、枝豆のかわりがんも、白神舞茸のうどん、とんぶりあえという献立は、審査員の間で絶賛された。

 準優勝に輝いたのは、東京都文京区立青柳小学校の松丸奨・学校栄養職員、石川詢華調理員チームだった。2連覇がかかっていた青柳小学校のチームだったが、僅差で秋田チームにかわされた。まさに紙一重の争いだった。

 特別賞や優秀賞、入賞、牛乳・乳製品部門賞など多数の賞が授与されたが、決勝戦に進出してきた12代表は、どのチームも素晴らしい献立、給食内容であり、甲乙つけがたい出来栄えだった。しかし、コンテストである以上、採点による順位付けが出るのはやむを得ないが、つらい審査でもあった。

 学校給食甲子園は、2006年から始まった。2005年から栄養教諭制度、食育施策が始まり、その時期に合わせて学校給食甲子園が始まった。当時、株式会社カイトの社長をしていた土屋達彦さんに相談し、2人で頻繁に打ち合わせをしながら実現の準備を重ねた。 土屋さんは、昨年、がんで亡くなったが、学校給食甲子園の創設で大きな功績があった。

 


「第8回学校給食甲子園大会」の地区代表表彰式の開催

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 今年の学校給食甲子園大会は第8回目を迎えるが、西日本の地区代表表彰式が、10月12日、大阪市内のホテルで開かれた。西日本の県代表となった30人 (2人が欠場)が出席し、ブロック代表12校(学校給食センター)と、さらにそこから絞られた決勝戦大会出場校の6校(同)が発表された。

 決勝大会は12月7日(土)、8日(日)の両日、東京・豊島区駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催される。決勝戦に出場する西日本代表6校(同)は次のとおりである。

 岐阜県大垣市北部学校給食センター(山崎香代先生)

 大阪府泉大津市立上条小学校(武田綾先生)

 香川県高松市立国分寺北部小学校(下岡純子先生)

 愛媛県新居浜市立大生院小学校(武方和宏先生)

 長崎県平戸市立中南部学校給食共同調理場(石田美穂先生)

 鹿児島県屋久島町学校給食東部地区共同調理場(西野間かおり先生)

 今年も公正厳正な第4次審査までで絞り込まれたもので、いずれの代表も素晴らしい献立である。東京で開催される決勝大会では激戦になるのは間違いない。

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 発表と表彰式のあと、代表6人はゼッケンを身に着け、写真のように健闘する決意をポーズで表現した。写真は右から岐阜県→鹿児島県までの代表順である。

 

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 発表後に話題となったのは、写真の2人である。愛媛県代表となった愛媛県西条市立神拝小学校の武方美由紀先生と新居浜市立大生院小学校の武方和宏先生が母子であることが分かったことだ。

 決勝大会には、ご子息が出場することになるが、甲子園大会では初めての嬉しい母子代表だった。決勝大会出場の選手たちは、それぞれ決意表明を行ったが、これから大会開催までに研鑽することを誓ってこの日の表彰式は終了した。

 東日本代表の発表と表彰式は、10月14日に行われる。この発表で第8回大会の決勝戦代表12が決定する。

第4回食育の在り方に関する有識者会議

                                                

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 日本の食の文化を引き継ぎ、教育現場での食の在り方を検討する第4回「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」が、10月3日、文部科学省 で開催され、先に策定された中間まとめをもとに、スーパー食育スクール(SSS)事業の展開や食育推進について意見を出し合い討論を行った。

 これまでの3回の会議で討論した内容は「中間まとめ」として発表しており、第4回会議ではSSS実施についての内容や方向性について各委員から提案を出しあった。さらに食育推進について指導内容や学校給食の充実、食育教科書の内容などについて具体的な提案をし討論した。 

 文部科学省が来年度から実施する予定のSSSの事業内容については、ファイルにある通り、全国32か所で展開するものである。

<SSS事業について="http://babarensei.coolblog.jp/blog/%EF%BC%B3%EF%BC%B3%EF%BC%B3%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%A1%88.pdf">

  目的は、食育のモデル実践プログラムを構築することで、全国の学校における食育の底上げを図る事業としている。小中高校が大学や研究機関、企業など各種外部機関と連携し、科学的な視点を加味したプログラムを開発することを目標にしている。

 SSSに指定されるには、次ような要件が課せられる。

 小中高校を対象に、実践中心校を指定する。原則として栄養教諭が配置されており、栄養教諭を中核とした食育推進事業を策定して申請するように求めてい る。たとえば、食と健康、食とスポーツ、食と学力、給食の充実などの事業プランがあげられており、1か所あたり上限1000万円程度を予定している。 指定期間は1年としているが、最長3年まで延長も可能としている。

 こうしたモデル事業を実現し実施する過程で、食育の理解度を高め、質の高い食と教育と文化を実現することが狙いになる。どのような世界でも10年経てば それなりの進展がある。それは日本人の知恵でもある。このような事業を通じて、食育、学校給食、学校教育でも必然的にレベルアップになることは間違いな い。

 SSS事業を実施することで、全国の栄養教諭、学校給食関係者、教育関係の人々だけでなく、一般の人々にも啓発していくことができるだろう。

 

学校における食の安全に関する実態調査委員会の開催

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 安全でおいしい学校給食を提供するには万全の体制で臨まなければならない。そのためには調理場の整備はもちろん、日常的な衛生管理、食材の検収など多く の課題がある。そのような実態を調査して現場の栄養教諭、学校栄養職員、調理員に役立つ報告書を作成する委員会が、3月27日に開かれ、今年度の実態調査 報告書の内容を討議した。

 この日の検討テーマは、カジキマグロなどのヒスタミン中毒と、外部の委託パン製造業者から感染していったノロウイルス中毒事件のケースである。

 ヒスタミン中毒は、赤身のマグロ類の鮮度の問題から発生することが大半であり、学校給食ではこの食材はほとんど使用されていない。それにも関わらず、全国の学校給食現場のごく一部では、いまだに食材として使用し、中毒事件を起こすことがある。

 マグロ類を食べないと学校給食が立ち行かないというならこれを使用することは仕方ないが、あえてリスクのある食材を採用する必要性が感じられない。そのような視点で学校給食のレシピを作成する必要があるのではないか。

 また、ノロウイルスに感染した人が焼き上げたパンに触れ、それが学校に運ばれてノロウイルス中毒事件を発生させる。これは学校給食の調理場ではなく、外部の施設による感染源であり、学校給食設置者の責務の問題でもある。

 そのような課題について、多くの意見が出され、今後の安全でおいしい学校給食について意見を交換した。

                   

総括:第7回学校給食甲子園大会を振り返る

     第7回学校給食甲子園大会が終了した。毎回、大会終了後に感じることは、「今年もまた多くの感銘と感動を残した大会だった」という感慨である。

 調理が終了し、食味審査を経て審査委員会が開かれるが、その舞台裏は毎年、悩ましい評価の現場である。正に紙一重で優勝、準優勝、2つの特別賞が決まる。これがベスト4になるが、残された8チームもまた、ほぼ同レベルでひしめくことになる。

 審査委員として感じたことは、毎年レベルが上がっているという実感である。調理をする現場を評価する審査委員は、衛生管理を重点にして細かく厳しい評点 をしている。その見る目は毎年厳しくなっているようにも感じる。その一方で食味や見た目を評点する筆者にとっては、毎年出場校の実力があがっているという 感慨である。

 代表校のレシピを見ると、地場産物をいかに活用しておいしい給食を提供するか、その目標に向かって献立を吟味していることである。子どもたちに喜ばれる給食を提供しようとする熱意が、レシピと出来上がった給食によく表れている。

 また今年とくに感じたことは、見た目がどの代表もよくできていたことである。児童・生徒の食欲をそそる給食は非常に重要である。その目的に向かって給食を作る意欲が完成品であるトレイの中に息づいていた。

 回を追うごとにメディアの取り上げも多くなり、特に各地の地域報道は熱を帯びている。それだけ地域の注目度が大きくなっているということである。学校給食の意義と重要性は、このような注目度によって多くの国民に認識されるだろう。

 最近、日本の学校給食が国際的に注目を浴びている。中国では日本の学校給食を見習うとするインターネット記事が発信され、ドイツでも日本の学校給食を評 価する記事が出ている。日本列島がほぼ均一に衛生管理と栄養管理をしている日本の学校給食は世界に冠たるものとしてこれからも存在感を示してほしいと思っ た。

 

学校給食甲子園 優勝は愛知県代表に

                               

                 

 

 

 第7回学校給食甲子園大会の優勝の栄冠は、愛知県西尾市立西尾中学校の学校栄養職員、富田直美さん、調理員の三浦康子さんの頭上に輝いた。

 全国2271施設の応募の頂点に立ったお二人に拍手喝さいを送ります。栄冠を勝ち取った献立は、地場産物の抹茶を活用した料理でした。「てん茶しらす 飯」は、ほんのりとした彩りを称えたご飯であり、地元野菜の照り焼つくね、レンコンサラダ、人参ニギス団子すまし汁は絶品でした。ニギスとは三河湾で捕れ るニギスをすり身にし、地元産人参を練り込んで蒲鉾屋さんと共同開発した食材でした。

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 準優勝に輝いたのは、和歌山県和歌山市立名草小学校の学校栄養職員、土井登世先生と調理員の山中恭子さんでした。

 名草小学校は昨年の優勝校です。果たして史上初の2連覇が実現できるかどうか注目を集めていましたが、最後の詰めの差で2連覇の栄光を阻まれました。 しかし素晴らしいレシピと成熟した調理法は多くの人に感銘を与えました。

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 優勝、準優勝の栄冠を勝ち取った代表選手のお顔は輝いていました。

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 多くの報道陣に囲まれて優勝インタビューを受ける愛知県代表チーム

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 21世紀構想研究会特別賞に輝いたのは、栃木県代表で宇都宮市立田原中学校の学校栄養職員、塚原治子先生と調理員の木村雅恵さんでした。

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 女子栄養大学特別賞を勝ち取ったのは、岩手県代表、岩手大学教育学部附属特別支援学校の学校栄養職員、斎藤洋子先生、調理員の目黒沙織さんでした。

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 決勝戦に進出した全員との記念写真。どのチームも優勝、準優勝、特別賞とは紙一重であり、郷土の代表として誇りある闘いでした。

第7回学校給食甲子園大会始まる

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 第7 回学校給食甲子園大会が、12月2日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで始まった。全国6ブロック12代表の24選手が調理服装に着替えて開会式 に臨み、銭谷眞美大会実行委員長が挨拶に立ち、続いて埼玉県代表の所沢市立第1学校給食センターの栄養教諭、小林洋介さんが選手宣誓を行った。

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選手宣誓を行う小林洋介さん 

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 調理場に移動した選手は、直ちに手洗いを行い、洗浄が合格かどうかのテストを受けた。2次洗浄までに全選手が合格となり、いよいよ調理に入った。1時間で6食を作るもので、各選手はレシピを見ながら手順よく調理を進めた。

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 この大会の決勝戦に3回出場を果たした福島県代表の福島県鮫川村学校給食センターの芳賀公美さんら2人の選手は、初優勝をかけて調理に取り組んだ。

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 昨年の第6回大会で優勝した和歌山県代表の和歌山市立名草小学校の土井登世さん、山中恭子さんのコンビは、大会初の2連覇にかけて調理に取り組んだ。

 

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 1時間後に出来上がり。直ちに食味審査にはいった。

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第7回学校給食甲子園大会の前夜祭の開催

    第7回学校給食甲子園大会が12月2日に開催されるが、その前夜祭が1日の夜、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催され、決勝大会に進出してきた12代表、24選手が大会での健闘を誓った。

 この日は、決勝戦に出場する6ブロック12代表の栄養教諭、学校栄養職員、調理員が一同に集まり、大会に臨む決意表明と代表施設としてのアピールを発表 する場でもある。各代表は、趣向を凝らしたポスターや資料を掲げながら、地場産物の説明や給食レシピへの工夫などを披露した。

 最大の関心は、明日の選手宣誓は誰がやるかである。くじ引きで引き当てた人が晴れの宣誓を行うものだが、第1回と2回大会では、選手宣誓したチームが優勝するというジンクスを作っただけに、毎年この抽選には注目が集まる。

 今年は、埼玉県代表の所沢市立第1学校給食センターの栄養教諭の小林洋介さんが引き当てた。小林さんは、この大会の決勝戦では初めての男性の栄養教諭である。またこのチームは調理員も男性であり、異色のコンビで大会に挑むことになる。

 前夜祭には学校給食関係者が多数参加し、選手たちを励ましながら各地の学校給食や地場産物の話で楽しいひと時を過ごした。

 

地場産物を学校給食に活用する分科会の開催

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 第63回全国学校給食研究協議大会2日目は、学校給食のさまざまな課題をテーマに8分科会が開かれ、熱心な討論が行われた。

 学校給食で地場産物を活用するための3つの要点

1.      地場産物が学校給食調理場に確実に納入されるシステムを確立することである。そのためには、いくつかの課題がある。

  ①   行政、流通業者、生産者などを組み込んだ組織ができているかどうか

  ②   その組織が機能するかどうか

  ③   流通業者、生産者が喜んで協力できる条件になっているかどうか

 2.      次に食材の活用方法がうまくできているかどうかである

  ①   いい食材を生かす献立を作っているかどうか

  ②   郷土料理、おふくろの味の伝承者になっているかどうか

  ③   子どもたちの喜ぶ給食になっているかどうか 

3.      成果と課題がきちんと回っているかどうかも重要だ

  ①   成果が出ているかどうか検証しているか

  ②   流通業者・生産者・子供たちがそれぞれ喜んでいるかどうか

  ③   その成果をもとに次の目標が立てられているかどうか

  筆者は以上の視点でこの日の発表についてコメントをした。

 そのうえで「学校給食で地場産物を活用するための名案、決め手は、1にも2にも地場産物が学校に確実に入荷するかどうかにかかている」ことを強調した。 

 地場産物さえ入れば、おいしい給食も実現できる。学校も栄養士も保護者や生産者、地域の人々と一体になっていろいろなイベントができる。献立内容も行事もいろいろアイデアを出すことができる。 残量も少なくなるし、子どもの感謝の気持ちも出てくる。 

 そこで2点について提示した。

 1つは、栄養士の役割である。これを再認識したい。学校で最も対外渉外のおおい教員である。地場産物を利用するには、生産者、流通業者、子どもの3者が喜んでくれる体制を作ることが重要だ。

  ウイン・ウインの関係がなければだめだ。業者が利益を出すだけでなく、次世代の子供の健康、栄養を支援するという気持ちを持ってもらうことが重要だ。生産者が無理したり、流通業者が泣くようなら、継続性がない。

