森友事件に見る新聞メディアの最期 その3
森友事件に見る新聞メディアの最期 その4

中国アップルがスマホ意匠権で勝訴

  発明通信社のコラム「潮流」(http://www.hatsumei.co.jp/column/index.php?a=column_detail&id=231)の2016年8月18日付けで、中国アップルが中国で販売していたiPhone6、iPhone6-Plusの意匠は、シンセン市佰利営销服務有限公司(以下、佰利=バイリ=)の持っている意匠権を侵害しているとして販売差し止めを求められた紛争を紹介した。

  もしこれが認められると、中国の大市場で中国アップルのスマホが撤退することになりので、世界中の知財関係者から注目を集めていた。これは同時に、中国の司法を含めた知財制度が、国際的に受け入れられるかどうかを見極めることにつながるという思惑もあった。

  ともすれば、中国は自国有利の司法判断が出るという危惧を従来から抱かせていたからだ。特に地方保護主義という考えが根強くあるからでもある。

  結果は、中国アップルの言い分が認められ、中国の知財司法制度と判断は、先進国並みになっていることを示したことになった。

  今回の訴訟結果についても前回と同様、北京銘碩国際特許法律事務所(http://www.mingsure.com/Japanese/about.asp)の金光軍弁理士の解説をもとに紹介してみる。

 これまでの経過をおさらいする

  この紛争の経過を一覧表にしたものが、下の表である。

  シンセン市佰利営销服務有限公司(以下、佰利=バイリ)が2015年1月に、自社の持っている意匠権をもとに、アップルコンピュータ貿易(上海)有限公司(中国アップル)が中国で販売しているiPhone6、iPhone6 Plusは、意匠権を侵害しているとして販売差し止めを求めて北京市知的財産局に訴えたのが発端になっている。

 バイリが取得した意匠権は、同年1月13日に出願された「ZL201430009113.9」などであり、同年7月9日に登録公告された。なお、iPhone6 PlusとiPhone6は、サイズだけ異なるスマホである。

 中国アップルのスマホの意匠をめぐる係争の経過

 

  この紛争は、行政では侵害と認めたが、中国アップルはこれを不服として司法判断に訴えた。

  今回、この訴えに対し北京知的財産法院は、行政側の侵害判断をいずれも認めず、結果として販売差し止めを認めないとする判断になった。

  金光軍弁理士によると、今回の判決の全文が公開されていないので、今の時点では同法院が発表したメッセージから判断を読み取ったとしている。金光軍弁理士は、整理して次の3点をあげている。

  1、北京市知的財産局の決定は、係争意匠と被疑侵害意匠の間の区別意匠特徴の認定において、遺漏(手落ち)がある。

  2、被告(北京市知的財産局)は、自分が確認した係争意匠と被疑侵害意匠の間の五つの区別意匠特徴を機能的意匠特徴と認定したが、この認定は事実及び法律的根拠がない。

  3、係争意匠の携帯電話の側面の弧度は非対称設計で、その弧度及び曲率に関する意匠特徴は従来意匠と区別される意匠要点であるが、被疑侵害意匠は対称している弧度設計を採用している。(対比図面の赤枠部分

 
北京銘碩国際特許法律事務所のニュースレター(2017年3月号)から転載

  この区別は全体の視覚効果に顕著な影響がある。これに関する被告の認定は誤っている。また、係争意匠と被疑侵害意匠の間には一般消費者が容易に観察できる明らかな他の区別もある。従って、被疑侵害意匠と係争意匠は同一意匠でも類似意匠でもないので、被疑侵害意匠は係争意匠専利の保護範囲に属しない。

  このように金光軍弁理士は整理したうえで、この判決について「係争意匠とiPhone6、iPhone6 Plus はいろんな区別があるので、通常の消費者でも両者を区別できると思う。したがって、iPhone6、iPhone6 Plus が係争意匠専利を侵害したと判断したのは、無理があると思う」と語っている。

  この係争は通常の3人の裁判官による合議体ではなく重要案件として5人の裁判官の合議体を形成した。それだけ中国でも難しい重要な案件とみたわけだ。

  金光軍弁理士は「北京知的財産法院が北京市知的財産局の結論を全て覆したので、上訴の可能性が高いと思われる」としている。もし、被告が上訴した場合は北京市高級人民法院で二審が行われることになる。

 

 

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