北朝鮮に設立されていた英語だけで授業する国際大学 (上)
メディア報道と取材方法について

東京理科大の現ナマ2万円支給に込められた意味

 バラまきの意味が不明だ

 2019年10月28日に発行された「夕刊フジ」に、筆者の母校である東京理科大学の「不祥事」が報道された。

 「不祥事」としたのは、次の見出しにメディアが取り上げた目的が凝縮されているからだ。

『東京理科大、教職員1300人に現ナマ2万円バラマキの波紋』

 この主見出しを見て驚愕した人は少なくなかっただろう。驚きの理由は、次のようなものだっただろう。

・今どき現ナマ2万円を袋に詰めて全教職員1300人に支給!

・中身は、1万円のピン札2枚と理事長のコメントカードだけ!

・支給明細書もなく、税引きなのかどうかも不明の現ナマ!

・もしかしたらこれはヤミ給与?

本山メッセージ現金2万円と一緒に入っていた理事長からのカード

      突然、前触れもなく袋をもらった教員は次のように語っている。

 「中を開けたらピン札で2万円あり、明細書などは何もナシ。理事長からのカードがあったが支給した理由もなし。ははあ、これは理事長のポケットマネーで、選抜された教員だけに支給された報奨金なんだと思いました」

 「理事長カード」を読んでも支給の理由が不明である。何のために支給したのか。そこまで考えた教員は、選び抜かれた人だけに支給された理事長のポケットマネーだ。そう理解したという。

 大学の予算から支給されたカネと知った教職員は、理事長のカードを見ると分かるように自身の「人気取り」のバラまきかなと理解した人も多かったという。

 本当に理事長の人気取りのために支給したピン札2万円だったのだろうか。まさかそんなバカなことはあるまい。そういうひそひそ話が学内に広がっていった。

 経費節減したカネを教職員で山分け?!

 夕刊フジの記事にあるように、このバラまきは「管理経費が削減されてきた。教職員の頑張りに敬意を表する報い方」で一時金を出したという。

 これが事実なら、大学経営者としてバカげた考えである。削減して生み出したカネがあるなら、教育と研究に役立てるのが大学経営である。削減したカネを、1300人の教員に一律2万円を支給して費消する。これは教職員の「山分け」ではないのか。

 経費節減で生まれたカネがあるなら、学生のために費消することが第一であり、合計2600万円のカネができたら、研究費に回すことこそ大学経営の根幹である。

 その証拠に、夕刊フジの報道にあるように、教職員の間では受け取りを潔しとせず寄付や義援金に回し、封も切らずに机の中に放置している人もいるという。

 ある事務職員が筆者に語った言葉は「わざわざ封筒を作り、意味のない理事長のカードを作り、ピン札を用意して担当事務職員総出で袋詰めする手間ひまこそ無駄遣いであり、誰もがあきれていました」という。

 建学の精神に泥を塗った執行部の愚策

 東京理科大学は、明治11(1878)年に東京大学理学部仏語物理学科を卒業した若き学徒が中心になって創設した東京物理学講習所から始まった大学である。

 創設時20歳代だった青年たちは、昼間勤務して得た給与から削り取ったカネを原資にして夜間の学校を経営し、理学の普及に命を懸けた志士たちであった。

 その伝統を守って現在の東京理科大学へとつながってきたはずである。それがいま、管理経費を節減して絞ったカネを全教職員で山分けするような支給をしている。

 「バラまき」「山分け」。そのような言葉が浮かぶほど低次元の経営手法が、夕刊フジによって世間に知らされた。

 東京理科大学OBとしてこれは許されない。この責任を追及しなければ筆者は収まらない。

(つづく)

 

 

 

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