 2つめは、学校給食の地場産物を推進するバックアップ体制が重要だ。ひとり学校給食栄養士が頑張っても実現しない。市町村の行政、教育関係者、地元のJA、保護者らの協力体制がなければ成功しない。

 栄養教諭、学校栄養職員だけでは無理だ。その体制をどう作るか。校長はじめ多くの人を支援者にすることが大事だ。 世界で日本はダントツの学校給食を実施している。地場産物活用などという学校給食は日本だけである。これからも学校給食を支援していきたい。

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第2分科会の先生方と記念撮影。前列左から司会者の森脇郷子先生(佐伯市教委指導主事)、江口陽子・文部科学省学校給食調査官、市村百合子・栄養教諭(千葉県佐倉市立臼井小)、後列左から筆者、上杉玲子・栄養教諭(新潟市立大形小)、山本桃子・栄養教諭(佐伯市立佐伯小)

 

第63回全国学校給食研究協議大会の開催

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 全国の学校給食、教育関係者が集まって学校給食の活動を通じた食育推進について講演、討論を行う大会が、大分市で始まった。栄養教諭をはじめ多く関係者が集まり、食育推進について日常の活動報告が行われた。

 日本では学校給食は教育の一環の中で確立されたものであり、国民の間では当たり前の制度になっている。しかし世界の中では、これほどすぐれた制度は見ら れない。 ドイツの教育関係者が日本の学校給食現場を視察したときに「信じられないような非効率的な調理現場」という感想を漏らしたという。

 大量食事を食材の加工から出来上がりまで調理する日本の学校給食調理場は、家庭のキッチンと同じことをする。大勢の昼食を作るといっても工場でやる大量 生産とは違う。この調理方法こそ、日本の食の文化を伝承し、きめ細かい食の伝統を守る現場になっていることが、にわかに理解できなかったようだ。

 しかし、最近になってドイツは日本の学校給食をべた褒めである。日本と同じことはとうてい真似ができないという。アメリカの学校給食も、日本から考えると信じられないくらいずさんな栄養管理である。フランスの学校給食も同じような状況だ。

 外国の場合は、たまたま見たり体験した学校給食だけということがあるかもしれないが、日本ほど衛生管理と栄養管理を完璧に行っている国はないのではないか。日本の誇るべき食育の現場を支えている学校給食の栄養教諭らの研究発表は年を追って進化している。

 明日の分科会の様子も報告したい。

 

第7回学校給食甲子園大会の実行委員会の開催

                                                

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 第7回学校給食甲子園大会 (http://www.kyusyoku-kosien.net/)の実行委員会(銭谷眞美委員長)が、9月24日開催され、今年の開催要項を決定した。
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 今回から実行委員として殿塚婦美子・女子栄養大学名誉教授、長島美保子・全国学校栄養士協議会会長が加わり、各専門の立場から知恵を出し合って運営することになった。
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 今年はすでに事前審査を経て、都道府県代表から地区代表選考の審査日程が決まっており、10月末までには地区代表も発表される予定である。
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 今年の応募総数は、2271となり過去最大数。新潟県からは227の応募があり、突出した応募数となった。また例年、熱心に取り組んで応募している県は例年通りの応募数となり、甲子園大会はますます注目を集めるようになっている。
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 また、今年のプログラムのデザインもこの日、見本をもとに意見を出し合い、昨年までとは違った感じの表紙に衣替えすることで決定した。
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 表紙のデザインを見て意見交換する実行委員の先生方

 

第7回学校給食甲子園大会の事前審査が始まる

                                                

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第7回学校給食甲子園大会(特定非営利活動法人21世紀構想研究会主催)の事前審査が、9月22日から始まった。今年の甲子園大会は、12月1日、2日の両日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで決勝大会が実施されるが、その準備はこの事前審査から始まる。

 今年の応募総数は、2271校(給食センター)にのぼり過去最高の応募数となった。学校給食甲子園大会は年々、学校現場での人気が高まっており、今年は応募締切が終わった後も問い合わせが相次ぐなどかつてない関心が高まっている。

 応募数のトップだったのは新潟県の227、続いて鹿児島県の140、長崎県の121、宮崎県の109などとなっている。これから事前審査で応募侯校の具 体的な内容を精査し、これをもとに第一次審査、2次審査、3次審査と続く。最終的には、全国6ブロック、12代表校が選ばれ、12月2日に女子栄養大学駒 込キャンパスで栄冠を目指して調理競争が実施される。

 

全国学校給食甲子園のHPをリニューアルへ

                                                

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全国学校給食甲子園のHPのリニューアルを検討するミーティングが、2月1日、東京・神楽坂の筆者の部屋で行われ、トップページのデザインなどで意見を交換した。

 これまでのHPデザインをベースに改良を加え、より親しみやすいページとコンテンツにしようという試みだ。今後は、ソーシャル・ネットワークとのリンクや全国の栄養士の方々の情報交換、報告・発表などにも拡大する予定である。

 すでに筆者のブログでは「学校給食のひろば」とするコーナーがスタートしており、2人の栄養教諭からの投稿をアップして反響も寄せられている。今後も食育振興、子供の栄養と健康を守るためのウエブサイトとしても社会貢献するように頑張りたい。

 

学校給食の衛生管理の改善・充実する会議

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 学校給食は、日本の次世代を担う子供たちの成長・健康を支える最大の事業の一つである。その視点から学校給食を支援している筆者は、年間を通じて様々な 活動をしている。文部科学省の「学校給食における衛生管理の改善・充実に関する調査研究協力者会議」の委員としての活動もその一つである。

 1月25日に開催された会議では、「学校給食調理従事者研究マニュアル」の内容について、長時間の論議を行い、密度の濃いマニュアル作成へと進行した。

 学校給食の食中毒事件は、年々減少を続け、この数年は年間2,3件の発生にとどまっている。これも文部科学省と都道府県の衛生管理への取り組みが功を奏したからであり、現場のスタッフの努力の成果でもある。

 今年の学校給食での食中毒発生は、この日現在2件にとどまっている。いずれも千葉県内で発生したもので、カジキマグロのヒスタミン中毒、パン製造工場が 原因とするノロウイルスの食中毒事件である。2件とも千葉県の発生であり千葉県は評価を下げたように見える。しかしこれは偶然そうなっただけであり、どの 現場でも同じリスクがあると理解したい。

 この日のマニュアル作成の会議では、きめ細かい表現や内容に論議が広がり、完成に向けてさらに磨きをかけることになった。学校給食の現場の衛生管理では、おそらく世界でも例がないくらい充実した行動を展開しており、また成果も上がっている。

 今後もこの活動で貢献したいと思った。

 

学校給食甲子園大会事務局ミーティング

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 学校給食甲子園大会の事務局のミーティングが12月26日開催され、今後の方針などを決めた。今年の第6回大会は史上最多の2057校が応募してくれ、盛大な大会となった。

 大会終了直後から3つの大手出版社から甲子園大会関連の出版打診があり、この大会がようやく社会的にも認知度を高めてきていることを感じた。今後は、ホームページも充実させるなどIT時代にマッチした活動を進めていきたい。

 

第62回全国学校給食研究協議大会の2日目の開催

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  「生きる力を育む食育の推進と学校給食の充実」を主題に掲げた第62回全国学校給食研究協議大会の2日目の11月9日は、9つの分科会に分かれて各論 の討論を行った。どの会場でも全国から参加した学校給食関係者が研究発表をした後にフロアとの討論を行い、実りある研究会となった。

 筆者が出席したのは、第2分科会でテーマは「学校給食における地場産物の活用方策」である。発表者は、福島県川俣町立川俣南小の栄養教諭の井間真理子さん、北海道洞爺湖町立とうや小の藤川知子さん、広島県三原市立西小の森川文子さん。

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 それに司会者は三原市立三原小の山田昌子校長、さらに指導助言者として大分県教育委員会体育保健課の指導主事、伊藤京子さんと筆者の2人だった。

 発表した3人は、いずれも地域の生産者、関係機関、保護者、学校という社会の中で地場産物を利用した学校給食を提供している活動状況をパワーポイントを使って発表したが、非常に内容の濃いものだった。総じて栄養士の先生方のパワーポイントや発表内容は素晴らしい。

 常日頃から献立を作成し、料理に取り組んているセンスと行動と無関係ではなさそうだ。文化を作っている最前線の戦士の本音は、聞いていても気持ちがいい。

 筆者は指導助言者として、3人の発表内容を踏まえたうえで学校給食を形成している二つの重要な要因をあげた。1つは学校給食の栄養士の役割であり、2つ目は郷土料理の伝承という役割である。 

 栄養士は、学校にあっては対外折衝の多い役割を担っており、食材の購入や様々な人々とのコミュニケーションを考えるとマネジメント、ビジネスセンスを磨かなければならない。そのような時代にあった栄養士になることを目指し、研鑽してほしいとのコメントを発した。

 2年前に筆者が栄養教諭らから聞き取り調査をしてまとめた栄養教諭の仕事の内容と折衝する人々を整理すると、学校現場の中では特異な職責になっているこ とが浮かび上がってきた。こうした現状は見過ごされてきたようであり、今後、この現状を分析しよりよい栄養教諭の在り方を探ってみたい。これは筆者の次の 研究テーマになる。

 また、日本列島全体がコンビニ、ファストフード、スーパー、居酒屋などの普及で、どこへ行っても単一された文化になり、郷土の産物を生かした伝統的な郷 土料理が姿を消しつつあるという問題意識を提示した。さらに家庭にあっては、レトルト、インスタント食品の普及で料理、献立が標準化され、さらにインター ネットの普及で料理情報が簡単に誰でも入手できる時代となった。

 これはいい悪いという問題ではなく時代に趨勢であり、このような社会の動きの中で私たちは生活している現状を認識するべきということを主張した。そのう えで旬の食材を使った郷土料理を伝承するのは学校給食であり、気が付けばそのような風潮、流れになっていることを語った。

 学校給食は時代とともに変革していくものであり、栄養教諭もまたそれをリードしていかなければならない。食は文化でありその一端を担っている学校給食の旗手として頑張ってほしいとのメッセージを送って締めくくった。

和歌山県の新旧両雄がばったり
          

 

 第6回学校給食甲子園大会が、2日前の11月6日に行われ、和歌山市立名草小学校の栄養教諭、土井登世さん(写真右)が優勝の栄冠を勝ち取ったばかりだ が、8日に広島市で開催さている第62回全国学校給食研究協議大会に駆け付けた。2日前の大激戦で勝ち抜いたばかりだが、その疲れも見せず、この日は実践 報告や特別講演を聞くために会場に来たという。

 ここで、第4回の学校給食甲子園大会で準優勝した、 和歌山市立有功小学校の栄養教諭、高橋啓子さんとばったり出会った。2年前の大会で準優勝した悔しさをいともあっさりと優勝を手に入れてしまったようだが、並大抵の努力ではなかっただろう。

 高橋さんは「私たちの無念を晴らして優勝しました。すごいですね」と語りながら後輩の健闘を称えた。また、その出会いをしている場に、香川県の栄養士協議会香川支部長も来合わせ、和歌山、香川とお互いに全力で闘った大会の様子を語り合い、健闘を称えあっていた。 

                                

第62回全国学校給食研究協議大会の開催

                                                

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  「生きる力を育む食育の推進と学校給食の充実」を主題に掲げた第62回全国学校給食研究協議大会が、11月8日から広島市で開催された。この日は、開会式の後、文部科学大臣表彰が行われ、全体会議では実践報告と特別講演が行われた。

 まず、文部科学省から学校給食の役割と食育推進について説明があり、引き続いて広島市立皆実小学校の清水陽子校長、栗本淳子栄養教諭らから実践発表が あった。 同校では「3つのあ」をスローガンにしている。3つの「あ」とは、「あいさつ」「あんぜん」「あさごはん」であり、これをしっかりと行うことのできる学校 経営を目指している。

 また、児童に対する食育では、学年別に取り組んでいる様子を発表した。1、2年生には野菜の皮むきを指導し、家庭でもお手伝いができるようにした。4年 生は、バランスよく食べる食生活を学習し、5年生は食事のマナーを学んだ。調理を児童とともにすることで調理員の苦労を実際に体験し、残食率の低下に取り 組んだ実践活動を発表した。

 特別講演は早稲田大学総合研究機構の福岡秀興教授で、「子どものときからの生活習慣病対策」として成長期の食習慣が次世代の健康を決めることにつながっているとして次のような内容を講演した。

一般に壮年期から始まると思われている生活習慣病は実は胎児期に芽生えているという最新の国際的な研究動向を報告しながら、若い女性のやせ願望がやが て妊婦のやせ願望につながっている危険性を示した。妊婦が痩せていると胎内にいる赤ちゃんの代謝系に異常を生じ、生まれてから長じて影響が出てくるという 研究内容を発表して、会場の人々に衝撃を与えた。

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 この研究動向は、日本で昔から言われてきた「小さく産んで大きく育てる」という言い伝えが間違っていることを示したものである。その詳細については、「理大科学フォーラム」の2012年1月号でも特集として掲載される予定である。

 11月9日は、分科会が行われるが、筆者は第2分科会「学校給食での地場産物の活用方策」のセッションで指導助言することになった。この日の全体会議の前に発表者らと事前の打ち合わせを行い、1日目の予定を終了した。

 

 栄冠は和歌山市立名草小学校の土井登世、山中恭子さんに

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 第6回全国学校給食甲子園大会の 決勝戦は、11月6日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催され、和歌山市立名草小学校の土井登世、山中恭子さんが参加2057校の頂点に立っ た。深紅の優勝旗と大カップを手にして喜ぶお二人(写真上)。優勝インタビューでは、多くの報道人に囲まれ、感激に涙ぐむ土井さん(写真下)。

 大会は、午前10時半から1時間で6食を作る競争である。事前審査を入れると4回の審査をくぐり抜けてきた全国6ブロック、12代表チームは、いずれも素晴らしい献立であり、それだけで甲乙付け難いものだった。

 地場産物を生かした給食は、どれもこれも魅力にあふれている。出来上がりの見た目、味付け、地場産物の生かし方などで審査する筆者も、どれもこれもおい しくて採点に迷うばかりである。しかし勝負は非情であり、心を鬼にして減点方式で採点していった。審査委員14人の採点を単純合計して上位から決める方式 だが、審査員の持ち点はみな違う。高度、専門性の高い審査員は、審査する項目が多く、持ち点も高くなる。

 ともかくも優勝、準優勝が決まり、女子栄養大学特別賞と特定非営利活動法人21世紀構想研究会特別賞の4つが決まると、のこりの8つはすべて入賞である。しかし点差がそれほど開くわけではなく、大激戦と言っていいだろう。

