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ジャズ歌手・黒岩静枝さんの50周年記念リサイタルを聴きに行く

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 札幌を拠点に、全国各地で歌っているジャズ歌手の黒岩静枝さんの50周年記念リサイタルを聴きに、札幌まで行ってきた。筆者が黒岩さんと出会ったのは、約40年前に先輩に連れられていった札幌市すすき野のナイトクラブ「コンコルド93」であった。筆者は当時、読売新聞北海道支社に勤務する記者だった。

 黒岩さんの野性的な声と圧倒的な歌唱力が気にいり、このクラブによく通った。そこで演奏していたグループサウンズの「キッパーズ」も気にいっていたからだった。黒岩さんはまだ20歳代の終わりころだから、歌手としてはまだこれからという実力だったかもしれない。

 しかし筆者は、このジャズ歌手を新聞で紹介したくなった。いずれ日本を代表するジャズ歌手になっていくだろうという予感があった。当時、読売新聞北海道版に「人間」という特集ページがあり、そこで北海道で活躍する各界の名士を取り上げていた。その担当になった筆者は、デスクに黒岩さんを売り込んでみた。予想通り却下されるが、粘り強く復活折衝をしてついに執筆・掲載の許可が出る。

 「繊細な体のどこに隠されていたかと思うような太い声。どことなく哀調をおびた、そして演歌のような小節回し、ジャズシンガー黒岩さんの歌は、そういう声で‘‘彫刻’’されている。」

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 このような書き出しで、黒岩さんの歌う表情写真とともに、ほぼ1頁を割いて特集した。この記事の中で「キッパーズ」のバンドマスターでご主人である伊藤美智弘(本名・渡部弘康)さんは、妻の黒岩さんを「仕事はまじめだし、シンの強い人です。今後は本当にうたいたい歌が自然と口から出てくるような、奥の深い厚みのある歌手として大成してほしいと思っています」と語っている。

 ご主人の渡部さんの思いを実現して大成した黒岩さんのリサイタルは、札幌の道新ホールを満席にする大盛況であり、最後まで聴かせた。そして「キッパーズ」が友情出演して盛り上げ、無口で照れ屋のご主人の渡部さんもステージの中央に引っ張り出されて黒岩さんからインタビューを受けたが、いつものように小さな声でよく聞こえなかったが似合いのご夫婦であった。

 キッパーズは「はまなすの恋」、「風のふるさと」などヒット曲を飛ばし、北海道では断トツの人気を誇り、一時は東京へ出て来いという強い誘いがあった。しかし渡部さんは、北海道で一番になっているほうが性に合っているということから札幌を動かなかった。

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 黒岩さんの歌は、ますます円熟味を増している。ジャズを自分の音域と声調にひきずりこんで独特の雰囲気を出している。ときたま東京・銀座のライブハウス「スウイング」に出演するが、圧倒する歌唱力と聴者をひっぱりこむしゃべりは、いつ聴いても楽しくて満足する。ご主人が期待した「奥の深い厚みのある歌手として大成した」のである。このようなご夫婦に巡り合ったのは、本当に幸運だった。

 

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