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森友事件に見る新聞メディアの最期 その2

森友事件に見る新聞メディアの最期  その1

日本会議の研究

  森友事件は起こるべくして起きた「時代錯誤の独善集団事件」である。その根元を余すところなく書いてくれたのが「日本会議の研究」(菅野完、扶桑社)である。

 森友学園の瑞穂の國記念小學院建設認可をめぐる疑惑を朝日新聞が報道して始まったように見えるが、実はその前奏ともいえる出版本が2016年5月に刊行されている。著者は、フリージャーナリストの菅野完氏である。

 日本会議の中核を成している人物とその周辺でうごめいてきたこの半世紀50年の動向を、重層多岐にわたる調査を重ね、地にはいつくばるように現場を歩き、練達の筆さばきでまとめた筆力は敬意を表するものである。

 この本の「むすびにかえて」で菅野氏は、日本会議は新聞報道には馴染まない取材対象であり、その理由にこの団体を取り巻く群像が愚直に地道に熱意をもって右翼思想を醸成することに取り組んできたとの趣旨を語っている。

 それを菅野氏は、市民活動、市民運動と位置付けている。そのような一群の集団が知らず知らずのうちに安倍政権の骨格をカタチ作るような勢力にまで成長し、憲法改正を視野に入れるまでになる。

 それと今回噴出してきた小学校新設をめぐる許認可の不正疑惑が、根幹で結びついてきたことに筆者は驚愕した。今回の事件が起きる前に刊行されたこの本の中に、安倍・稲田・籠池・塚本幼稚園などが一本の線となって結ぶように記述されており、今回の事件発覚で誰よりも驚いたのは菅野氏だったのではないか。

 ことの重大性に比較して新聞の取り上げ方はまことに不甲斐ない。掘り下げ方も、当事者の紋切り型のコメントだけを並べたものが多く見られ、深く追求して真相を究明しようとするジャーナリズムの本性が見られない。

 その中でテレビのワイドショーは、真相に迫ろうとする姿勢が感じられるし解説もいい。筆者は、テレ朝の朝のワイドショーしか見ていないが、合間に見ている他の局もそれなりに健闘しているようだ。NHKもこの数日の解説を見ていると、疑問点をきちんと整理して視聴者に分かりやすく説明している。

 されにワイドショーで派手に取り上げられているのは、テレビ向けの「役者」がそろっているからでもあるように思う。籠池夫妻、その子息と娘、これは大衆メディアには得難いキャラであり、そこに無名のジャーナリストの菅野氏が絡み、出処進退が怪しくなってきた高級官僚から末端の役人まで広がった。

さらに日本のトップに位置する首相夫妻と財務大臣が深く関与しているようだーという展開は、映像メディアの最高の餌食になっている。

 政府与党は、籠池氏の国会喚問には大反対していたが、国会議員の現地調査で籠池氏が「安倍総理から100万円の寄付を受けた」との証言が出てから、手のひらを返して証人喚問に応じた。

 ここにきて方針を変えたのは、100万円寄付の「動かぬ証拠」される物証が出てきたからではないか。

 毎日新聞のネット配信は、この事件の真相の核心を衝くものではないか。

 http://mainichi.jp/articles/20170318/k00/00m/040/139000c 

 安倍総理は全否定をしているが、籠池理事長が嘘八百を並べ立てているというのも不自然だ。国会で是非、真相を究明してほしい。

 腐臭ただよう政権の最期は、いつもながら国民を失望のどん底に突き落とすような展開になる。

つづく

 

 

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