 優勝した和歌山県は第4回の準優勝をばねに、ついに栄冠を勝ち取った。今回、準優勝したのは高知県大月町立大月中学校の野坂なつこ、安岡千冬さんであ る。応援団もきていただけに準優勝には感激もひとしおだったようで、受賞発表の瞬間、大歓声があがった。高知県の準優勝は初めてである。

 女子栄養大学特別賞を獲得したのは、香川県観音寺市大野原学校給食センターの真鍋美枝子、合田香代子さんである。香川県勢は、第1回から第6回まで連 続、決勝戦に駒を進めているが、第1回大会で準優勝したのが最高。それだけに悲願の優勝を目指していたが、今回も特別賞にとどまった。と言っても、連続出 場は素晴らしいものであり、これをどこまで伸ばすか。また悲願の優勝はいつ果たされるか注目である。

 21世紀構想研究会特別賞に輝いたのは岐阜県の海津市学校給食センターの山崎香代、大倉寿美恵さんである。岐阜県は、第2回大会から連続5回の出場を果 たしており、第3回と5回に優勝している強豪である。今回も郷土のアユを生かした独自の給食で挑み、特別賞を勝ち取った。

 第6回を数えて年々、献立内容が工夫されてきており、見た目、味付けもレベルアップしている。衛生管理などではまだ課題も指摘されているが、これからも 甲子園大会はますます存在感を出していくだろう。早くも第7回大会を目指す意気込みを選手たちから聞いて、頼もしい感じだった。

                                第6回学校給食甲子園大会決勝大会が開かれる

  
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 第6回学校給食甲子園大会の決勝大会が、11月6日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで行われた。まず、文部科学省で配布している手洗いが完全に行われているかどうかを見る実習には全員が参加して点検を行った。

 そのあとで調理場に入り、いよいよ試合開始。1時間で6食を作るコンテストに取り組んだ。

 この結果は、学校給食甲子園大会の公式HPで見ることができます。

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写真左は調理開始の様子。右は調理場の外から支援する応援団。

                                                                                

第6回学校給食甲子園大会の前夜祭が行われる

                                               

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 第6回学校給食甲子園大会が11月5日、6日、東京の女子栄養大学駒込キャンパスで始まった。この日は、前夜祭が開催され、12チーム、24人の選手が勢ぞろいして翌日の大会での健闘を誓い合った。

 詳報は、学校給食甲子園大会の公式HPで見ることができる。

  

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群馬県吉岡町で学校給食の実態調査

                               
                 

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 学校給食現場の衛生管理などを指導している有識者らが11月1日、2日に群馬県吉岡町の学校給食センターを訪れ、衛生管理などの実態を調査し、栄養士、調理員、県、町の関係者らと意見交換して今後の安全な学校給食について話し合った。

 一般的に学校給食現場で食中毒事件を発生しないようにするためには、大きく分けて2つの方法がある。まず事件が発生しないように衛生管理を徹底すること と、第2は不幸にして発生した場合の対応策である。訪問した吉岡町学校給食センターは、写真でみるように広々とした施設であり、衛生管理のやりやすい施設 である。

 ただし調理の手順で抜け道があれば細菌が入り込んでくる。トイレや手洗いの施設の完備からエプロンの使い方など細かい点で討論があった。また中毒事件が 発生した場合の対応策である。関係機関への伝達、保護者への連絡、児童生徒の指導などで不備がなかったかどうかなども話し合われた。

 

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2階から見た調理場だが、敷地面積が広くて清潔感があった。

 

フードシステムソリューションのシンポジウムを開催

                               

                 

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 学校給食調理場の衛生管理などについて討論するシンポジウムが、東京・お台場で開催中のフードシステムソリューションの学校給食セミナーセッションで開催された。

 このシンポジウムは「食中毒発生調理場から見えてきたもの」のテーマで行われたもので、 パネリストには、伊藤武、中村明子、丸山務の3氏が出場し、筆者がコーディネーターとして司会とまとめを行った。パネリストの3人は、学校給食衛生管理に 関する文部科学省の審議会の委員であり、どの方も学校給食関係のプロである。

 まず伊藤、中村、丸山の3氏がそれぞれの立場から衛生管理の課題について発表を行った。伊藤氏は、全国の食中毒の動向と学校給食の食中毒の動向を示しながら、衛生管理では何が課題としてあげることができるか。一般的な話から学校給食へと広げて話をした。

 中村さんは、調理場での二次汚染が食中毒発生のカギを握っていると指摘し、具体的な二次汚染について例を出しながら、その防止策について提示した。さら に丸山氏は、最近、学校給食現場では見られなくなったサルモネラ菌による食中毒事件が、昨年度2件発生したことを報告。その現場を視察して原因を分析した 結果を発表した。

 食中毒事件は、過去の教訓をきちんと汲み取り、予防策を守っていれば発生することはない。しかし事件は時間とともに風化して人々から忘れさられていく。 丸山氏は、サルモネラ菌の場合は特に卵を食材とした場合の危険性を指摘し、実例をあげながら予防への取り組みを提示した。

 また、学校給食の施設設備については、設置者である市町村がもっと予算をかけて整備することの重要性を強調し、無駄な予算を消費しないように警告した。 さらに危機管理の視点では、中毒事件の発生前と後の対応策について特に学校長の責務をあげ、学校給食を栄養士と調理員にお任せをするような意識で対応しな いことを主張した。

 

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 会場では、災害が発生した場合の炊き出しの実演が行われた。学校給食調理場の設備を使って、素早く炊き出しをしとり、味噌汁を作る実演であり、岐阜県の栄養士の栗山愛子先生ら筆者の知っているベテランの栄養士の先生方が活躍していた。

 炊き出しをしたお赤飯とご飯は、どちらも大変おいしくいただき、具だくさんの味噌汁も絶品だった。

 

学校給食甲子園の東日本の代表を決定

                               

                 

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 第6回学校給食甲子園大会の県代表、ブロック代表、決勝戦進出校を発表する地区代表表彰式が、2011年10月8日、埼玉県大宮市で開かれ、東日本の決勝戦進出6代表が決まった。発表後には 決勝戦で着装するゼッケンをつけてファイトポーズをとり必勝を誓った。

 表彰式では、まず21都道県の代表が発表され、その中から第2次審査で選ばれた12代表が発表された。そして、最後に決勝戦に進出する東日本の6代表が発表された。 

 

北海道・東北ブロック道県代表

ブロック代表

決勝進出

北海道

札幌市立屯田小学校

 

 

青森県

青森県立弘前聾学校

 

岩手県

平泉町立平泉小学校

秋田県

八峰町立学校給食協同調理場

 

 

宮城県

仙台市立湯元小学校

 

 

山形県

高畠町立糠野目小学校

 

福島県

南会津郡只見町学校給食センター

 

関東ブロック都県代表

 

 

東京都

葛飾区立東金町小学校

 

神奈川県

横浜市立名瀬小学校

 

 

埼玉県

所沢市立和田小学校

 

 

千葉県

流山市立東小学校

 

 

栃木県

宇都宮市立横川東小学校

 

 

茨城県

築西市立下館学校給食センター

群馬県

沼田市白沢調理場

静岡県

掛川市西山口学校給食共同調理場

 

 

甲信越・北陸ブロック県代表

 

 

山梨県

甲州市学校給食センター

 

 

長野県

小諸市立東小学校

新潟県

上越市立春日新田小学校

 

 

富山県

富山県立富山総合支援学校

石川県

金沢市学校給食緑共同調理場

 

福井県

南条給食センター

 

岩手県の平泉は、中尊寺がある世界遺産登録になった地域であり、甲子園へ初出場でさらに花を添えた。東北地方は先の大震災で大きなダメージを受けたが、そのハンデを跳ね返し、決勝戦では健闘してほしい。

 そのほかの代表もいずれも地域を代表する栄養士と調理員であり、これからも給食の実施で功績をあげていくだろう。表彰式の後には、昨年の決勝進出を果た した、福生市の第1学校給食センターの学校栄養職員である菅野幸さんが昨年の体験談と日ごろの給食活動についてレクチャーを行い、非常に実のある楽しい表 彰式だった。 

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第6回全国学校給食甲子園大会の第3次審査を開催

                               

                 

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 第6回全国学校給食甲子園大会の決勝大会は、11月5日(土)、6日(日)に東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催されるが、そのときにブロック別代表として出場する12校・センターの選抜審査会が、10月3日に女子栄養大学で開催され、12代表が決まった。

 今年の応募数は、2057校・センターという過去最高であり、大会が年々盛り上がっていることを示している。 応募してきた献立も郷土の食材をふんだんに使い、児童・生徒が喜びそうな給食を工夫して作っていることがわかる。

 都道府県によっては、応募に積極的に取り組んでいる県とほとんど何もしていない都府県などと際立っている。特に大都会地の学校・センターにとっては、甲子園大会に対しては無関心であることは間違いなく、地方の学校とセンターの方が関心度が深い。

 地場産物という意識が都会では地方ほど高くないので、献立を作るインセンティブが弱いのではないかと思う。地方では、地場産物へのこだわりがあり、地域 社会と学校が一体となって活動していることが多い。給食施設設備も年々向上してきており、衛生管理意識も以前に比べると格段に高くなっている。

 今年も12チームによる料理コンテストが展開されるが、果たして栄冠はどの地域の代表になるのか。いまから楽しみである。

                                                 

             

                               

第6回学校給食甲子園大会の事前審査が始まる

                               
                 

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 第6回学校給食甲子園大会の事前審査が9月15日から、女子栄養大学駒込キャンパスで始まった。今年の応募数は、約2060になりこれは史上最高となった。大震災もあって応募数が例年より下回るのではないかと危惧していたが、これは完全に裏切られた。

 事前審査は、応募書類の確認、栄養価の確認が主たる作業だが、何しろ2000通を超える書類を丁寧に見るので時間がかかる。金田雅代・学校給食甲子園大 会実行委員で審査副委員長らベテランの栄養士の先生6人が20人の女子栄養大学の学生を指導しながらの確認作業が延々と続いた。

 点検・確認は複数の人が行い、さらに栄養士の先生が最終確認する作業になるので時間がかかる。さらに学校給食の研究データとして毎年とっているっ色の区分け、主菜の区分けなどではマーカーで色づけして統計をとっていくのでこれまた大変な作業だった。

 それで3日間の事前審査は無事に完了し、次の第1次審査から3次審査までの手順へと回された。今年は11月5日、6日に地区代表の12校・センターのチームが東京に集結して深紅の大優勝旗を狙うことになる。

 

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学校の食の安全に関する実態調査委員会の開催

                               

                 

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 学校給食現場の食中毒事件は、1996年7月に大阪府堺市の学校給食で発生した腸管出血性大腸菌O157食中毒事件をピークに下降線を辿り始め、近年は1、2件の発生にとどまっている。

 平成21年度は、12月10日に東京都足立区でノロウイルスによる食中毒事件が発生するまでゼロが続き、史上初の発生件数なしに終わるかと期待されたが、結局この1件に終わった。平成22年度は2件となった。一般の食中毒事件が減少していないことを考えると奇跡に近い激減である。

 このように激減したのは、文部科学省の学校給食衛生管理の施策の徹底が功を奏してきたものであり、衛生管理への意識向上の効果が出てきていると見てもいいだろう。学校給食現場で食中毒事件を起こすと日本スポーツ振興センター学校安全部から派遣される実態調査チームが給食調理場に入り、事細かに調査を行う。

 調査は早朝7時 ころから学校給食調理場に入り、栄養教諭、学校栄養職員、調理員らの作業をつぶさに検分し、その行動・所作を点検する。施設・設備の内容から衛生管理に対 する備え、食材の納入の状況から調理する際の手順や衛生管理への配慮などがきちんと行われているかどうか、派遣された委員は調理場のあちこちに移動しなが ら黙って検分するものである。

  今年もまたこの調査が実施されるが、この日の会議ではどのような調査内容にするべきか、また調査の日程などについて討議をした。中毒事件が年間に1件も発 生しないというのが目標だが、そこまでいかなくても年間数件という被害最小を維持できれば学校の食の安全はほぼ達成されるものだ。今年も調理場の人たちと 一緒になって頑張りたい。

 

文部科学省・学校給食衛生管理委員会の開催

                               

                 

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 文部科学省が1996年に設置した「学校給食における衛生管理の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(学校給食衛生管理委員会)の今年度の第1回会議が6月29日、文部科学省で開かれ、学校給食現場での食中毒の発生状況、今後の衛生管理について論議を行った。

 この委員会は、大阪府堺市の学校給食で発生したO157による食中毒事件で7人の児童の死亡者を含む7178人の感染者を出したことを受けて、当時の文 部省が設置した委員会である。それ以来筆者は16年間にわたって委員を務め、学校給食の調理場へも数十回、足を運んできた。

 今年6回目を迎える「全国学校給食甲子園大会」の開催を決めたのも、委員としての活動を続けているうちに、学校給食現場で日夜頑張っている栄養教諭、学校栄養職員、調理員たちを元気付けてやりたいという気持ちが自然と芽生えたからでもある。

 この日開かれた委員会では、昨年度発生した2件の中毒事件を総括した。昨年度は、2月8日まで食中毒事件の発生はなく、史上初めて「学校給食の食中毒事 件ゼロ」という画期的な記録を達成するかに見えた。しかし2月9日に北海道岩見沢市で、続いて2月25日に群馬県吉岡町で相次いで食中毒事件が発生した。

 発生原因はいずれも、サルモネラ・エンテリティデス菌である。最近の食中毒事件はノロウイルスによるものが多いが、このような古典的な中毒菌による発生にはショックを受けた。なぜ、今頃になってサルモネラ菌の食虫毒事件が発生したのか。

 委員会でもこの対策をめぐって論議され、今後の衛生管理はやはり初歩からの徹底という点で一致した。今年度に入ってから、さる6月10日に千葉県柏市で カジキマグロのヒスタミン中毒事件が発生している。カジキマグロの冷凍管理の不適切で発生する中毒であり、生産者側に大きな責任があるだけに流通業界全体 で取り組まなければ根絶は難しい。

 こうした現状を見ながら対応策を立てる方策について様々な意見が出され、今後の衛生管理について引き続き積極的に取り組むよう現場に厳しい目を光らせることを確認して委員会を終了した。

 

食の安全に関する実態調査委員会

                               

                 

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  学校給食の安全に関する実態調査をまとめている独立行政法人日本スポーツ振興センターの食の安全委員会が、6月23日開催され、平成22年度の報告書 の骨格と内容を検討した。22年度に実施した実態調査校は3校あった。ノロウイルスによる食中毒事件を起こした学校が2校、ヒスタミン中毒発生校が1校で ある。

