これが産業革命の現場
全国学校給食甲子園に思う

文化勲章と二人の巨人 大村智と藤嶋昭

 藤嶋昭先生が文化勲章を受章した。11月3日の親授式で若い世代の科学離れに歯止めをかけ、科学技術創造立国建設へ貢献していきたいとの抱負を語った。

 藤嶋先生は、東京理科大学長の多忙な仕事を縫って、旺盛な執筆活動を続けている。その大半は、科学研究者に向けた啓発書か子どもや学生向けの科学啓発書である。筆者の手元にも藤嶋先生の本は何冊も積まれており、上梓されるたびに恵送されてくるので、多くの方に紹介している。

 若い世代の科学離れを憂い、科学啓発の取り組みをしているのは、2015年にノーベル賞を受賞した大村智先生も同じである。ノーベル賞受賞後に殺到した講演依頼は、週1のペースでこなしており82歳の大村先生の年齢を考えるとハードワークである。講演をお断りするケースもかなりあるとのことだが、断る理由はスケジュール調整が難しい場合であり、若い世代に向けた講演依頼に対してはできるだけ対応するようにしているという。

 大村先生は、ノーベル賞受賞と同時に文化勲章も受章した。2012年11月に文化功労章を受章しており、文化勲章もいずれ授与されるだろうと筆者は考えていたが、ノーベル賞とダブル授与という栄誉はしかし大村先生の実績を考えれば当然であった。

  2014年1月二人の巨人DSCN8639

  この写真は、2014年1月に東京理科大の新年祝賀会での二人の巨人である。このとき筆者は、巨人を並べて撮影しながら「どちらが先にストックホルムに行くのか・・」と冗談を言ったことに、二人の巨人は思わず破顔一笑した瞬間にシャッターを切ったものだった。

 筆者は、2012年に大村先生の研究人生を語った「大村智 2億人を病魔から守った化学者」(中央公論新社)を上梓している。そのころから、大村先生がノーベル賞を受賞されるのは間違いないだろうと考え、内外でもそのように発言していた。例えば、2012年11月に発刊された文藝春秋ムック本「2013年の論点」の中で、次のノーベル賞受賞者を語るコーナーで「オンコセルカ症(河川盲目症)の特効薬の発見で、大村先生はノーベル生理学医学賞を受賞する可能性がある」との予想を書いている。それが3年後に実現した。

 この写真を撮影した時に、お二人に語ったことは、筆者の見方で言えば先に大村先生がノーベル賞を受賞し、藤嶋先生はそのあとになるのではないかという「予想」だった。ついつい親しい集まりのパーティでの悪乗りした言い方だった。しかし本当のことを言うと、ノーベル賞はスウェーデンのノーベル賞選考委員会が選定するものであり、実際のところ予想通りにはなかなかいかないところがある。何よりもおびただしい候補者であふれている中から選定されるのは並大抵ではない。

 それに比べると文化勲章は、日本の確かな選定基準と関係者の論議の中から選定されるので間違いがない。つまり赫々たる実績を蓄積されている研究者なら間違いなく選定される。そうしてみると文化勲章の価値はノーベル賞に匹敵するものだろう。

 大村先生が文化功労章を受章したのは、2011年11月である。そして4年後にノーベル賞と文化勲章を授与された。藤嶋先生は、2010年11月に文化功労章を受章している。それから7年後に文化勲章を受章した。そろそろノーベル賞が実現してもおかしくない。毎年のように藤嶋先生の受賞が期待されているが、光化学・電気化学の研究貢献というくくり方をすれば、受賞するのはほぼ間違いない。要はノーベル賞の選考委員会が、このくくり方で授与するかどうかだけである。

 2018年のノーベル賞受賞で藤島先生の実現がにわかに高まってきたように感じる。もしその受賞者3人の中に藤嶋先生のお弟子さんである中国人科学者が入ってくるなら最高のノーベル賞になる。その可能性はある。光化学プロセス(電荷移動励起状態など)の基礎研究で貢献している中国科学院院士の 姚建年博士と共同受賞となれば、師弟の受賞として日中だけでなく世界を沸かせることになるだろう。

  藤嶋先生の中国人のお弟子さんには、姚建年博士だけでなく江雷博士や劉忠范博士など世界トップクラスに駆け上がった研究者が多数いる。そのような研究者もいずれ、ノーベル賞受賞という栄誉を手にする時代が来ていることだけは間違いない。

 

コメント

フィード コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。

コメントの確認

コメントのプレビュー

プレビュー中です。コメントはまだ投稿されていません。

処理中...
コメントを投稿できませんでした。エラー:
コメントを投稿しました。 さらにコメントを投稿する

入力された文字と数字は画像と一致していません。再度入力してください。

最後に、下の画像の中に見える文字と数字を入力してください。これはプログラムを使ってコメントを自動的に投稿するのを防ぐために行われています。

画像を読み取れない場合は 別の画像を表示してください。

処理中...

コメントを投稿

アカウント情報

(名前とメールアドレスは必須です。メールアドレスは公開されません。)