今後の知財制度の改革を論議する21世紀構想研究会の第4回知的財産委員会(荒井寿光委員長)が、12月19日、プレスセンター会議室で開催された。
この日はまず、経産省知的財産政策室の川上敏寛室長が「営業秘密の保護」とのタイトルで講演し、その後に出席者らと討論を行った。川上室長の講演内容 は、営業秘密保護のこれまでの取り組み、営業秘密をめぐる近年の情勢、営業秘密をめぐる国際情勢、営業秘密の今後の方向性など豊富な情報を報告したもの だった。
この中で、海外拠点からの技術流出、サイバー攻撃による技術流出、技術提携先からの技術漏洩など最近の動向を解説した内容を知って、出席者の視点が大きく広がったように感じた。特に韓国ではすでに技術流出に関する保護法律を実施しており、その迅速な対応には感心した。
筆者の感想を言えば、日本は技術流出の現状と課題が分かっており、これに対応する法制度など枠組みをどのように実現するかがまだ見えない。その手順を進 めなければ漏洩の被害を食い止めることはできない。特に中国に流出した日本企業の技術で製品が製造され、日本を含む世界に輸出されている実例もある。
国内法の整備を早急にしなければ、技術垂れ流しが常態化していくことになる。この日の委員会の後半は、日本の技術漏洩防止に関する法整備について具体的 に論議し、営業秘密保護法の試案も発表された。 今後この試案については修正しながら政策提言などの取り扱いについては荒井委員長に一任することで了承した。
次回・第5回知的財産委員会は、1月28日(火)に開催する。
文責・馬場錬成