 ヒスタミン中毒は、キハダマグロのフライで発生したもので、またかという感じがした。というのもキハダマグロのヒスタミン中毒はよく発生するために、学 校給食では使わない現場が増えていると聞く。危うきに近寄らずである。食材はいくらでもあるのだから、何もこのマグロを使う必要はない。

 しかも中毒事件発生の経過を見ると、食材を検収したときにすでに「いつもと色が違って茶色っぽい」と感じ、校長や学校栄養職員と相談。業者にわざわざ問 い合わせている。しかし業者は、「品質に問題はない」と回答。翌日に解凍してフライにしたが、その際にも栄養士や調理員は、味見を数回繰り返し、異常がな いとして子供たちに提供した。

 ところが、食べてから間もなく、口の周りが赤くなり、かゆみが出てきた子供がいた。その後も次々と同じような症状を訴える子供と教師が出てきたために保 健所に連絡した。保健所が回収したキハダマグロと調理済みのフライなどを調べたところヒスタミンが検出され原因が判明した。

 ヒスタミンはマグロ類の魚などの鮮度が劣化状態になったときに発生するたんぱく質の一種で、食べると一種のアレルギー反応が出てくることがある。学校給 食現場では、ヒスタミンが発生しやすい魚はできるだけ使わないようにしているところが多いが、それでも毎年のようにヒスタミン中毒事件が発生している。

 ノロウイルスは手洗いの不十分さが原因であることが多く、今年の実態調査でもこの点が重点的な検討課題となっている。

 

健康教育行政担当者研修会で給食甲子園を説明

                               

                 

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 文部科学省がオリンピック青少年センターで開催している健康教育行政担当者研修会で、5月31日、第6回全国学校給食甲子園大会の開催説明を行った。

 都道府県と政令都市の行政担当者が出席している研修会であり、文部科学省の配慮で第6回大会のスケジュール、応募要項などについて説明したものだ。

 今年の大会は、11月5日、6日で、例年通り東京の女子栄養大学駒込キャンパスで開催される。出場校の応募期間は、7月1日から8月10日までである。応募内容は、第3次審査までで各ブロック代表に絞り込み、最終的には6ブロック12代表が優勝をかけて熱戦を展開する。

 地区代表表彰式は10月上旬に2か所で開催される。今年は大震災の影響もあって被災地では盛り上げるに欠けることが心配されている。しかし学校給食は、被災地でも普及への取り組みが早いので、甲子園大会への応募も期待している。

健康教育行政担当者会議情報交換会の開催

                               

                 

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 子供の健康教育を担当する47都道府県、政令都市などの健康教育担当者が東京に集まり、文部科学省の主催で研修会を開催している。その担当者らの情報交換会が5月30日に霞が関ビルで開催され、昼間の研修業務から離れた楽しい交歓会となった。

 参加した担当者は、各県のスポーツ健康課の管理職や学校給食担当の管理職であり、交歓会では互いの活動状況を語り合ったり情報を交換する場となった。自己紹介もあったが、単に名乗って仕事の紹介をするのではなく、趣向を凝らす自己紹介となった。

 その趣向は、鹿児島県・与論島に伝わる「与論献奉」という伝統的な交歓儀式である。与論島の銘酒であるサトウキビを材料にした焼酎「有泉」を盃に注ぎ、自己紹介をした後、その盃を一気に飲み干して盃を逆さに振って全部飲んだことを示す。

 盃に焼酎を注ぐ人は「親」を名乗り、焼酎を飲み干す人は「子」となる。焼酎を注いで飲んでもらうといっても強制して飲ませるわけではなく、飲めない場合 は子が親に盃を返して飲んでもらう。筆者が親に指名されて焼酎を注ぐ役割だったが、盃を返されると飲めない筆者としては困る。

 しかしそうなったときには、文部科学省学校健康教育課の森泉哲也調査官がさっとお出ましになって、一気に飲んでくれる。そんな交歓会であったが、これが何とも楽しいコミュニケーションの場になり、自己紹介も楽しい雰囲気となった。

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 この与論献奉は、先ごろ与論島で栄養教諭の研修会が開かれた際に田中延子学校給食調査官、筆者らが与論島教育委員会のスタッフの人々や平田さおり栄養教諭らとの交歓会で歓待されたときに体験した伝統的な島の作法だった。

 これを今回の研修会の交歓会に取り入れたもので、焼酎も与論島から取り寄せた「有泉」であり、南の果ての文化が東京のど真ん中で華が開いた格好になった。

 

「第6回全国学校給食甲子園大会」の実行委員会の開催

                               

                 

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 第6回全国学校給食甲子園大会は、11月5日(土)、6日(日)の二日間、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催されることが、この日の実行委員会で決定した。

 これまで毎回、全国から1000校(給食センター)の応募があったが、、今年は東日本大震災の影響もあってかなり応募数は減少する可能性が強い。1000校を切る可能性もあるが、大会は例年通りに開催する。

 来月 20日(金)の午後2時半ころからTBSラジオで、給食甲子園大会について筆者が様々な話題を語ることになっている。年を追うごとに大会は注目度を増しており、今では給食関係者で甲子園を知らない人はいないほどになった。

 いずれ近隣諸国の代表校も加えた国際学校給食甲子園大会を目指すことにする。 目標は、第10回大会である。

全国学校給食甲子園大会の2011年開催のスタート

                               

                 

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 毎年、1000校・施設が参加している全国学校給食甲子園大会の2011年度の開催要項案を決めるミーティングが、4月22日行われ、実行委員会に提案する骨子を決めた。

 毎年、決勝大会の会場は、女子栄養大学駒込キャンパスになっているが、今年は大学の都合で11月上旬しか会場が空いていないため、どのように開催日程を決めるかが大きな課題になっている。

 今年は大震災があったために東北・関東の一部の県では、学校給食も思うようにできず、甲子園大会に参加することも非常に難しい県と地域がある。また支援している企業も、大震災の影響があって思うようにいかない事情もあり、今年は試練の大会になりそうだ。

 といっても大会開催を期待する学校関係者も多く、これに応えるためにも主催者・事務局が一体となって取り組むことを確認した。

 

食の安全に関する実態調査

                               

                 

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学校における食の安全に関する実態調査が、2011年2月2日、3日の両日、東京都足立区で行われ、同区立伊興小学校などの学校給食現場を視察した。

 学校給食の食中毒事件は、20年ほど前には年間数十件も発生して半ば常態化していた。その後、文部科学省が衛生管理の徹底に乗り出し、金田雅代さん、田中延子さんという優れた2人の調査官を繰り出し、全国の学校給食調理場の衛生管理改善に取り組んだ。

 その効果が出始めており、昨年度の学校給食での食中毒事件は、わずか1件、今年度の発生は2月4日現在ゼロとなっている。1年間を通じてゼロとなればもちろん史上初である。

 今回の調査はこれとは直接関係ないが、伊興小学校の調理場の施設・設備を視察し、さらに午前7時から調理場に入り込んだ実態調査委員たちが衛生管理や調 理のあり方を見て、指導助言を行った。筆者は委員の一人として主として校長先生が取り組んでいる管理責任などについて聞き取り調査を行い、様々な意見交換 の場となった。

 

優勝は岐阜県代表、準優勝に富山県代表

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 第5回全国学校給食甲子園決勝大会が12月12日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催され、 岐阜県代表の郡上市白鳥学校給食センターの白瀧芳美さん、見付清美さんが1817校の頂点に立って優勝した。準優勝は、富山県代表の砺波市学校給食セン ターの亀ヶ谷昭子さん、山田久美子さんだった。

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深紅の大優勝旗は、筆者から岐阜県代表の白瀧芳美さんの手に渡った。
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優勝した白瀧さんは、大勢の報道陣に囲まれ、喜びのコメントを語った。
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惜しくも準優勝となったのは、富山県代表の2人。サラヤ賞を受賞して記念撮影
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女子栄養大学特別賞には、香川県代表の高松市立国分寺南部小学校の宮武千津子さん、間嶋みどりさんが受賞した。受賞後に女子栄養大学の香川芳子学長(左から2人目)、金田雅代教授(左端)、小川久恵教授(右端)らと記念撮影。真ん中が宮武さん右に間嶋さんである。
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特定非営利活動法人21世紀構想研究会特別賞に輝いたのは、鳥取県代表の鳥取県東伯郡三朝町、三朝町調理センターの山下恵さんと山根里美さんである。筆者から賞状を受け取った。
               
                                
                                 

全国学校給食甲子園決勝大会の前夜祭を開催

  

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前夜祭で勢ぞろいした12代表の選手たち

 第5回全国学校給食甲子園決勝大会が、12月12日、東京駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催されるが、その前夜祭が同大で開催され、出場選手の紹介発表会などで大きく盛り上がった。

 このブログでも紹介しているように、全国6ブロックから12校・施設の代表が決勝大会に出場する。今年は、全国から1817校の応募があり、第3次審査までをくぐり抜けた12代表が、12日に同大で開催される決勝大会で優勝、準優勝、特別賞などを決める。

 この日の前夜祭では、出場する選手24人全員がステージにあがって挨拶。その後、文科省、農水省関係者ら後援団体からの挨拶があった。そして選手代表が、自己紹介もかねてそれぞれの日ごろの活動や自慢の地場産物、そして決勝大会で作る献立の内容などについて披露した。

 どの代表もポスターや写真などビジュアルな方法を使って、日ごろの活動をPRし明日の健闘を誓った。筆者は毎年見ているが、年々、この自己PRもレベル が上がっており、見ていて楽しく勉強になる内容が多くなった。また、栄養教諭、栄養職員、調理員らの表情や動作にも余裕が出てきており、このようなイベン トも回を追うことによって、段々と洗練されていくように感じた。

 12日は午前9時半過ぎから開会式が行われ、1時間かけて自慢の献立の料理を作成し、深紅の大優勝旗を争う。今年はどの県の代表が勝ち取るか。楽しみである。

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新潟県代表は、昨年優勝した同じ上越市の栄養教諭から贈られた兜をかぶり、健闘を

誓った。兜は、上越市ゆかりの戦国時代の雄、上杉謙信の出陣にあやかったものだ。

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第1回大会から第5回大会まで連続して出場している香川県代表。

悲願の優勝を勝ち取ることができるだろうか。自己紹介にも力が入っていた。

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選手宣誓を引き当てた東京代表の菅野幸さん(中央)。選手宣誓をした選手は、

過去4回のうち2回優勝しているだけにゲンのいい役回りとなった。

                                 

第5回全国学校給食甲子園決勝大会の準備が完了

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 第5回全国学校給食甲子園決勝大会が、12月12日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催されるが、その最終準備の確認作業が12月7日に行われた。

 今年は1817校という過去最大数の参加校があったが、その中から厳選された12校が決勝大会に駒を進めた。地域を代表する給食調理場から出場するので、いずれも地元の期待を背負っての決勝大会出場である。

 写真で見るように試合当日に着る色違いのエプロンや都道府県名が入ったゼッケンも出揃い、準備は整った。12月11日の夜は、前夜祭として各代表が地元のPRを行い、選手宣誓の抽選を経ていよいよ12日午前10時には試合開始となる。

 今年もまた、新たな感動ドラマが出てくるだろう。どの代表が優勝してもおかしくない魅力的な献立であり、当日の熱戦が待ち遠しい。

 

学校における食の安全に関する実態調査委員会の開催

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  「学校における食の安全に関する実態調査委員会」の今年度の第1回委員会が、11月16日、国立霞ヶ関競技場会議室で開かれ、今年度の実態調査の計画が策定された。

  この委員会は安心・安全で健康にもいい学校給食のあり方と衛生管理について指導・助言する委員会である。特に食中毒事件を起こした学校や調理場などに調査に出向き、聴き取り調査を行っている。

  今年度は、青森県、東京都、札幌市の3つの施設を訪問してその実態調査を行う方針である。いずれも食中毒事件を起こした学校であり、発生した経過と対応、その後の中毒防止への取り組みや施設の改善などを調べる。

  実施する時期は、来年早々になる予定であり、調査結果は「実態調査報告書」としてまとめ、来年夏ごろまでに発刊する予定である。

学校給食研究協議会の分科会の開催

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 香川県高松市で開催された文部科学省など主催の第61回全国学校給食研究協議大会の分科会が、11月12日開かれ、活発な論議を展開した。

 筆者は第1分科会「学校給食を活用した家庭への食育の普及」のテーマの指導・助言者を委嘱されて出席し、質疑に参加しコメンテーターとして発言した。

 この分科会ではまず、香川県三豊市立詫間中の大矢美智子栄養教諭、徳島県石井町立石井中の乾久美子栄養教諭が、日ごろの食育活動の取り組みを報告し、実績と課題を提起した。

 お二人の発表内容は、最近の生徒の中に朝食抜きで来る人が増えていることから、朝ごはん抜きを減らしていく取り組みが1つの焦点として発表された。育ち盛りの生徒が朝ごはんを抜くと、栄養素の不足が出てくるし栄養バランスも崩れる。

 朝ごはんをしっかりとることは生徒たちの生活サイクルを正常に し、学習やその他の活 動を活性化する。2つの中学はその取り組みで着実に朝ごはん抜きを減少させ、ほとんどゼロに近づけることに成功した。また、家庭と地域との連携を重視して 交流することで、地場産物を給食に取り入れる意義を理解し、食に対する意識の向上を果たす役割をしたと報告した。

 また2人の発表者は、それぞれの地域の食育推進活動を報告し、家庭・地域と学校、児童・生徒との連携について具体的な活動内容を紹介した。そして残されている課題についての整理して発表した。 

 筆者は総括コメントとして、5点をあげた。まず第1に発表者のパワーポイントを使用し た内容は、過不足なく取り組みと実績、課題を簡潔に整理して説明しており、素晴らしい発表であることを称えた。2点目は、食は文化であることを改めて認識 し、学校給食がその文化の原点になりつつあることを実感したと発言した。地場産物と生産者、父母と児童・生徒、家庭とのつながり、そこに芽生える社会的な つながりが食の文化として形成していくことを指摘した。

 第3点は、食育は地域ブランドを醸成する活動であることを認識し、地場産物、郷土料 理、地域ブランドという3要素が食の知的財産へと発展している実感を持ったことを発言した。4点目は栄養学の進歩とともに学校給食のあり方も進歩しなけれ ばならないとする観点を示した。最近、低体重児の出産による弊害が新しい学問の創造となって出てきている。

