なんでも遅きに失する政策は日本が世界一?
イベルメクチンとコロナ感染症の世界の動向-2

イベルメクチンとコロナ感染症の世界の動向-1

 特異な山型グラフを示したインドの状況

 今年3月から、インドでCOVID-19の変異種がまたたく間に広がり急カーブで上昇した。5月上旬まで一気に拡大し、ピークを打った後、下のグラフのように急こう配で減少に転じている。グラフの左側の山が感染者数で、右側の山は死亡者数である。

 グラフの形状だけで見ていただきたい。この山型のグラフは、COVID-19の感染状況を見るうえでも特異な現象である。一気に急拡大して一気に沈静化していく。何がそうしたのか。

 このグラフを公開しているのは、アメリカでCOVID-19の治療・予防について世界中の臨床試験例を集めて分析し、何が有効なのかを調べているFLCCC(Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)という医師グループである。彼らが行きついたのは、COVID-19の治療・予防には、イベルメクチンが最適だという結論であった。 

2021-06-15

 FLCCCは、どのような団体なのか。HPを開くとその全貌が分かるようになっているので、ここでは省略して先に進めていきたい。

 この団体を一躍有名にしたのは、昨年2020年12月にアメリカ上院の公聴会に呼ばれて、代表のピエール・コーリー博士が、イベルメクチンの効果について自分たちが分析した内容をもとに、アメリカでも臨床治療にイベルメクチンを適応すべきと迫ったからである。

 しかしアメリカでは、ほとんど相手にされなかった。というよりも、コーリー博士らに対する嫌がらせが急激に高まり、あろうことかメディアもこの公聴会での陳述を無視してきたのである。

 しかしコーリー博士らはくじけなかった。年が明けて間もない1月上旬、彼らはアメリカ国立衛生研究所(NIH)に乗り込み、彼らが分析してきた世界中のイベルメクチンによる臨床試験の分析を説明したため、NIHの研究者もある程度、納得することになる。

 それまでNIHは、COVID-19治療のガイドラインでイベルメクチンはCOVID-19の治療には、臨床試験データが不十分なので「反対」(against)としてきた表記を、1月14日に次のように変更した。

 イベルメクチンをCOVID-19の治療に使うことを「反対も推奨もしない(either for or against the use of ivermectin for the treatment)」という中間的な表現に後退し、イベルメクチンの治療効果をある程度認めた形になった。

 FLCCCがそれまで世界に向かって公開していたCOVID-19に対するイベルメクチンの臨床試験内容は、50例を超えており、そのどれもがイベルメクチンが有効だという結果を出していた。

 このアピールを自分たちで分析して妥当だとしてイベルメクチン有効という主張を掲げたグループがイギリスに現れた。「イギリス・イベルメクチン推奨開発」British Ivermectin Recommendation Development (BIRD)という医師グループである。

 彼らは、イベルメクチンこそCOVID -19を撲滅する薬剤だとして、イギリスで治療・予防に政府が適応承認するべきとのキャンペーンを始めた。

 インドであれだけの効果を示しているのに、世界の保健普及のリーダーになっている世界保健機関(WHO)は、いまなおイベルメクチンは臨床試験が不十分であるとして治療に使うことに反対している。しかし、インドはそれを破ってイベルメクチン投与を行った。

 治療現場では、イベルメクチンだけ投与したものではなく、様々な複数の医薬品を投与しているので、正確にはイベルメクチンがどの程度効いているかは分からない。だからと言って、全く効いていないとも思えない。

 イベルメクチン投与の臨床試験のデータを取り、論文を書いているのは、多くが途上国の医師である。アメリカなどいくつかの先進国の医師グループもいるにはいるが少数である。途上国の臨床試験は信用しないという先入観があったのは間違いない。しかしそれよりも途上国には、それなりの理由があったのである。

次回につづく

 

 

 

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