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日中大学の知財活動を比較する

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中国の大学は社会貢献を目指す意識が強固

中国の大学をたびたび訪問し、キャンパスの雰囲気を見てきた筆者の感想を言うと、中国の大学は日本よりはるかに活気を帯びているように思う。2016年5月に北京で開催された日中大学フェア&フォーラムでは、日本側は旧帝大の学長をはじめ、有名大学の学長たちがそれぞれの大学の経営方針を発表したが、中国の学長らの発言は迫力が違った。

中国の有名大学の学長は、自身の大学のことよりも国家のため社会貢献のためどう経営していくかという発表内容であふれていた。世界トップの大学を目指すという意気込みが言葉の端々に出ていた。

中国の大学のミッションは社会貢献にあり、国家に貢献することが最大の目的とされている。この目的の達成には、研究開発の成果を特許などの知的財産権で確保し、企業への技術移転で貢献するか、大学発ベンチャー企業で社会貢献するという視点だ。

中国の大学の周辺にはサイエンスパークとかハイテクパークがある。どの有名大学でも連携している。たとえば、清華大学のサイエンスパークには、サン・マイクロシステムズ、P&G、トヨタ、東芝、NECなど世界に名を知られた企業が研究室を持っており、学生や教員が一緒になって技術開発に取り組んでいる。浙江大学に行ったときも、大学構内にあるサイエンスパークには、若い技術開発者がセミナーを開いていたり、研究室とオフィスを兼ねた部屋が並んでいた。

大学発のベンチャー企業が多数ある

現在、中国の主要な94の大学に「大学サイエンスパーク」があるが、総売り上げは7,794億円(2015年)にものぼる。

また、中国の大学には、「校弁企業」という大学発ベンチャー企業が多数あり、代表的なものが北京大学の「方正集団有限公司」である。年間売上げは2兆2762億円にものぼる。清華大学の「同方股份有限公司」も売上高は1兆円を超えている。そのほかにも数千億円オーダーの売り上げを誇る校弁企業が多数ある。

校弁企業であげた収益を大学経営に充て、次の技術開発の資金に充てている。現在、全中国の552の大学に5,279のベンチャー企業がある。中国には日本とは全く異なった巨大な大学発企業があることに驚かされる。

大学別校弁企業の売上高ランキング(2013年)

注:売上高の金額は、OECD 購買力平価により計算されたものである。
出典:中国教育部大学校弁企業統計概要公告を基に作成。

 

浙江大学のサイエンスパークにある研究室風景

 

浙江大学のサイエンスパークでは、学生と教員らがセミナーを開いていた。

日中の大学発特許の出願件数と登録件数を比較する

こうした大学周辺のイノベーション創出現場を活性化させているのが知財活動である。日中の大学の特許出願件数を比較すると、中国の大学が1ケタ多いことにびっくりする。

大学特許出願件数トップ10(2015年)

 

日本の大学の特許出願件数は次の通りだが、中国の方が圧倒的に件数が多いことが分かる。日本は、研究資源が極端に偏って多い旧帝大が主体である。

 日本の大学の特許公開件数トップ10

 

 

次に特許登録件数を日中大学で調べてみると以下の通りである。

 中国の大学別特許登録件数トップ10(2015年)

 

日本の大学の特許登録件数トップ10(2015年)

日中の知財格差が急激に広がる

 日中の大学の特許出願件数や登録件数がこれだけ広がった背景はなにか。よく言われるのは、中国の特許出願は、補助金ほしさが少なくない。大学教員の業績を示すための出願も多いというものだ。

 それは否定できないと中国の大学関係者や特許事務所の弁理士らも語っている。しかし、近年は世界的な技術の進歩によって、中国の研究者のレベルもアップしており、同時にトップクラスの中国企業の特許レベルも急激に上がっている。世界トップクラスの通信機器メーカー、Huawei(華為)電子などは、まぎれもなく世界先端の知財活動になっている。

 また昨年暮れに北京大学の産学連携の状況を取材したときも、知財の技術移転で米国型のシステムを導入しており、同時に世界で競争ができる特許の創出、イノベーション創出を明確に掲げていることを認識した。

 中国の知財制度の多くは、日本を追い越してアメリカ型に必死に追いつこうとしているように見える。知財の司法判断でもアメリカ企業同士の訴訟が中国で起きるなど、世界標準化を狙っているように感じる。そうした現状については、今後もこの欄で順次紹介していきたい。

 

 

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