 たとえば「小さく産んで大きく育てる」という日本の格言は間違っており、妊婦の栄養摂 取の見直しが行われている。またアトムバランスという原子・分子レベルで追跡する新しい栄養学が創設されており、そうした動きと学校給食現場は無縁ではな く今後も進歩しなければならないとの認識を示した。

 さらに5つ目として栄養教諭の役割の重要性と期待に言及した。栄養教諭は、学校の教諭の中では最も対外折衝の多い教諭である。校長、教頭よりも多いかもしれない。地域の生産者、農協と漁協、行政機関、納入業者らとの折衝があり、安全な給食を提供するために学校医、学校薬剤師、行政機関、保健所などと連絡したり連携する必要がある。

 さらに給食を通して食育、産業、生物、環境などの学習をするために行政機関や様々な団体や機関と連携しなければならない。こうした活動の理解度を高めてもらうためには、生産者や父母を対象に成果を発表する機会も自ら企画して実行しなければならない。

 栄養教諭が関係している個人や機関を整理してみると40を超えている。その役割については、このブログでも報告したことがある。このような対外折衝を通じて社会との接点が多い栄養教諭の役割に私たちも理解を示し、今後に期待することを述べて締めくくった。

第61回全国学校給食研究協議大会の開催

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 文部科学省、香川県などが主催する第61回全国学校給食研究協議大会が、11月11日から香川県高松市で開催され、全国から約1000人の栄養教諭ら学校給食関係者が参加し、発表と討論が展開された。

 この日はまず、文部科学大臣らの挨拶のあと文部科学大臣表彰が行われ、全国の47施設、17個人が、長年、学校給食の普及発展に功績があったとして表彰状を授与された。

 筆者は、この大会の分科会の指導助言者として招かれたもので、11月12日の第1分科会「学校給食を活用した家庭への食育の普及」をテーマに発表と討論を行うときの助言者になる。

 10日にはその事前打ち合わせも行われたが、地域の特性を生かした学校給食が全国各地で展開されていることを改めて実感した。

 知的財産権の視点で見ると各地の地場産物と郷土料理は、重要な地域ブランドである。地場産物は、生鮮市場でそれなりに評価されているが、郷土料理 は地域ブランドであるという意識はまだまだ薄い。日本列島どこへ行ってもコンビニ、スーパーなどが散在し、そこに並んでいる食品群は標準化された大手企業 のインスタント、レトルト商品が席巻している。

 そうした中で、学校給食が果たす役割は、郷土の地場産物を利用した伝統的な郷土料理の継承という色合いが段々強くなっているように感じる。食の文 化に芽生える新しい価値観である。学校給食の中で生きている郷土料理をブランド化し、全国に知ってもらう運動をすることを筆者は考えている。

 NPO法人21世紀構想研究会が主催する「全国学校給食甲子園大会」もこのような流れを作るものと位置付けており、食文化・学校給食・地域ブランドというキーワードで新しい知的財産権を考える場にするのが筆者の狙いでもある。

 11日の全体会議の中で、香川県宇多津町立宇多津小学校の愛染麻水栄養教諭、真鍋由美教諭、山地朋子養護教諭の3人が、「望ましい食生活を実践できる児童生徒の育成」~学校給食を中心に家庭・地域をつなぐ食育の推進~とするテーマで日ごろの活動を発表した。

 学校と地域が一体となった食育推進活動は素晴らしいものであり、望ましい食生活が定着していない課題はあるが、日本の地域社会の優れた点を見せてくれたように感じて嬉しかった。

学校給食甲子園決勝大会の12代表決まる

     きたる12月11日、12日に東京都文京区の女子栄養大学駒込キャンパスで行われる第5回学校給食甲子園大会の代表12が決まった。

 今年は史上最多の1817の応募件数があり、3次審査までの激戦を勝ち抜いた代表だけに素晴らしい献立内容になっている。 

北海道・東北ブロック  

道県

施設名

献立

青森県

黒石市立六郷小学校・学校栄養職員・宇野由香子さん

りんごごはん、牛乳、たまごのココット風、五目きんぴら、ほたてスープ、りんご

福島県

鮫川村学校給食センター・学校栄養職員・芳賀公美さん ごはん、牛乳、ぶた肉の唐揚げ~大豆ソースがけ~、じゅうねん卵入りサラダ、かぼらいすいとん汁、ミニトマト
関東ブロック  

都県

施設名

献立

東京都

檜原村学校給食共同調理場・学校栄養職員・菅野 幸さん

雑穀ごはん、牛乳、とびうおのさつま揚げ、檜原里芋と檜原こんにゃくのピリカラ煮、小松菜と白菜の味噌汁、みかん

栃木県

宇都宮市立豊郷中央小学校・学校栄養職員・坂本治己さん

古代米おこわ、牛乳、米粉と豆腐のかき揚、さっぱりあえ、ゆばの味噌汁、いちごゼリー

甲信越・北陸ブロック  

施設名

献立

新潟県

上越市立春日小学校・栄養教諭・山本雅代さん ごはん、牛乳、めぎすのから揚げ、切干大根の焼きそば風いため、ひたし豆、あつめ汁、花みかん

富山県

砺波市学校給食センター・栄養教諭・亀ヶ谷昭子さん 古代米入りご飯、牛乳、富山の幸かき揚げ、地場産野菜の炒め物、となみ野汁、うさぎりんご
中部・近畿ブロック  

府県

施設名

献立

愛知県

幸田町学校給食センター・栄養教諭・伊藤恵美さん さっぱりなすじゃこごはん、牛乳、なすのベーコン巻フライ、野菜の昆布和え、根菜汁、なし

岐阜県

郡上市白鳥学校給食センター・栄養教諭・白瀧芳美さん 麦ごはん、牛乳、あゆとあまごの梅とろり、かみかみあえ、じんだみそ汁、郡上のくだもの
中国・四国ブロック  

施設名

献立

鳥取県

三朝町調理センター・栄養教諭・山下 恵さん 漬けもんずし、焼きのり、牛乳、千草焼き、おかか和え、湯葉のすまし汁、アイスクリーム

香川県

高松市立国分寺南部小学校・栄養教諭・宮武千津子さん ごまごはん、牛乳、オリーブはまちの香草焼き、大根サラダ、しょうゆ豆、具だくさんふしめん汁、みかん
九州・沖縄ブロック  

施設名

献立

佐賀県

嬉野市塩田学校給食センター・学校栄養職員・阿部香理さん お茶ごはん、牛乳、冬瓜のうまか味噌だれ、ミニトマト、うったち汁、いちご羊羹

長崎県

峰学校給食共同調理場・栄養教諭・佐田マキさん やまねこの里の赤米ご飯、牛乳、対馬ごま味噌焼き(漁火焼きとぼたん焼き)、紅白かぶの甘酢和え、ろくべえ、豆酘みかん

北海道・東北と関東ブロックの決勝大会出場校発表

      

 

 第5回全国学校給食甲子園大会(主催・特定非営利活動法人21世紀構想研究会)の北海道・東北および関東両ブロックの地区代表表彰式と決勝大会出場校の発表会が、11月3日、仙台市のKKRホテル仙台で行われ、15校の表彰と決勝大会に進出する4校の発表が行われた。

 今年は全国から1,817の応募があり、過去最高を記録し予選審査でも激戦だった。北海道・東北、関東両ブロックでは439校の応募があり、そのなかを勝ち抜いた代表が次のように決まった。

北海道・東北ブロック

青森県 黒石市立六郷小学校 (学校栄養職員・宇野由香子さん)
福島県 鮫川村学校給食センター (同・芳賀公美さん)

関東ブロック

東京都 檜原村学校給食共同調理場 (同・菅野 幸さん)
栃木県 宇都宮市立豊郷中央小学校 (同・坂本治己さん)

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 決勝進出を決めた4校の栄養教諭は、ガッツポーズをとりながら、深紅の大優勝旗を是非持ち帰りたいと豊富を語った。

 この日表彰された15校の献立は、いずれも大変魅力的な内容であり、決勝進出を決めた 4校は紙一重で勝ち取ったものだ。それだけに喜びも大きく、2年連続で決勝大会に出てくる福島県 鮫川村学校給食センター の芳賀公美さんは、発表されるとこみ上げる感激にむせびながら「頑張ります・・・」としぼり出すように語ってくれた。

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 表彰式の後に全員で記念撮影をし、このあと懇親会を開いてお互いに情報を交換したり学校給食や食育の活動を語り合うなど有意義な会だった。

 先月30日には、甲信越・北陸ブロックと中部・近畿ブロックの決勝大会進出校が発表されており、これで12校のうち8校が決まった。残りの九州・四国ブロックの代表発表は、6日に福岡市で行われる。

甲信越・北陸ブロック代表

新潟県 上越市立春日小学校 (栄養教諭・山本雅代さん)
富山県 砺波市学校給食センター (同・亀ヶ谷昭子さん)

中部・近畿ブロック代表

愛知県 幸田町学校給食センター (同・伊藤恵美さん)
岐阜県 郡上市白鳥学校給食センター (同・白瀧芳美さん)

                
                               

全国学校給食甲子園大会の審査が大詰め

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 第5回全国学校給食甲子園大会の応募は、1817にのぼり過去最高となった。決勝大会は12月12日(日)に東京の女子栄養大学駒込キャンパスで行われるが、その審査が10月19日、女子栄養大学で行われた。

 決勝大会へ進む12代表はまだ未定であり発表はしていないが、今年も非常にレベルの高い応募内容であり、いずれ激戦になることは必至である。この日の審査でも、審査委員がまるで難問を解くような真剣な眼差しで取り組んでいた。

 決勝大会進出代表は、今月下旬から地域ごとに発表される予定である。決定次第、この欄でも紹介したい。

 

第5回全国学校給食甲子園大会の応募は1817で過去最高

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 第5回給食甲子園大会の応募校・施設は、締め切りまでに1817にのぼり、過去最高の応募件数となった。今年は、12月12日(日)に東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで本戦大会が開かれるが、予選から激戦は必死の状況となった。

 9月15日には、女子栄養大学で応募書類の記述確認や栄養素の確認作業が行われた。金田雅代・大会審査員らベテランの栄養士5人の指導を受けながら、女子栄養大学の学生らが確認作業を手伝った。

 1817件数をきめ細かく内容をチェックする作業である。記述されている内容が応募要項に合致しているかどうかなどを確認しながら進めるため、大変手間がかかる。
 これは審査を行う前の段階であり、このような完璧な確認作業をした上で審査を行っていく。

 各担当者は、応募書類と首っ引きで精査し、ベテラン栄養士の先生方が適宜、書類を処理していく。ため息が出るほど膨大な作業である。
 確認作業を手伝っている学生諸君の感想を聞いてみると、「大変、興味ある内容であり勉強になります」と将来の栄養士候補たちも、真剣な表情で取り組んでいた。

 この事前審査である確認作業が終了すると、栄養士の先生など専門家による第一次審査、第二次審査、第三次審査と進んでいくが、今年もまた激戦になるのは必至であり、12月の本戦が楽しみである。

 

激戦の後を振り返った再会

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 和歌山市で開かれた第51回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会の第7分科会、「食に関する指導部会 -学校と家庭・地域の連携推進-」に、全国学校給食甲子園大会で入賞した栄養教諭が偶然、4人参加していた。

 しかも、この分科会の指導助言者は、前文部科学省学校給食調査官の金田雅代・女子栄養大短期大学部教授と市場祥子・全国学校栄養士協議会会長の2人であるが、この2人とも給食甲子園大会の審査副委員長である。

 分科会の前半が終了したところで、再会を記念する写真を撮影した。
 写真は前列指導助言者の金田先生(左)、市場先生。後列の4人は左から、第4回大会の入賞者の香川県三豊市立詫間中学校栄養教諭の大矢美智子先生、同じ く第4回大会入賞者の徳島県勝浦町学校給食センター栄養教諭の早川良子先生、第3回大会優勝者の岐阜県多治見市共栄調理場栄養教諭の松原恵子先生、第2回 大会の準優勝者の滋賀県守山市立守山小学校栄養教諭の広田美佐子先生。

 4人は、それぞれの県内の栄養教諭のリーダーになっており、さすがに給食甲子園大会へ地域代表として出てきた貫禄は十分である。この日の分科会でも、それぞれの地域での食育推進への取り組みを発表していた。

 

栄養教諭全国大会2日目の分科会

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 和歌山市で開かれている第51回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会の2日目は、会場を10ヶ所に分かれて分科会を行った。筆者は、第7分科会の「食に関する指導部会 -学校と家庭・地域の連携推進-」に参加して、討論に加わった。

 この分科会の指導助言者は、前文部科学省学校給食調査官の金田雅代・女子栄養大短期大学部教授と市場祥子・全国学校栄養士協議会会長の2人である。
 まず活動の事例として愛知県田原市立赤羽根小の伊與田敬子栄養教諭、和歌山県田辺市立三栖小の田上成美栄養教諭の2人が、それぞれの活動内容をパワーポイントで示しながら行った。

 伊與田教諭らの活動で特色があったのは、地元の生産者の主婦ら約20人が組織した学校給食支援グループ「にんじんの会」との連帯した活動である。 このような組織は、全国いたるところにあるが、田原市の場合も活発な活動を通じて地元の農産物を給食に提供し、学校と地域と一体になって食育を推進する事 例である。

 「にんじんの会」の指導と協力を得ながら児童・生徒たちがナス、スイカ、とうもろこしを栽培し、みんなで収穫して食べることで感謝の気持ちが芽生え、親子の絆も深まったという。

 また、梅干作りをしたり、海水から塩を作ったり、温室メロン栽培にも挑戦して、見事なメロンを収穫した。地元の漁師からは魚のさばき方を教えても らうなど地域の連帯感がいっそう強くなっていったようだ。子供たちが自分たちで作った煮干、塩、ねぎ、しょうがを材料に、うどんを作って食べたそうだが聞 いていてご馳走になりたい気分だった。

 田上教諭の方は、梅と温習みかんの産地にある学校での活動だが、小中学校のアンケート調査で意外だったのは便秘である。
 2日~3日に便通が一回程度の児童・生徒は、小学校で43パーセント 中学校で47パーセントもいたという。食物繊維の摂取不足や朝食の充実が図られていないことが原因ではないかとの問題提起があった。

 食育推進の活動では、幼稚園から取り組むことで好き嫌いなしに何でも食べることを目標にしており、特に重点的に取り組んだのは朝ごはんだった。 
 朝食を抜きにする子供たちが全国的に増えている。最近は塾や稽古事、テレビなどで夜遅くまで起きている生活習慣が定着し、朝起きることが辛くなって朝食を食べる時間もなくなってしまう。

 文部科学省では、「早寝、早起き、朝ご飯」をスローガンに、朝食を摂取するように運動を広げている。

 田上教諭らの活動のスローガンは、「しっかり食べよう朝ご飯」となっており、積極的に朝食を取ろうとする姿勢が、このスローガンにも込められている。
 「朝ご飯はとりあえず食べればいいという考えではなく、きちんと一食作って食べることが大事だという考えを実践している」と発表した。
 また地場産物の購入も、生産者らに働きかけることによって飛躍的に増えてきており、今後は農産物から水産物へ広げる目標を掲げていた。

 討論の場面では、各地の栄養教諭がそれぞれの活動を発表して意見を述べたり討論する展開となり、活発で実り多い分科会だった。

 この分科会の発表者のパワーポイントは、大変よくまとまっており、聴衆に理解してもらい自分の意見や考えを訴える力もある素晴らしいものだった。
 昨年の大会でも同じようにパワーポイントの内容は素晴らしい出来栄えであり、食材を活用して献立を作る栄養士の思考過程には、パワーポイント作成の素養が自然と備わってくるのではないかと筆者は思ったくらいだった。

        

第51回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会の開催

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 第51回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会が、8月5日から2日間、和歌山市の市民会館などで開催され、全国から約1000人の栄養教諭や学校給食関係者が集まり、シンポジウムや分科会で意見表明と討論を行った。

 今年の大会テーマは、「栄養教諭を中核とした学校における食育の推進 ~紀の国わかやまから 食育の風を全国に~」。文部科学大臣、和歌山県教育 長、全国学校栄養士協議会会長などの挨拶のあと、和歌山県知事、和歌山市長などの祝辞が続き、文部科学省の田中延子学校給食調査官の「学校における食育の 中核としての栄養教諭の役割」とする講演が続いた。

 午後からは、和歌山県有田川町が取り組んでいる「栄養教諭がコーディネーターとなり学校・家庭・地域が一体となって取り組む食育の推進」が実践活動として発表された。
 さらに「世界的視野をもった栄養教諭を目指して」とするシンポジウムが開催された。

  

学校給食の安全に関する実態調査報告書

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 独立行政法人日本スポーツ振興センターがまとめた平成21年度の「学校における食の安全に関する実態調査報告書」がこのほどまとまり刊行された。

 学校給食現場の食中毒事件は、衛生管理が徹底してきた効果が出て、年々減少しており、平成21年度の発生は1件に留まった。これは奇跡に近い実績である。

 このような効果が出ているのも、文部科学省が衛生管理で多くの指導・通達を出して現場の衛生管理の意識向上に拍車をかけているだけでなく、現場を守る栄養教諭、栄養職員、調理士たちのたゆまぬ努力が両輪となって出ている効果である。

 今回、刊行された報告書では、カジキマグロなどによるヒスタミン食中毒事件について3件をまとめて取り上げている。
 細菌、ウイルス性の食中毒事件ではなく、調理する食材による中毒事件は、事前の準備段階で対応策をきちんとすれば予防できるものだ。

 中毒事件を起こした調理現場を視察すると、多くの場合、事件と結びついた原因が解明できると同時に施設の不備が指摘される。つまり起こるべきして起きた中毒事件であるという場合が多い。

 特に地方の学校の給食施設は、老朽化しているものが多く、学校施設そのものがお粗末としか言いようのないものも多い。次世代を担って育ってくる子 供たちの教育施設だけに、もう少しお金をかけてもいいのではないか。今のようなお粗末な学校施設では、教員もいい人材が集まらないのではないかと思う。

 初等教育にもっとお金をかける国つくりを目指すべきである。

               

学校給食甲子園大会実行委員会の開催

         

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全国学校給食甲子園大会実行委員会が、5月27日に東京国立博物館の会議室で開催され、今年の実施要綱の細目を決定した。            

 今年の開催は、例年より1ヶ月遅れで、12月11日(土)の前夜祭、同12日(日)の決勝大会となる。会場は例年と同じ女子栄養大学駒込キャンパスである。

 決勝大会はこれまで、60分で5食作るルールになっていたが、今年から70分で6食作ることになった。大会開始前に10分ほどかけて、手洗いを十分にする時間をとることになった。

 また今年から予選会表彰式を実施する。これは全国を仙台、名古屋、福岡の3つのエリアに分け、各会場で表彰式を行う。表彰されるのは、第一次予選を通過した47都道府県代表校の栄養教諭もしくは栄養職員と調理員である。

 さらにこのとき、2次予選を通過した学校を発表する。全国6ブロック、24校である。さらにその中から選抜された6ブロック代表の12校が発表される。この発表で地域の人々の大会への熱が一挙に盛り上がるだろう。今年も激戦が予想されるが、今から楽しみである。

                                                         

栄養教諭の役割を改めて認識した

     「生きる力をはぐくむ食育の推進と学校給食の充実」をテーマに、滋賀県大津市で開催された「第60回全国学 校給食研究協議大会」(主催・文部科学省、全国学校給食会連合会など)に全国から1000人を超える栄養教諭、学校栄養職員が集まり、2日間に渡って全体 会と10の分科会に分かれて活発な討論を行った。この大会に参加して、多くの栄養教諭と意見交換する機会があった。

 21世紀構想研究会が主催する「全国学校給食甲子園大会」は、どのようにして地場産物を学校給食に取り入れているかを競う大会である。地元の新鮮でおいしい食物を子どもたちに食べさせるために栄養教諭たちは日夜努力を重ねている。

 筆者は今回の研究協議大会で「学校給食における地場産物の活用方策」をテーマにした分科会に参加して討論に加わった。佐賀県、滋賀県、福井県の代表がそれぞれの地域で展開している地場産物の活用の報告を聞いて、栄養教諭の役割が一層明確になってきたと思った。

 栄養教諭が日常的に連携している人や機関をまとめてみると次のような表になる。

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 さらに栄養教諭が関わる行事は多彩である。給食試食会、青空給食、給食週間・月間の行事、農業・漁業祭、招待給食会などこれもまた次の表で見るように、年間15行事は超えている。

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 このような役割と活動状況をみると、栄養教諭はおそらく学校教員の中で最も対外折衝と対外活動の多い教員であろう。
 食育推進で設置された栄養教諭だが、その任務が軌道に乗るに従って、これまで例がなかったまったく新しい教員像が生まれようとしている。

 栄養教諭の役割と社会的活動、認識などについて、さらに研究を続けてみたい。

 

学校給食120周年記念表彰で文部科学大臣賞を受賞

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 滋賀県大津市の大津プリンスホテルで開かれている第60回全国学校給食研究協議大会で、筆者は「学校給食120周年記念表彰」として功績のあった10人 とともに文部科学大臣賞を受賞した。思いもかけぬ受賞に感激した。受賞理由として「平素より学校給食の充実に尽力した功績」となっている。

  筆者が学校給食と縁ができたのは、1996年7月13日に大阪府堺市内の小学校の学校給食で発生した「腸管出血性大腸菌O157」(O157)による 食中毒事件であった。2次感染力の強いO157は、1次感染した小学生から家族にまで広がり、患者数は約9500人にのぼり6人が死亡した。

 このとき当時の文部省が、学校給食の衛生管理に問題ありとして調査協力者会議を設置した。主として衛生管理と感染症、病原細菌学者ら約20人で構成した ものだが、その中に筆者も文部省から委嘱されて加わった。当時、筆者は読売新聞論説委員をしており、科学技術庁、厚生省、文部省の行政問題を担当してい た。

政府がこのような委員会を組織する場合、マスコミ界からも1人加えるのが通例になっている。一般社会の目線でものを言うことができるからだろう。 こ うして死亡者まで出した学校給食の食中毒事件という衝撃的な出来事がきっかけで学校給食にかかわることになる。もとより学校給食などまったく縁がなかった のだが、このときの委員会を通して、学校給食のあり方、調理現場の衛生管理、いったん事故が出た場合の責任の所在などさまざまな問題が横たわっていること を知った。

当然、筆者は一般社会常識に照らして辛口だが言いたいことを言ったと思う。それ以来、この委員会は13年を経て今なお継続している。最初の委員会のメンバーで残っているのは、筆者1人ではないかと思うことがあるくらいメンバーが変わった。

この事件をきっかけに、学校給食の調理現場の衛生管理は驚くほど意識が変わっていった。その主導役をしたのは、文部科学省学校給食調査官だった金田雅 代氏と現調査間の田中延子氏の2人であり、現場の衛生管理の意識改革はこの2人の尽力に負うところが多い。学校給食の衛生管理の整備の功績で表彰されると したら、真っ先にこの2人が受けるべきだろう。  大阪府堺市のO157の事件以来、学校で学校給食の食中毒事件が起きると文部科学省は、私たち委員を学校現場に派遣して、聞き取り調査を行わせ、その結 果を衛生管理に役立てる事業を行った。

 その成果は見事なまでに効果をあげ、学校給食の食中毒事件は減少の一途をたどり、その後O157による中毒事件は1件も出ていない。これは全国の学校給 食現場の栄養教諭、学校栄養職員、調理員、教育関係者らの努力の成果であり、日本人の優れた衛生意識を感じることが少なくない。

 今回の表彰は、身に余る光栄という言葉がぴったりする出来事であった。筆者は学校給食との縁ができたことから、4年前に「全国学校給食甲子園大会」とい う学校給食のコンテストを主催する立場になり、今度は地場産物を使ったおいしい給食の実現に力を注いでいる。これもすべてO157事件から始まった縁であ り、今回の表彰とつながっているのだからこれは機縁というほかない。

 食育推進に役立つ社会活動を今後も続けていきたいと思う。

       

学校の食の安全実態調査

  21年度の学校における食の安全に関する実態調査委員会が18日、独立法人日本スポーツ振興センターで開催され、今年の実態調査の対象校などを決めた。

 20年度の学校給食での食中毒発生は、群馬、大阪、東京、北海道、青森の5件になっている。このほかに高知県でパン工場が汚染源と思われるノロウイルスの中毒事件が発生している。

 この日の委員会で、このうち5件について実態調査を行うことを決めた。調査内容は、中毒事件の発生の経過と対応、文部科学省の調査で指摘された改善点の取り組み状況などを聞き取り調査するものだ。

 昨年度はキハダマグロ、カジキマグロによるヒスタミン中毒が3件もあり、この食材の扱い方や鮮度確保にどのような対応策が行われていたかなどが調査の中心になりそうだ。

優勝は上越市の春日新田小学校

    新潟県上越市の春日新田小学校が栄冠 

 準優勝に和歌山市の有功小学校 

 構想研特別賞に青森市の油川小学校 

 女子栄養大学特別賞に富山県高岡市の野村小学校 

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 優勝した上越市立春日新田小学校の冨澤さん(左)と植木さん

 全国の学校、給食センター1552校・施設が参加した第4回全国学校給食甲子園大会の決勝大会が11月8日、東京・女子栄養大学・駒込キャンパスで開催され、新潟県代表の上越市立春日新田小学校(宮澤富美子栄養教諭、植木節子調理員)が初優勝し、深紅の大優勝旗と優勝カップを獲得した。

 準優勝には和歌山県代表の和歌山市立有功(いさお)小学校(高橋啓子栄養教諭、倉八由 佳調理員)、21世紀構想研究会特別賞には青森県代表の青森市立油川小学校(長沼裕美子学校栄養職員、工藤一史調理員)、女子栄養大学特別賞には、富山県 代表の高岡市立野村小学校(串岡美智子栄養教諭、高林登美子調理員)が受賞した。

  この日は午前10時10分の試合開始とともに、一斉に調理が始まった。正味1時間で 5人分の給食を作製するが、調理中の衛生管理も採点の対象になるだけにベテランの栄養教諭・栄養職員、調理員も緊張の連続。狭い調理場には審査員のほかに テレビ局、新聞などマスコミの取材人も入るため、熱気あふれる試合現場となった。

  採点は、衛生管理のほかに出来上がり給食の見た目、献立、地場産物の取り入れや調理 法、味付け、栄養のバランスなど各審査員の専門分野に分かれて採点する方法がとられ、総合点で順位が確定した。  優勝した上越市新田小学校の献立は、卵、たまねぎ、トマト、ピーマン、チーズの手作りの玉子焼きなどで、食材の味がミックスされ彩りもよくおいしいと大 好評だった。

 優勝した富澤さんと植木さんは、「給食の時間になると先生方が全員教室に向かい、子供 たちと一緒に給食の時間を持ち、大変素晴らしい教育をしている。そのような取り組みがあるから子供たちもしっかりと給食を食べて楽しい時間を持てると思 う」と学校全体で取り組んでいる様子を語った。

 準優勝した高橋さんと倉八さんは「この大会へ出ることを子供たちもPTAも教職員もみんなで応援してくれた。その支援があったからいい成績を出せた」と涙のコメントだった。

 

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出場選手全員で記念写真
               
     

給食甲子園大会の出場校の紹介

       第4回全国学校給食甲子園大会の代表12チームの紹介

代表校は趣向を凝らしたプレゼンテーションを行った 

出場ブロック

学校(センター)名・出場者名・住所・電話番号 見出し風献立紹介 献立
北海道・東北ブロック (青森県)
青森市立油川(あぶらかわ)小学校

長沼 裕美子
青森県青森市大字油川字船岡36番地
電話017-788-1202
陸奥湾産「ほたて」に県産牛すき焼き煮で実現する安心・安全 ほたてごはん、牛乳、県産牛のすき焼き煮、ほうれん草と菊のおひたし、二色なめこ汁、りんご
北海道・東北ブロック (福島県)
鮫川村(さめがわむら)学校給食センター


芳賀 公美(はが さとみ)
福島県東白川郡鮫川村大字赤坂中野字宿ノ入34
電話0247-49-2113
「いもがら」「じゅうねん」など地元食材100%献立で育む郷土愛 ごはん、牛乳、ぶた肉のじゅうねん焼き、大豆とりんごのサラダ、いもがら汁、蒸しかぼちゃ
関東ブロック (茨城県)
笠間市岩間学校給食センター


吉田 美紀
茨城県笠間市下郷5109-1
電話0299-37-8500
名物あんこうのみそかつなど茨城の恵みいっぱいの味 むぎごはん、牛乳、あんこうみそかつ、くるみあえ、いもがら入りけんちん汁、りんご
関東ブロック (静岡県)
静岡市立蒲原東(かんばらひがし)小学校


青木 みさ子
静岡県静岡市清水区蒲原666番地
電話054-385-4155
人気メニュー支える桜エビがたっぷり使えるのも地域のおかげ 雑穀おこわ、牛乳、黒はんぺんの磯辺焼き、桜エビとほうれんそうのごまドレあえ、豆腐のくずじる、キーウィのソース添え
甲信越・北陸ブロック (新潟県)
上越市立春日新田(かすがしんでん)小学校


宮澤 富美子(ふみこ)
新潟県上越市春日新田1274番地
電話025-543-4256
本場コシヒカリで伝えたい日本食のごはんの素晴らしさ ごはん、牛乳、タマタマトマピーチーズ焼き、ひじき佃煮、ゴマネーズ和え、打ち豆みそ汁、柿
甲信越・北陸ブロック (富山県)
高岡市立野村小学校

串岡 美智子
富山県高岡市野村405
電話0766-22-3419
体験・給食通じ、人は食べ物の命をもらって生きていることを知る 昆布とお豆のご飯、牛乳、庄川鮭のゆずみそかけ、小松菜のごまあえ、野菜のうま煮、国吉りんご
中部・近畿ブロック (岐阜県)
土岐(とき)市学校給食センター


遠山 致得子(ちえこ)
岐阜県土岐市肥田町浅野17-1
電話0572-54-6195
海のない県だからこそ、一番おいしい旬の魚で苦手克服 五平餅、牛乳、鮭の秋の香あんかけ、もみじおろしあえ、けんちん汁、みかん
中部・近畿ブロック (和歌山県)
和歌山市立有功(いさお)小学校


高橋 啓子
和歌山県和歌山市園部1453
電話073-461-0124
特産の梅酢にこだわったから揚げは臭みなく独特のうまみ めはりずし、牛乳、紀州梅鶏の梅酢揚げ、インゲンとほねくの煮物、ふわふわかき玉汁、みかん
中国・四国ブロック (徳島県)
勝浦町学校給食センター


早川 良子(よしこ)
徳島県勝浦郡勝浦町大字中角字豊田1番地の1
電話0885-42-3096
保存食干し魚に香り良いゆず酢加え寿司にした先人の努力 干魚寿司、牛乳、ごぼうとさつまいものあげ煮、阿波のめぐみ汁、みかん
中国・四国ブロック (香川県)
三豊(みとよ)市立詫間(たくま)中学校


大矢 美智子
香川県三豊市詫間町詫間5796番地1
電話0875-83-2108
「焼き鯛」を家族で分け合う「さつま」に込められた生活の知恵 麦ごはん、牛乳、さつま、金時にんじんの松葉あげ、ブロッコリーの甘酢あえ、そうめん汁、みかん
九州・沖縄ブロック (長崎県)
峰学校給食共同調理場


佐田(さた) マキ
長崎県対馬市峰町佐賀608-1
電話0920-82-0285
捨てるものも工夫し、大切に食べた郷土料理「かしげぇ」 サザエの炊き込みご飯、牛乳、いかのかしげぇ、対馬海幸山幸サラダ、せんちまき
九州・沖縄ブロック (沖縄県)
名護市立屋部(やぶ)学校給食センター


糸数 睦子(いとかず むつこ)
沖縄県名護市字宇茂佐804-8
電話0980-53-0670
健康長寿食に欠かせない巨大屋部大根使ったお汁を伝承 セルフおむすび、牛乳、しらすとゴーヤーの卵焼き、パパイヤイリチー、屋部大根のお汁、たんかん
 
 
     

第4回全国学校給食甲子園大会の前夜祭開かれる

                               

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 国学校給食甲子園大会が11月8日(日)、女子栄養大学駒込キャンパスで開催されるが、その前夜祭が7日午後6時半から、同大で開かれた。

 全国6ブロックから12チームが決勝戦に上がってきたが、1チーム2人の出場選手総勢24人が勢ぞろいして、各校(給食センター)のPRを行った。

 まず、文部科学省の布村幸彦・スポーツ青少年局長が「食育推進からもこの大会は非常に有意義であり、学校給食を国民に理解してもらうためにも意義があるので、皆さん頑張ってください」と来賓を代表して挨拶し、香川芳子・女子栄養大学学長の乾杯の音頭で交歓会が開かれた。

 各地域代表のチームは、それぞれ趣向を凝らしたPRプレゼンを行い、大会での健闘をアピールした。選手宣誓の抽選の結果、今年の宣誓を引き当てたのは和歌山県代表の高橋啓子・栄養教諭だった。過去2回、選手宣誓をしたチームが優勝している縁起のいい役割であり、喜び半分プレッシャー半分という感じだった。

 さて、深紅の大優勝旗と優勝カップをもぎ取るのはどのチームになるのか。明日午前10時から試合が開始される。

学校給食甲子園大会の決勝大会出場校決まる

    特定非営利活動法人21世紀構想研究会が主催している第4回全国学校給食甲子園大会の決勝戦に出場する12の代表が決まった。

 今年は、過去最高の1552校が応募。書類による第1次選考で47都道府県から54校、第2次選考で全国6ブロックから24校を選出、地域性も加味した最終選考で本大会出場12校(給食センターを含む)を決定した。

 本年は沖縄県を始め、青森・茨城・新潟・和歌山・徳島と6県から初出場が実現した。選考の基準は文部科学省の学校給食実施基準をクリアしていること、地場産物の特色を活かし子どもが喜ぶ献立であること、調理場の衛生管理が適正に行われていることなどである。

 学 校給食は、食の文化、食の安全を守り育てる食育の現場であり食の地域ブランドにも密接に関わっている。全国の学校給食で提供されている郷土を代表する料理 を競う大会を通じ、食育を啓発することを目的としており、毎年、新聞・テレビ・雑誌などマスメディアで、大きく報道されている。 

大会期日

平成21年11月7日(土)~8日(日)

7日(土)=出場校顔合わせ及びレセプション

8日(日)=午前・開会式、調理、午後・審査及び成績発表と表彰式、閉会式

会場女子栄養大学駒込キャンパス(東京都豊島区駒込3-24-3) 

<出場校>

<北海道・東北ブロック>

① 青森市立油川(あぶらかわ)小学校(青森県)

②鮫川(さめがわ)村学校給食センター(福島県) 

<関東ブロック>

③笠間市岩間学校給食センター(茨城県)

④静岡市立蒲原東(かんばらひがし)小学校(静岡県) 

<甲信越・北陸ブロック>

⑤上越市立春日新田小学校(新潟県)

⑥高岡市立野村小学校(富山県) 

<中部・近畿ブロック>

⑦土岐(とき)市学校給食センター(岐阜県)

⑧和歌山市立有功(いさお)小学校(和歌山県) 

<中国・四国ブロック>

⑨勝浦町学校給食センター(徳島県)

⑩三豊市立詫間(たくま)中学校(香川県) 

<九州・沖縄ブロック>

⑪峰学校給食共同調理場(長崎県)

⑫名護市立屋部(やぶ)学校給食センター(沖縄県)

 

学校給食甲子園大会 応募数は1542校で過去最多

    第4回全国学校給食甲子園大会は、この11月7日、8日に東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催されるが、8月27日、実行委員会が開かれ、実施内容の細目を決定した。

 まず47都道府県から応募された学校と給食センターは、1542校(センター)に及 び、これは過去最高数である。茨城県が165、岐阜県145、長崎県116が100を超えた。これに対し東京からはわずか4校にとどまり、首都東京の学校 給食現場では、この「甲子園大会」には全く興味を示していないことがわかった。

 これから審査が始まるが、すでに事前審査で基礎データがそろい始めており、今後はベテランの栄養士や栄養教諭などが多数関与して書類審査が始まる。第3次審査までで全国6ブロック12代表校が決まり、11月7日に東京に集結する。

 その日は前夜祭で、12代表校がそれぞれの調理現場の現状を報告したり、地域の地場産物などを紹介するなど大会を盛り上げ、翌8日に女子栄養大学の調理場で、1時間で5人分の給食作成に腕をふるう。

 大会は年々盛り上がっており、今年も地方の新聞、テレビでも大きく取り上げられている。

  

栄養教諭の役割を考える

  平成17年4月から発足した栄養教諭の役割は、国が定めている「職務」ではカバーしき れないほど多岐に渡っていることが最近の活動例から浮かび上がってきた。おそらく、20年後、30年後の栄養教諭の役割は、今とは違った社会的な使命を多 く抱えた教員像に変わっているだろう。  

 文部科学省が定めている栄養教諭の職務とは、「食に関する指導と給食管理を一体のものとして行うことにより、地場産物を活用して給食と食に関する指導を実施するなど、教育上の高い相乗効果がもたらされる職務」となっている。

  食に関する指導とは、肥満、偏食、食物アレルギーなどの児童生徒に対する個別指導を行うことであり、さらに学級活動、教科、学校行事等の時間に、学級担任等と連携して、集団的な食に関する指導を行う。

 また、他の教職員や家庭・地域と連携した食に関する指導を推進するための連絡・調整を行う。そのほかに栄養管理、衛生管理、検食、物資管理などおよそ学校での食に関するあらゆる事項が含まれている。  

 ところで、このような職務を完全に遂行するためには、栄養教諭はこれまで誰もやっていなかった教育指導上の仕事や学校外との折衝、保護者や家庭での生活レベルの指導など非常に広い領域での活動が要求されるようになってきた。 

 栄養教諭の制度がスタートして4年経つとその役割と活動が具体的に見えてきたために明 確になってきたということだろう。 成長段階にある児童生徒の食生活を正しいものにするためには、生活そのものを改善することが必要になってきた。最近、「早寝早起き朝ご飯」というスローガ ンが広がっているが、これは食育の中心課題の1つという位置づけになってきている。

 これを実現するためには、子供の生活環境を整えるだけでなく、社会の変貌の中で変わってきている子供たちの行動様式を知り、それを分析するような研究も必要になってきた。  

 食事をするときの子供たちの姿勢、箸の持ち方なども家庭の中での「しつけ」の問題であ り、学校と家庭の連携がなければ改善に結びつけることはできない。学校給食の食材に地場産物を導入するにしても、地元のJAや生産者との折衝は誰がやるの か。流通機構が過度に発達している現在、これを変えて地元産物を直接、学校給食に搬入するとなると並大抵のことではない。  

 折衝は栄養教諭の仕事であり、社会との接点がかつてないほど広がってきている。このような現象はさらに拡大していく段階であり、役割が成熟するには10年以上かかるだろう。

 

第50回栄養教諭大会第7分科会 食に関する指導部会の開催

               

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  第50回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会の2日目は、10の分科会が開催され、 それぞれのテーマで研究発表と討論が展開された。筆者は、第7分科会の「食に関する指導部会 ―学校と家庭・地域の連携推進―」のセッションに指導助言者 として参加し、コメントと提言を行った。  

 この分科会の発表者は、北海道今金町立今金小学校栄養教諭の森敏江先生と岩手県奥州市 立常盤小学校栄養教諭の在家香織先生の2人。どちらも素晴らしいパワーポイントを制作し、スライドと動画を操作しながら、学校と地域の人々、特に農産物の 生産者との交流や保護者と児童・生徒の生活態度などの改善の取り組みから食の指導までの活動状況を報告した。

  「早寝・早起き・朝ご飯」は、生活習慣でももっとも大事なことだが、小学校高学年に 行くにしたがって就寝時間が遅くなっていく。これを克服するには保護者らの協力も欠かせない。また、食事をするときの姿勢や箸の使い方でも課題がある。  このような課題は、食事内容や栄養問題とは違っているように見えるが、実は大きな関連性を持っており食育の中でも重要な柱になっている。 

 栄養教諭の役割についても、食の指導、栄養指導だけでなく、正しい生活習慣をきちんと指導しておかないと正しい食生活習慣が身につかない。

 さらに地元で生産された農産物を安価に学校給食現場で利用するには、地域の農協、生産 者との交流、連携などこれまで学校にはなかった任務が栄養教諭に期待されるようになってきた。 このように新しい教員像を作っていくことも栄養教諭に与え られている任務と役割であることを浮き彫りにしたセッションであった。

   

第50回全国栄養教諭大会の開催

                               
                 

 



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  学校の食育の推進に向けて、学校給食を充実させたり児童生徒の食生活を指導する研究を発表する第50回全国栄養教諭・学校栄養職員研究大会が、8月6日から札幌市の札幌コンベンションセンターで開かれた。

  この日は、文部科学大臣の開会式の挨拶などのあと、東北大の川島隆太教授が「早寝早起き朝ご飯の大切さ」とのタイトルで記念講演を行い、実践発表と「栄養教諭制度とその成果について」と題したシンポジウムが行われた。  

  シンポジウムでは、栄養士を教諭として認めているのは世界でも日本だけであり、食育 の施策はきわめてユニークな学校教育の一環であることなどが論議された。また、給食のおばさんと言われていた時代から、栄養教諭として国が認めるまでの活 動については、全国学校栄養士協議会の田中信・名誉会長が報告した。  

 7日は、学校と家庭・地域の連携の推進などをテーマに10の分科会が開催され、全国から集まった1100人を超える栄養士らが研究成果を発表しながら食育の推進などで討論を展開する。

            

    

学校給食

                               

                 

 全国学校給食甲子園のホームページ 

 http://www.kyusyoku-kosien.net/

 21世紀構想研究会は、教育活動の一つとして、食育推進計画の啓発と学校給食の重要性を世の中に広げるため、2006年11月から「全国学校給食甲子園」を開催しています。

 高校野球の甲子園大会にあやかって、学校給食の献立の全国コンテストを展開するもので、第1回大会には全国の学校給食の1514調理場が参加して、東京で盛大に開催された。

 第2回大会も2007年11月3日、4日に東京で決勝大会が開催される。

 

     


「第8回学校給食甲子園大会」の地区代表表彰式の開催

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 今年の学校給食甲子園大会は第8回目を迎えるが、西日本の地区代表表彰式が、10月12日、大阪市内のホテルで開かれた。西日本の県代表となった30人 (2人が欠場)が出席し、ブロック代表12校(学校給食センター)と、さらにそこから絞られた決勝戦大会出場校の6校(同)が発表された。

 決勝大会は12月7日(土)、8日(日)の両日、東京・豊島区駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催される。決勝戦に出場する西日本代表6校(同)は次のとおりである。

 岐阜県大垣市北部学校給食センター(山崎香代先生)

 大阪府泉大津市立上条小学校(武田綾先生)

 香川県高松市立国分寺北部小学校(下岡純子先生)

 愛媛県新居浜市立大生院小学校(武方和宏先生)

 長崎県平戸市立中南部学校給食共同調理場(石田美穂先生)

 鹿児島県屋久島町学校給食東部地区共同調理場(西野間かおり先生)

 今年も公正厳正な第4次審査までで絞り込まれたもので、いずれの代表も素晴らしい献立である。東京で開催される決勝大会では激戦になるのは間違いない。

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 発表と表彰式のあと、代表6人はゼッケンを身に着け、写真のように健闘する決意をポーズで表現した。写真は右から岐阜県→鹿児島県までの代表順である。

 

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 発表後に話題となったのは、写真の2人である。愛媛県代表となった愛媛県西条市立神拝小学校の武方美由紀先生と新居浜市立大生院小学校の武方和宏先生が母子であることが分かったことだ。

 決勝大会には、ご子息が出場することになるが、甲子園大会では初めての嬉しい母子代表だった。決勝大会出場の選手たちは、それぞれ決意表明を行ったが、これから大会開催までに研鑽することを誓ってこの日の表彰式は終了した。

 東日本代表の発表と表彰式は、10月14日に行われる。この発表で第8回大会の決勝戦代表12が決定する。

第4回食育の在り方に関する有識者会議

                                                

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 日本の食の文化を引き継ぎ、教育現場での食の在り方を検討する第4回「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」が、10月3日、文部科学省 で開催され、先に策定された中間まとめをもとに、スーパー食育スクール(SSS)事業の展開や食育推進について意見を出し合い討論を行った。

 これまでの3回の会議で討論した内容は「中間まとめ」として発表しており、第4回会議ではSSS実施についての内容や方向性について各委員から提案を出しあった。さらに食育推進について指導内容や学校給食の充実、食育教科書の内容などについて具体的な提案をし討論した。 

 文部科学省が来年度から実施する予定のSSSの事業内容については、ファイルにある通り、全国32か所で展開するものである。

<SSS事業について="http://babarensei.coolblog.jp/blog/%EF%BC%B3%EF%BC%B3%EF%BC%B3%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%A1%88.pdf">

  目的は、食育のモデル実践プログラムを構築することで、全国の学校における食育の底上げを図る事業としている。小中高校が大学や研究機関、企業など各種外部機関と連携し、科学的な視点を加味したプログラムを開発することを目標にしている。

 SSSに指定されるには、次ような要件が課せられる。

 小中高校を対象に、実践中心校を指定する。原則として栄養教諭が配置されており、栄養教諭を中核とした食育推進事業を策定して申請するように求めてい る。たとえば、食と健康、食とスポーツ、食と学力、給食の充実などの事業プランがあげられており、1か所あたり上限1000万円程度を予定している。 指定期間は1年としているが、最長3年まで延長も可能としている。

 こうしたモデル事業を実現し実施する過程で、食育の理解度を高め、質の高い食と教育と文化を実現することが狙いになる。どのような世界でも10年経てば それなりの進展がある。それは日本人の知恵でもある。このような事業を通じて、食育、学校給食、学校教育でも必然的にレベルアップになることは間違いな い。

 SSS事業を実施することで、全国の栄養教諭、学校給食関係者、教育関係の人々だけでなく、一般の人々にも啓発していくことができるだろう。

 

学校における食の安全に関する実態調査委員会の開催

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 安全でおいしい学校給食を提供するには万全の体制で臨まなければならない。そのためには調理場の整備はもちろん、日常的な衛生管理、食材の検収など多く の課題がある。そのような実態を調査して現場の栄養教諭、学校栄養職員、調理員に役立つ報告書を作成する委員会が、3月27日に開かれ、今年度の実態調査 報告書の内容を討議した。

 この日の検討テーマは、カジキマグロなどのヒスタミン中毒と、外部の委託パン製造業者から感染していったノロウイルス中毒事件のケースである。

 ヒスタミン中毒は、赤身のマグロ類の鮮度の問題から発生することが大半であり、学校給食ではこの食材はほとんど使用されていない。それにも関わらず、全国の学校給食現場のごく一部では、いまだに食材として使用し、中毒事件を起こすことがある。

 マグロ類を食べないと学校給食が立ち行かないというならこれを使用することは仕方ないが、あえてリスクのある食材を採用する必要性が感じられない。そのような視点で学校給食のレシピを作成する必要があるのではないか。

 また、ノロウイルスに感染した人が焼き上げたパンに触れ、それが学校に運ばれてノロウイルス中毒事件を発生させる。これは学校給食の調理場ではなく、外部の施設による感染源であり、学校給食設置者の責務の問題でもある。

 そのような課題について、多くの意見が出され、今後の安全でおいしい学校給食について意見を交換した。

                   

総括:第7回学校給食甲子園大会を振り返る

     第7回学校給食甲子園大会が終了した。毎回、大会終了後に感じることは、「今年もまた多くの感銘と感動を残した大会だった」という感慨である。

 調理が終了し、食味審査を経て審査委員会が開かれるが、その舞台裏は毎年、悩ましい評価の現場である。正に紙一重で優勝、準優勝、2つの特別賞が決まる。これがベスト4になるが、残された8チームもまた、ほぼ同レベルでひしめくことになる。

 審査委員として感じたことは、毎年レベルが上がっているという実感である。調理をする現場を評価する審査委員は、衛生管理を重点にして細かく厳しい評点 をしている。その見る目は毎年厳しくなっているようにも感じる。その一方で食味や見た目を評点する筆者にとっては、毎年出場校の実力があがっているという 感慨である。

 代表校のレシピを見ると、地場産物をいかに活用しておいしい給食を提供するか、その目標に向かって献立を吟味していることである。子どもたちに喜ばれる給食を提供しようとする熱意が、レシピと出来上がった給食によく表れている。

 また今年とくに感じたことは、見た目がどの代表もよくできていたことである。児童・生徒の食欲をそそる給食は非常に重要である。その目的に向かって給食を作る意欲が完成品であるトレイの中に息づいていた。

 回を追うごとにメディアの取り上げも多くなり、特に各地の地域報道は熱を帯びている。それだけ地域の注目度が大きくなっているということである。学校給食の意義と重要性は、このような注目度によって多くの国民に認識されるだろう。

 最近、日本の学校給食が国際的に注目を浴びている。中国では日本の学校給食を見習うとするインターネット記事が発信され、ドイツでも日本の学校給食を評 価する記事が出ている。日本列島がほぼ均一に衛生管理と栄養管理をしている日本の学校給食は世界に冠たるものとしてこれからも存在感を示してほしいと思っ た。

 

学校給食甲子園 優勝は愛知県代表に

                               

                 

 

 

 第7回学校給食甲子園大会の優勝の栄冠は、愛知県西尾市立西尾中学校の学校栄養職員、富田直美さん、調理員の三浦康子さんの頭上に輝いた。

 全国2271施設の応募の頂点に立ったお二人に拍手喝さいを送ります。栄冠を勝ち取った献立は、地場産物の抹茶を活用した料理でした。「てん茶しらす 飯」は、ほんのりとした彩りを称えたご飯であり、地元野菜の照り焼つくね、レンコンサラダ、人参ニギス団子すまし汁は絶品でした。ニギスとは三河湾で捕れ るニギスをすり身にし、地元産人参を練り込んで蒲鉾屋さんと共同開発した食材でした。

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 準優勝に輝いたのは、和歌山県和歌山市立名草小学校の学校栄養職員、土井登世先生と調理員の山中恭子さんでした。

 名草小学校は昨年の優勝校です。果たして史上初の2連覇が実現できるかどうか注目を集めていましたが、最後の詰めの差で2連覇の栄光を阻まれました。 しかし素晴らしいレシピと成熟した調理法は多くの人に感銘を与えました。

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 優勝、準優勝の栄冠を勝ち取った代表選手のお顔は輝いていました。

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 多くの報道陣に囲まれて優勝インタビューを受ける愛知県代表チーム

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 21世紀構想研究会特別賞に輝いたのは、栃木県代表で宇都宮市立田原中学校の学校栄養職員、塚原治子先生と調理員の木村雅恵さんでした。

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 女子栄養大学特別賞を勝ち取ったのは、岩手県代表、岩手大学教育学部附属特別支援学校の学校栄養職員、斎藤洋子先生、調理員の目黒沙織さんでした。

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 決勝戦に進出した全員との記念写真。どのチームも優勝、準優勝、特別賞とは紙一重であり、郷土の代表として誇りある闘いでした。

第7回学校給食甲子園大会始まる

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 第7 回学校給食甲子園大会が、12月2日、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで始まった。全国6ブロック12代表の24選手が調理服装に着替えて開会式 に臨み、銭谷眞美大会実行委員長が挨拶に立ち、続いて埼玉県代表の所沢市立第1学校給食センターの栄養教諭、小林洋介さんが選手宣誓を行った。

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選手宣誓を行う小林洋介さん 

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 調理場に移動した選手は、直ちに手洗いを行い、洗浄が合格かどうかのテストを受けた。2次洗浄までに全選手が合格となり、いよいよ調理に入った。1時間で6食を作るもので、各選手はレシピを見ながら手順よく調理を進めた。

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 この大会の決勝戦に3回出場を果たした福島県代表の福島県鮫川村学校給食センターの芳賀公美さんら2人の選手は、初優勝をかけて調理に取り組んだ。

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 昨年の第6回大会で優勝した和歌山県代表の和歌山市立名草小学校の土井登世さん、山中恭子さんのコンビは、大会初の2連覇にかけて調理に取り組んだ。

 

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 1時間後に出来上がり。直ちに食味審査にはいった。

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第7回学校給食甲子園大会の前夜祭の開催

    第7回学校給食甲子園大会が12月2日に開催されるが、その前夜祭が1日の夜、東京・駒込の女子栄養大学駒込キャンパスで開催され、決勝大会に進出してきた12代表、24選手が大会での健闘を誓った。

 この日は、決勝戦に出場する6ブロック12代表の栄養教諭、学校栄養職員、調理員が一同に集まり、大会に臨む決意表明と代表施設としてのアピールを発表 する場でもある。各代表は、趣向を凝らしたポスターや資料を掲げながら、地場産物の説明や給食レシピへの工夫などを披露した。

 最大の関心は、明日の選手宣誓は誰がやるかである。くじ引きで引き当てた人が晴れの宣誓を行うものだが、第1回と2回大会では、選手宣誓したチームが優勝するというジンクスを作っただけに、毎年この抽選には注目が集まる。

 今年は、埼玉県代表の所沢市立第1学校給食センターの栄養教諭の小林洋介さんが引き当てた。小林さんは、この大会の決勝戦では初めての男性の栄養教諭である。またこのチームは調理員も男性であり、異色のコンビで大会に挑むことになる。

 前夜祭には学校給食関係者が多数参加し、選手たちを励ましながら各地の学校給食や地場産物の話で楽しいひと時を過ごした。

 

地場産物を学校給食に活用する分科会の開催

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 第63回全国学校給食研究協議大会2日目は、学校給食のさまざまな課題をテーマに8分科会が開かれ、熱心な討論が行われた。

 学校給食で地場産物を活用するための3つの要点

1.      地場産物が学校給食調理場に確実に納入されるシステムを確立することである。そのためには、いくつかの課題がある。

  ①   行政、流通業者、生産者などを組み込んだ組織ができているかどうか

  ②   その組織が機能するかどうか

  ③   流通業者、生産者が喜んで協力できる条件になっているかどうか

 2.      次に食材の活用方法がうまくできているかどうかである

  ①   いい食材を生かす献立を作っているかどうか

  ②   郷土料理、おふくろの味の伝承者になっているかどうか

  ③   子どもたちの喜ぶ給食になっているかどうか 

3.      成果と課題がきちんと回っているかどうかも重要だ

  ①   成果が出ているかどうか検証しているか

  ②   流通業者・生産者・子供たちがそれぞれ喜んでいるかどうか

  ③   その成果をもとに次の目標が立てられているかどうか

  筆者は以上の視点でこの日の発表についてコメントをした。

 そのうえで「学校給食で地場産物を活用するための名案、決め手は、1にも2にも地場産物が学校に確実に入荷するかどうかにかかている」ことを強調した。 

 地場産物さえ入れば、おいしい給食も実現できる。学校も栄養士も保護者や生産者、地域の人々と一体になっていろいろなイベントができる。献立内容も行事もいろいろアイデアを出すことができる。 残量も少なくなるし、子どもの感謝の気持ちも出てくる。 

 そこで2点について提示した。

 1つは、栄養士の役割である。これを再認識したい。学校で最も対外渉外のおおい教員である。地場産物を利用するには、生産者、流通業者、子どもの3者が喜んでくれる体制を作ることが重要だ。

  ウイン・ウインの関係がなければだめだ。業者が利益を出すだけでなく、次世代の子供の健康、栄養を支援するという気持ちを持ってもらうことが重要だ。生産者が無理したり、流通業者が泣くようなら、継続性がない。

 2つめは、学校給食の地場産物を推進するバックアップ体制が重要だ。ひとり学校給食栄養士が頑張っても実現しない。市町村の行政、教育関係者、地元のJA、保護者らの協力体制がなければ成功しない。

 栄養教諭、学校栄養職員だけでは無理だ。その体制をどう作るか。校長はじめ多くの人を支援者にすることが大事だ。 世界で日本はダントツの学校給食を実施している。地場産物活用などという学校給食は日本だけである。これからも学校給食を支援していきたい。

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第2分科会の先生方と記念撮影。前列左から司会者の森脇郷子先生(佐伯市教委指導主事)、江口陽子・文部科学省学校給食調査官、市村百合子・栄養教諭(千葉県佐倉市立臼井小)、後列左から筆者、上杉玲子・栄養教諭(新潟市立大形小)、山本桃子・栄養教諭(佐伯市立佐伯小)

 

第63回全国学校給食研究協議大会の開催

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 全国の学校給食、教育関係者が集まって学校給食の活動を通じた食育推進について講演、討論を行う大会が、大分市で始まった。栄養教諭をはじめ多く関係者が集まり、食育推進について日常の活動報告が行われた。

 日本では学校給食は教育の一環の中で確立されたものであり、国民の間では当たり前の制度になっている。しかし世界の中では、これほどすぐれた制度は見ら れない。 ドイツの教育関係者が日本の学校給食現場を視察したときに「信じられないような非効率的な調理現場」という感想を漏らしたという。

 大量食事を食材の加工から出来上がりまで調理する日本の学校給食調理場は、家庭のキッチンと同じことをする。大勢の昼食を作るといっても工場でやる大量 生産とは違う。この調理方法こそ、日本の食の文化を伝承し、きめ細かい食の伝統を守る現場になっていることが、にわかに理解できなかったようだ。

 しかし、最近になってドイツは日本の学校給食をべた褒めである。日本と同じことはとうてい真似ができないという。アメリカの学校給食も、日本から考えると信じられないくらいずさんな栄養管理である。フランスの学校給食も同じような状況だ。

 外国の場合は、たまたま見たり体験した学校給食だけということがあるかもしれないが、日本ほど衛生管理と栄養管理を完璧に行っている国はないのではないか。日本の誇るべき食育の現場を支えている学校給食の栄養教諭らの研究発表は年を追って進化している。

 明日の分科会の様子も報告したい。